表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/12

2話:見知らぬ場所

 




 目が覚めたら牢屋にいた。いや、牢屋という動物を入れているような檻と言った方が正しいか。それからガタガタと揺れている。何か馬車みたいな乗り物に乗せられているのか。

 おかしいなぁ。魔王倒して疲れたからちょっと寝たと思ったらいつの間にかこんな所にいるんだもんな。


「何も持ってないし」


 持っていた装備は全て持っていかれたみたいだ。

 それに今着ている服もボロ布と言っていい物だった。

 流石に服を着替えさせられたら気付くはずなんだけど、それだけ疲れていたのかもしれない。魔王との戦いはあまりに苛烈だった。

 周囲を見てみると似たような檻が大量にあってモンスターや人、それに人に動物の特徴を持ったのがいる。エルフとかは見た事あったが、ああいうのは初めて見た。

 さて、自分の現状を考えてみるに俺は奴隷商にでも捕まってしまったんだろう。

 このくらいの牢だったら簡単に破れるが、少し様子見しよう。奴隷商だというのならどこかの村とか国で檻を動かす事があるはずだ。その時に外が見れれば今の場所がわかるはずだ。

 その間の時間は今の自分の能力の確認をする事にした。妙に違和感がある。





 軽く調べてみた結果。体が少し若返っている事がわかった。それの影響か、筋力が落ちていて魔力は全盛期の半分程になってしまっているみたいだ。

 これでもそこらのモンスターに負ける事はないがまた魔王と戦うとなると勝てないな。


「着いたか?」


 ガタンと音が鳴り、停止する。

 寝る前よりも外に気配を感じるから予想通りどこかの村に着いたみたいだ。

 耳を澄ませば人の声も聞こえる。ようやくこここら出られると思った時だった。


「……なんだ?」


 さっきまで普通の話し声が聞こえてくる程度だったのが悲鳴や叫び声が聞こえてきて、それと共に何かが壊される音と魔力を感じた。


「うおっ!?」


 すると急に乗り物が動き出して檻に体をぶつける。


「いってて……うおわぁぁああ!?」


 そのまま乗り物がぐらりと傾いて倒れると檻が壁を突き破って外へと転がり出た。


「いったぁ……一体なんなんだ……?」


 頭を軽く振って周囲を見渡す。

 急に明るい所に出たから目がまだ慣れてないがモンスターの襲撃?みたいなもんで襲われいるみたいだった。


「助けないと」


 手枷を強化した力で壊して檻もこじ開けると外に出る。

 まず武器になりそうなものでも──


『はははっ!思ったよりも人間は脆いな!どれ、次はそこのガキを燃やして愉快な踊りでもさせてやろうか!』


『ま、ママ、たすけ……』


 探そうとする前に少し離れ所にいるた女の子に向かって火球が飛んでいく。

 即座に女の子の前に飛び出て火球を打ち払う。


『む?なんだ、貴様は』


「大丈夫か?ほら、逃げろ」


『な、なに?』


「言葉が通じてないのか?あっち、逃げて」


 なんとか身振り手振りで人が逃げている方へ逃げるようにするとようやく理解してくれた。


『え、でも、お兄ちゃんは……?』


「俺?大丈夫だから、俺強いし」


『ええい、さっきから何をしている!』


 背後から飛んできた火球を魔法壁で防ぐ。随分と威力が低い。様子見でもしているのか?


「いいからいいから、早く逃げろって」


 ポンッと頭に手を置くと頷いて逃げていった。

 やっとかと思いつつ近くに倒れている人から剣を借りる。


「ん、使えるな」


 ようやく相手を見る。モンスター……にしては人寄りだな。魔王に近いが魔王ならもっと強いし、姿が違う。それなら人型モンスターか?初めて見たな。


『……なんだ貴様は、さっきから低級とはいえ魔法を撃ち込んでいるのになぜ動じん』


「だからなに言ってるかわからないって」


『ならば次はこれでどうだ!』


「ん?」


 空を飛ぶモンスターが魔法を発動すると俺を炎が包み込んだ。


『念には念を入れてやろう』


 更に別の魔法で風を発生させて炎は勢いを増して炎を纏った風の刃が俺を襲う。

 とはいえ、魔法壁でダメージはない。


『お、お兄ちゃーん!!!』


 女の子の声が聞こえてくる。多分心配してくれているのか。


「大丈夫」


 剣を振ると炎が払われ、そのまま大きくモンスターへと飛び上がった。


『く、来るな!』


 火球が何度も俺を襲うが全て魔力璧に阻まれ消えていく。


「ふ!」


『このっ──』


 モンスターも炎を壁状に広げて防ごうとするが、その壁ごと首のあった位置に剣を振り抜いた。


『俺が……馬鹿な……ッ!?』


 振り返るとモンスターは地面に落ちて、溶けるように消えていった。


「なんだったんだ?」


 新種のモンスターか?


『お兄ちゃん大丈夫!?』


「ああ、無事だったか」


 女の子が走り寄ってきて俺の服を掴んでくる。

 心配させてしまったみたいだ。しゃがんで目線を合わせると笑ってピースサインをした。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ