交渉
1960年4月14日 午後14:00
日本人民共和国首都札幌 市街地
「ようこそ反乱軍へ!
…とは言ってもここは1拠点に過ぎないんだがな。」
「思ったよりしっかりしてるのね。」
反乱軍の拠点といったら薄暗い地下や路地裏の地味なところにあると思っていたが、ここは首都のど真ん中、それもかなり大通り沿いである。
「…バカなの?何でこんなところに拠点作ってるの?捕まりたいの?」
ごもっともなツッコミを入れる田宮だが。
「大丈夫大丈夫、ここ表向きは政府直属の機関ってことになってるから。」
「「は?」」
「ん?どうかしたか?あ〜お礼なら別nぐふぁっ」
「制圧しました。」
「よくやった鈴谷、さてと正体現しやがったな、この偽反乱軍が。」
「待って!何でこうなるの!?アジトに案内しただけなのに。」
「黙れ!政府直属の組織なんて俺たちを売る気満々じゃねぇか。」
「殺ります?殺っちゃいます?」
「違うって!売る気ないって!あとなんで鈴谷さん楽しそうなの怖い!」
カチャッ
「「「ッ!」」」
カチャッ カチャッ カチャッ
ドアの外の異音に反応し一気に臨戦態勢になる3人。
「何者だ!」
「…………開けろ。」
「!はい、只今!」
「あっ、おい待て!」
チャッ
「撃つな!鈴谷!」
「でも…」
ドアが開いた、そして。
「ようこそおいで下さいました司令官殿!」
「「へ?」」
「うむ、ご苦労だった伊黄重火君。」
「えっと伊黄君?これは、どういう状況?」
「この方は我々反乱軍の司令官様だ。
今回君たちをここに案内したのもこの方が交渉をしたいと言っておられたからだ。」
「なるほど。交渉ねぇ…」
「…」
「あの…鈴谷さん?銃を降ろしてもらえませんかね?」
「嫌よ。第一貴方は信じられないし仮に本当だったとしても彼が司令官であるかどうか…」
「鈴谷、銃を下げろ。」
「はい。隊長。」
「スゲー素直!」
「…早速交渉に入りたいのだが…」
「おっと御託はいい、さっさと本題に入ろう。」
「おい、司令官様にそんな口の利き方を…」
「頼むのはそちらさんだろ?だったらば立場も自ずとわかってくるんじゃないか?お願いする立場はどっちなのか。」
「そうだそうだ!」
「…こちらはいつでもこの場所を通報できるのだg」
「「何なりとお申し付けくださいませぇ!!」」
「手首がねじ切れんばかりの掌返しだなぁ!!」
「……いい加減に本題に入ろう。
取り敢えず君たちにやってほしいのは我々に協力することだ。」
「協力?」
「具体的には政府の拠点の偵察や陽動、場合によっては制圧の手伝いをしてほしいということだ。当然日本国の武器は持ってきているのだろう?」
「ええまぁ、少しは…」
「その代わりとして、こちらは君たちの隠れ家や君たちの任務に必要な情報提供などを行おう。」
「なるほど…わかりました。
その条件でいきましょう。」
「隊長!しかしそれは…」
「俺達に行くあてがあるか?
このままだと俺達はまた野宿するハメになr」
「さぁ隊長条件を飲みましょう。」
「…」
かくして、田宮と鈴谷は、反乱軍の力を借りることに成功したのであった。