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【焔に刻む、約束】
翌朝。
森の中、薄明が差し込み始める。二人は静かな小川のそばにいた。
焚き火の残り香の中で、ソフィアはかつての仲間を思い出していた。
彼女の残火は、“想い”と共に燃えてきた。だが、それはいつも“孤独な炎”だった。
「ソフィア……」
ミカがゆっくりと隣に座る。昨夜の戦いの疲労は、まだ残っているはずだったが、目はしっかりと前を見据えていた。
「もう、助けられるだけの存在じゃいたくないんだ。
今度は、あたしが――あんたの隣で、共に燃える」
ソフィアは、少し目を伏せ、苦笑した。
「……背負わせるには、あんたはまだ若すぎるよ」
「そうかもしれない。でも……」
ミカは拳を握り、炎を灯す。
「この火は、あたしの意思で燃える火。あんたの隣で、生きるための火。
それが“残火”でしょ?」
ソフィアは驚いた顔でミカを見つめ、やがてゆっくりと立ち上がる。
「……なら、誓おうか」
二人は、焚き火の前に立つ。
「この火が絶えるその日まで――」
「――共に、戦い、共に、生き抜く」
『残火の誓い』。それは、もはや二人だけのものではない。
この世界に抗い、未来を切り開く、希望の火。