開戦
1960年4月10日
突如として日本人民共和国軍が国境線を突破し、関東地方を中心に日本国との大規模な戦闘が開始された。
日本国政府はこの突然の侵攻に対処が追いつかず、茨城県と栃木県を失陥。
群馬県、埼玉県、東京都、千葉県でも戦闘が開始された。
1960年4月11日
侵攻開始から遅れること1日。
日本人民共和国は南北日本統一を宣言し、日本国政府に対し正式に宣戦布告。
ここに日本国内戦と呼ばれる戦争が始まったのである。
東京都北部 日本人民共和国との前線にて
「まさか奴らが本当に攻めてくるとはな。」
「本当にそうだ。
おかげで俺たちは新年度早々殺し合いだよ。」
「それで、エアカバーはどうなっている?」
「今のところは制空権の取り合いだな。
向こうのミグとうちの震電改がドンパチやってるみたいだぞ。」
この世界の日本国は、ソ連に対抗させたいというアメリカの思惑もあり軍がほとんど解体されず、兵器や航空機関連の技術もそのままとなっている。(ただし賠償金の額が跳ね上がってはいるが。)
その一例として戦争末期に開発されていた震電がジェット戦闘機震電改として使われている。
ちなみに大日本帝国軍の流れを汲んでいるのは日本国軍だけで日本人民共和国軍はソ連式の軍になっている。
「そうか、じゃぁまだ空からの攻撃は警戒しなくて言いわけだな。」
「そうは行っても地上もまずいぜ?
奴らがT-54なんて持ってきてみろ、うちの五式中戦車なんて一発でお陀仏だ。」
「…じゃあもうお陀仏みたいだぞ。」
「?」
「たった今無線が入った。
前線に人民軍の機甲師団が向かって来ているらしい。」
「マジかぁ…」
日本国首都 東京都
日本国軍総合司令本部
「……というわけで君たちにはこの任務を請け負ってもら」
「お断りします。」
「おいおいまちたまえ、何が嫌なのかい?」
「何が嫌かってそれは敵国の首都の乗り込んで政治工作をしてこいとかいう頭のおかしい任務だからですよ、しかも戦時中に。何ですか?死んでほしいんですか?」
「だがしかしな、今このタイミングで仕掛けるほうがいいんだよ。敵軍が戦争に夢中になっているこの隙に内側から壊してしまう方がね。」
「だからといって…」
「それに、これはもう決定事項だ。
君たちには拒否権などない。」
「はぁ…わかりましたよ。」
「わかればよろしい。じゃあしっかり頼むよ。
日本国特務機関第一任務部隊隊長 田宮中尉。」
「あ、隊長。急に呼び出して何のようですか?
まさか、愛の告白?」
「バカ言え、任務だ任務。」
「ちえっ。つれないなぁ。
それでどんな任務なんです?」
「札幌潜入工作任務。」
「…殺す気ですか?」
「あはは、それ俺も言った。」
「め、目が笑ってねぇ。
てか笑い事じゃないですよね!?
どうするんですか?」
「そりゃ上からの任務だ、やるしかねぇだろ。」
「はぁ…そうですよね。
で、他の皆はどうするんです?」
「一気に全員は無理だから二人一組で一組ずつ潜入するんだと。」
「ま、まさか。」
「と、いうわけで君は俺とペアだ。
頑張ろうぜ鈴谷副隊長。」
「ねぇ待って、せめて迎えはあるんでしょうね?」
「何いってんだ指揮官先頭に決まってるだろ?」
「だめだってそれ。
最初にやられたらもう下動けないじゃん。」
「まぁいいからいいから。
送りの飛行機が待ってるぜ。」
かくして敵国首都札幌への潜入工作任務が開始された。
色々とツッコミどころはあると思いますが、あくまでこれは架空戦記です。深く考えないで下さい。