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【第15話】バジリスクの秘宝(2)

「無能」

「……」

「役立たず」

「……」

「低能、雑魚、エセ魔術師、無駄飯食らい」

「……っ」

「留守番一つまともにできねぇとか、本っ当に使えねーな。魔術師の看板下ろしてとっとと故郷くにに帰っちまえ。つかあのまま、おまえだけ残った方が良かったんじゃねーの?」

「だーー!! だから、散々謝ったし状況は汽車の中でも説明しただろ!? もういい加減、勘弁してくれても良くない? んなことより、さっさとアーデちゃん助けに行こうぜ」

 床に座ってユニアスの辛辣な罵倒に黙って耐えていたラントだったが、とうとう辛抱しきれず爆発したがその反応は極めて冷たかった。

「力に屈してあっさり渡した奴が、偉そうに言うな。おまえの旅費まで往復無駄に使いやがって。滞在時間五分てとこか、勿体ない」

「だって、あの村電話もないんだから仕方ないだろ?」

 ただ待っているのも不安で、結局ラントはあれから故郷の実家で両親と対面していたユニアスの元に着のみ着のまま駆け付けたのだった。驚いている両親からユニアスを攫うように別室に引っ張ると、アーデルハイトが連れて行かれた事実と経緯を説明した。ユニアスは何とも言えない侮蔑の表情を浮かべただけで何も言わなかったが、ラントを伴ってすぐに家に帰って来た。帰りの道中もほとんど口を利かなかったユニアスだったが、旅支度を解いてリビングの椅子にかけると、足元に蹲るラントに舌鋒を展開した。

「電話がなけりゃ、遠隔伝心とか空間転移とかそいう魔術はないのか?」

「あるんだろうけど、俺は使えない。得意なのは元素魔術だけって、知ってるくせに」

「電気・ガス・水道が普及した今、火だの水だの使えたところで大した需要はねぇよな。けど、初めて見る奴ならこけおどしくらいにはなるだろ? そいつらに、使わなかったのか?」

「下手に抵抗して、アーデちゃんが傷つけられたりしたら困るだろ。それにアーデちゃん、あっさり付いて行くから」

「アーデルハイトが? ふん、さすがにその時点で魔力不足だったとも思えねーな。恐らくそいつらに殺意や敵意がなかったんだろう。あいつは俺の指示がなくても、そういったものには必ず反応する」

「てことは、あんまり心配しなくても大丈夫?」

 期待を込めて訊ねると、ユニアスは微妙な表情を浮かべた。

「それはどうかな。距離的には十分有効範囲内の筈なのに、今この時もアーデルハイトとの接続を感じない。離れてからもう丸二日以上経過してるから、あいつの稼働状況によっては魔力切れも有り得る」

「えええーー!!?? た、たた、大変じゃないか!!」

「でかい声出すな、うるさい」

「だ、だって、だって。アーデちゃんが……そんな」

 目を潤ませているラントに、ユニアスは自分の説明不足を少しだけ反省した。

「落ち着けって、何も死体に還ったと言っているわけじゃない。術が解ければさすがに術者の俺にはすぐ分かる。そうじゃなくて、接続できてないってのは魔力が渡せてないってことだよ。むこうが受け取れる状況にない……恐らく、魔力が遮断される空間に置かれてるってことだ。このまま受け渡せないままだと、いずれ枯渇する。だからそうなる前に、連れて行った張本人にお目にかからないとな」

 ぐっと紙片を握った指に力を籠めると、ユニアスは書かれた文字と地図をもう一度確認した。


――ユニアス・ジャックフォードへ。貴殿の助手は預った。当方の依頼を引き受けることと交換条件でお返しする。ついては、バジリスクの古城まで来られたし。

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