表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王弟殿下から特別扱いされていた私、なぜか悪女と体が入れ代わる  作者: 江本マシメサ
六章 誰が犯人なのか!?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/103

作戦実行!

 ここだ、と思って行動を起こす。


「私が彼女に預けていたんだけれど」


 皆、私のほうを見て驚いていた。なぜかと言えば、ツィツェリエル嬢が突然登場したから。


 なぜ、私とツィツェリエル嬢が同時に存在できるのか。

 それは、ギルベルトと一緒にいる私が幻術で作り出されたものだから。

 けれどもただの幻術ではない。ギルベルトが幻術と私の本体の魔力糸を繋いでいるので、感覚などが共有される。

 そのためギルベルトの発言にやきもきしたり、照れたりしていたのだ。

 これはアンゼルムが考えた作戦である。

 もしかしたらツィツェリエル嬢のハートのチョーカーについて、追求があるかもしれない。そんなふうに想定し、ツィツェリエル嬢の存在も必要になるのではないか、と予想を立てていたのだ。


「ツィツェリエル嬢、いったいどうしてここにあなたがいるのですか?」

「お兄様に同行させてもらえるようにお願いしたのよ」


 エルク殿下の視線が突き刺さるようだったが、なんとかツィツェリエル嬢らしい演技を続ける。私のどんぐりみたいに小さな心臓はばくばくと悲鳴をあげていた。


 エルク殿下は私達を出迎えた執事ミスター・デュッケに問いかける。


「ツィツェリエル嬢がきていた、という報告は受けていなかったのですが」

「も、申し訳ありません。ヴェイマル侯子とルル嬢しかいなかったように見えたのですが」

「あら、黒い外套を着ていたから、気付かなかったのね」


 屋敷内の照明が暗いから見えていなかったのではないか、と好き勝手に言っておく。

 すべての責任はミスター・デュッケに押しつけた。


「ツィツェリエル嬢はこれまで何をしていたのですか?」

「三年ぶりで懐かしくって、いろいろ見て回っていたのよ。それで偶然、ルルを責めるような会話が聞こえたから」


 ここでミスター・デュッケがツィツェリエル嬢を糾弾する。


「そ、そのチョーカーにあるルビーだって、エルク殿下から盗んだ物なんだ! この、盗人め!」

「私のルビーはエルク殿下から贈られた品なのよ」


 ちらり、とエルク殿下のほうを見ると、頷いてくれた。

 認めてくれてホッと胸をなで下ろす。

 ミスター・デュッケは凄まじい表情でこちらを睨んでいた。

 まるで悪女だ、と思いつつもミスター・デュッケを追い詰めるような発言を口にする。


「ふふ、人を盗人扱いして、誰がそんな口を利けるのかしら?」

「なっ、どういう意味だ?」

「そのままの意味よ。あなた、地下の貯蔵庫から高級ワインやチーズ、生ハムを持ち込んで部屋で楽しんでいるでしょう?」

「なっ、何を言っているんだ!」

「私は知っているのよ、すべて、ね」


 ミスター・デュッケは違う、そんなの嘘だと叫んでいる。


「だったらあなたの部屋をみんなで見にいける? あなたの給金ではとても買えないような高級ワインがある理由についても、説明できるのね?」

「あ――」


 ミスター・デュッケは助けを求めるようにエルク殿下を見たものの、傍にいた護衛騎士に部屋を確かめるように命じていた。


「待て! 待つんだ! ワインなんてない! チーズやハムも! 本当なんだ! エルク殿下、あの女は嘘を吐いているんです!」


 エルク殿下にすがるように接近したので、すぐさま護衛騎士に囚われる。

 ミスター・デュッケは護衛騎士に引きずられるようにしてこの場から去って行く。まさかの状況に、使用人達の表情が青ざめていった。

 もちろん、この状況を見逃すことなんてできない。


「エルク殿下、横領や着服しているのは彼だけではないの」


 小さく折りたたんでいた調査書をエルク殿下へと手渡す。


「これは?」

「ルルの使い魔が調査したものなんだけれど」


 エルク殿下は調査書を目にした瞬間、青ざめる。無理もないだろう。信頼していた使用人達が、エルク殿下が気付かないのをいいことに犯罪行為を繰り返していたのだから。


「もしやわかっていて、調査させるようにルル嬢を派遣したのですか?」

「ええ、そうよ。彼女は私を慕ってくれていたから、喜んで引き受けてくれたわ」


 この辺の設定はギルベルトが考えてくれた。意外とこういう話を思いつくのが上手かったのだ。


「三年前、ここにいたときから気付いていたのでしょうか?」

「そうよ。ある日、事件が起きて――」


 この瞬間、私の中になかった記憶が蘇る。

 それはエルク殿下のルビーが枕の下にあって、驚いた表情を浮かべるツィツェリエル嬢の姿。

 やはりツィツェリエル嬢はルビーを盗んだのではなく、誰かに犯人に仕立て上げられたのだ。


「誰かが私をルビー盗難の犯人にしようと画策してきたの」


 ツィツェリエル嬢は単独で調査に乗り出し、犯人を探ろうとした。


「でも、妨害が入った――」


 ツィツェリエル嬢の調査に危機を覚えた使用人達が、ヴェイマル家に密告。

 ルビー盗難事件の発覚を恐れたヴェイマル侯爵が、ツィツェリエル嬢を連れ戻したのだ。


「今回、ルルとの縁を通じて、三年前の仕返しをしようと思ったの。おかげさまで、いい光景が見られたわ」


 最後にエルク殿下へにっこり笑いかける。


「邪魔者はいなくなるわね」


 そう宣言し、転移の魔法巻物スクロールを取りだす。

 姿を消した状態のアンゼルムが私にぴったり密着するのを確認してから、魔法巻物を破った。すると、付与されていた転移魔法が発動する。

 一瞬で私達はヴェイマル邸へ転移したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ