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5.三通目のお便り「字速について」

これは、2024年12月25日に第三巻が刊行された「ドロップアウトからの再就職先は、異世界の最強騎士団でした」の発売に際してお便りオーナーに寄稿したものです。

本分に記載していた書籍情報については、削除致しました。


 皆さまこんにちは、東吉乃あずま よしのと申します。


 少し前になりますが、昨年末の12/25に「ドロップアウトからの再就職先は、異世界の最強騎士団でした」の書籍三巻が、オーバーラップノベルスfさまより刊行されました。

 また、本作は昨年6月よりコミカライズも始まっておりまして、コミックス一巻を同時刊行して頂きました。

 これもひとえに支えて下さる読者様のお陰でして、この場を借りて深くお礼申し上げます。


 本作では一巻、二巻とこのお便りコーナーに寄稿させて頂きましたので、三巻刊行ご報告と合わせて今回も書籍化に関するお話を少しさせて頂きたく、お付き合いくだされば幸いです。


 書籍化するにあたってなにより大切なのは物語を書き切ることですが、その「速度」について意識してみると、役に立つかもしれませんというお話です。


 物語を書く速度とはなにか。


 まずは便宜上、これを「字速」と書かせて頂きますね。造語ですが、割と物書き界隈のSNSなどでは使われていたりするので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

 現代では原稿用紙に手書きの方は少数派かと思いますので、基本的にPCもしくはスマホなどの機器を使って「物語を書く速さ」とお考え下さい。単純なタイピング速度とは別物です。


 この字速について、自分自身の「平均字速」と「最大瞬間字速」を知っておくと、一つの物語を書き切るのにおよそどれだけの日数が必要か、計算できるようになります。

 この計算がなぜ大切かというと、書籍化が決まった後に出てくる仕事として、書籍として形にする為の「改稿」作業、そして次のお仕事を打診された時に「いつ納品できるか」の目途が立てられるからです。

 全ての仕事には〆切があります。

 とりあえず思いつくままに書いてみて、出来上がったら提出します、では話になりません。それだと関わっている全ての方々のスケジュールが立てられないことになってしまいます。

 これに対し、例えば書籍化予定が◯年の◯月だとして、その二か月前には最終稿を出す必要がある、となった時。

 その〆切を守れるかどうか最初にすり合わせができると、スケジュールに遅延などなく順調に書籍化を進めることができるのです。無理そうな場合は「なんとかして頑張ります」ではなく、根拠を持った状態で確実に納品できるよう、最初から予定を後ろ倒しにしてもらうなどの調整をした方が遥かに建設的かつ労力が少なく済みます。


 これは社会人として非常に大切なことでして、作家として面白い物語を書けるというのは大変に重要な要素ではありますが、予定を立てて仕事を進められるかどうかというのも大切な要素です。

 冒頭から途中まですごく面白いお話を書けたとして、でも完結がいつになるのか見えなかったり。或いは、書くと言いながらいつも〆切破りをしたり。そういうことが続くと信用問題になってくるので、お仕事を頼まれづらくなってしまいます。

 しっかりと仕事ができる人間であることを証すにはスケジュール管理ができることが肝要で、その為には作家としての自分の実力=字速を冷静に、客観的に把握しておくことがその一助となる、ということです。


 さて、「平均字速」と「最大瞬間字速」についてもう少し掘り下げます。

 この二つを語る時に、大前提として物語に関する調べ物をしている時間やプロットを練っている時間は含みません。本当に、どういう物語を書こう、起承転結も概ね決まっていて後は文章にしていくだけ、という状態だとお考えください。

 なぜこれを予め断っておくかといいますと、この二つは時間をかけようと思えば無限にかけられるからです。逆に言うと、この二つが固まっていない状態では、作者の状態が千差万別すぎて字速を語ってもあまり意味がありません。極論、十年温めたアイデアを一年で書き切った時に、完成まで十一年かけたと見るか、一年と見るかの違いです。ご理解くださいませ。


 そういうわけでまず一つ目、「平均字速」は一時間におよそコンスタントに書ける文字数です。若干の前後はあれども、体調が悪くなければ大体このくらいは最低書ける、という量。

 そして二つ目、「最大瞬間字速」はいわゆる筆が乗った状態で一時間に最大書ける文字数です。

 ちなみに私は、「平均字速」は1,500文字、「最大瞬間字速」は3,000文字です。これを少ないと見るか多いと見るかは人によると思いますが、書籍化する為の一例としてこの数字を使って計算してみます。


 出版社によって違いはありますが、書籍一冊はおよそ15万文字です。

 これを私は自分の平均字速から、六カ月かかるなと計算します。

 一日1,000文字で、一ヶ月30,000。六ヶ月で180,000ですね。

 単純計算だと五ヶ月ですが、私は兼業作家でして本業で急ぎの案件など入ることもあり、平日に書く時間が取れないこともままあるので、平均字速に0.7掛け+一ヶ月は予備含めたバッファです。このあたり、どれくらいバッファを取るかは個々人の状態にもよりますので、ご参考まで。

 書籍、つまり長編を書く為の計算で大切なことは、あくまでも平均字速を使うことです。当たり前ですが最大瞬間風速を常に出せる作家などおりませんので、それは出せればあくまでもラッキーくらいに考えておくと良いです。

 一方で、短編を書く時などは最大瞬間字速で計算してもそれなりの精度が出るように思います。

 短編は長くても30,000文字程度でしょうから、こつこつかき上げるというよりは瞬発力勝負で思いついた時に一気に書き上げてしまう前提とすると、数時間から数日で書き上げられますよね。

 ただこれも、2時間と3日では差が大きいのは明白です。アンソロジーなど募集されているものに応募するなど、〆切前にいつから取り掛かれば良いかはご自身の実力を鑑みて逆算すると良いかと思います。


 こうして、およそ自分が一つの物語をどれくらいの時間で書き切れるか目算を立てられるようになると、コンテストの応募や出版社への企画持ち込みができるようになります。そうすることで、漫然と書き連ねるよりも遥かに書籍化に近付くことができます。

 ちなみに、コンテスト応募は当たり前ですがその募集要項に合致したお話を出して下さいね。

 以前のお便りで書かせて頂いた私の失敗談を、是非とも他山の石として頂ければ幸いです。(エッセイにも残していますので、気になる方はご覧ください)


 出版社への企画持ち込みは、平均字速が多い方(3,000とか)ならば書き上げて送るというのもありかもしれません。が、これはかなりレベルが高い行為かつそこまで多くないと思いますので、企画書という名の詳細プロットに

 1.物語のコンセプト、2.世界観、3.主要登場人物、4.起承転結

をまとめて提出すると、お互いに話が早いです。

 この時、起承転結は文字数で1〜2万文字くらいを目安にすると、過不足なくイメージが伝えられるかと思います。あらすじが上手な方なら、5千文字くらいでもいいかもしれません。


 少し話が逸れますが、プロット書くか書かないかは流派が分かれるので、「物語を書く」という行為に関していえばどちらでも良いと私は常々思っています。元々、私もプロットは作らずに書きたい一シーンが浮かんだら、それを目標に大まかな起承転結だけ決めて、後はひたすらそこに向かって書き連ねていくタイプです。大体、一行で書いておいた流れが5,000〜10,000文字に膨らみすぎて頭を抱えるまでがセット。

 そんな自分ですが、「書籍化する」ことを念頭に置くと、プロットは必要ですと言わざるを得ません。

 それは、書籍に携わる全ての人が、物語の端から端まで読み込む時間を持っているわけではないからです。

 コンテストの下読みさんや、拾い上げならば担当編集さんは物語を読んでくださいます。

 問題はその先。

 書籍化する為には大抵は編集部内で会議などを通さねばなりませんし、イラストレーターさんにも作品の雰囲気をお伝えしなければなりません。この時に「全部読んでください」はあり得ないので、プロットの形で物語を凝縮しておくと、後々大変捗ります。


 企画書(詳細プロット)という形にしておくと編集さんも目を通しやすいので、「物語全編読んでください」よりも「こういうコンセプト、雰囲気の話ですが需要ありますか」と尋ねることができます。

 ただでさえ忙しい方々のお時間を頂戴するのならば、それなりの形で分かりやすく宣伝するということが必須です。これが出来るようになると、どこかが駄目でも別の所にチャレンジする時間が短縮されるので、必然的に人の目に留まる回数が増える→書籍化のチャンスが増える、となります。


 なんにせよ、プロット切るのも平均字速が300と3,000では完成までの時間が段違いです。

 そういう意味でも、ご自身の平均字速は意識してみると良いかと思います。是非お試しください。


 

 東 吉乃


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― 新着の感想 ―
むーっ、書籍の本文中PRは運営が禁止行為としてチェックしているはずなので6話目のアドレス表示はちょっと危ないかもしれませんね。 と思ったら本文の最後で思いっきり『宣伝』って書いちゃっていましたね・・。…
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