0.はじめに
はじめまして、東吉乃と申します。
この度は弊エッセイをご覧頂きお礼申し上げます。
あらすじにも書きましたが、このエッセイは書籍化に関するこぼれ話をメインに、創作に関するちょっとした内容(主に私がどういう風に物語を書いているかなど)をまとめたものです。
あくまでも私の経験ですので、指南書であるとか絶対にこうした方がいい、というような内容ではありませんことをご理解頂ければ幸いです。人様にお教えできるような人間ではございませんゆえ、個人的な忘備録としてお考えください。
ベースはとある作者様との交流ですので、特段体系立っているわけでもございません。
読み物として「ふーんこんな風にやってる人もいるんだな」くらいの感覚で捉えて頂ければと思います。
余談ですが、タイトルの「極地」とは私がほぼどなたとも繋がりのない人間ゆえのものです。
誰も訪れない創作界の本当の極地に住まう自負がございまして……
が、別に人嫌いだとかそういうわけではなく、単純に書くことに割く時間を捻出するのに必死すぎてお付き合いをまめにできていない、というだけです。
一日二十四時間って少なすぎません……?
私、毎朝四時に起きて色々やってるんですが、本業もありその車通勤に高速使って往復二時間かかったりとかで、あんまり睡眠時間を削ることもできず、毎日十五分や三十分の時間欲しさにそれはもう必死です。
昼休みでさえ、ちょっと忙しければ吹っ飛んでいきますよね。
話が横道に逸れました。
タイトルの続きですが、後ろについている「カフェ」は、そういう場所になったら良いなという願いを込めました。
カフェというものに抱くイメージはそれぞれおありかと思いますが、私は「ゆっくりできる場所」「ほっと一息つける空間」として捉えています。
訪れた方がこの場で疲れを癒したり、日常を束の間忘れて休憩してもらえるような、そんな場所・読み物にしたいのです。
そういう意味では、喫茶とか食堂とか候補は色々あったのですが、日本語の柔らかさは好きながらちょっと昔の情緒が漂いすぎるな……と思い、横文字を選択した次第です。
このような不肖ながら、お声がけ頂ければそれはもう大変嬉しく、喜んでお返事させて頂きます。
私で良ければ皆様のお話伺うことはできますので、何かありましたら是非お知らせください。感想欄でもメッセージでもXでも、なんでも構いません。
どうしてこんなことを書くかというと、作者の方々にはできる限り書き続けて頂きたいからです。
これまでお付き合いさせて頂いた作者の方は何人かいらっしゃいますが、皆様それぞれに「書くということ」に対して大きな孤独や色々な悩みを抱えていました。私は聴くばかりで、その時に自分が持ち得る限りの言葉を届けるくらいしかできなかったのですが、それでも「嬉しかった、また書こうと思った」とお返事を何度か頂きました。
物語を書くことの効能というか素晴らしいと私が思っている点は、誰かの心を揺さぶることができることです。
その感動は原動力となり、それを元に誰かがまた物語を生み出すきっかけになるかもしれない。そうして物語が絶えず生まれ続けていけば、それに心を救われる人や活力をもらう人がいるかもしれない。誰かの辛い心を拭う、そんな瞬間があるかもしれない、と思うのです。
他でもない自分が、沢山の本や物語に数えきれないほどの感動や勇気をもらって今まで生きてきました。
以前別のエッセイで書いたのですが、私が物語を書き続ける原点、原風景には一人の架空の人物がいます。不遇すぎたその人物を忘れられない私は、その面影をずっと抱えたまま物語を書き続けています。それは長らく自分の為だけの物語たちでしたが、そのうちの二作を有難いことに書籍化させて頂いたことで、また別の方々に何かしらの感情をお届けできたのではないかと思っています。
なればこそ、物語が生まれ続ける土壌を大切にしたいのです。
書き続ける人が一人でも多くいてくれればそれは、読んで救われる誰かが一人、二人と増えると同義だと思うからです。
そして私は最終的にこのエッセイを書こうと決めました。
それは他でもない交流してくださった作者の方から、「話を聞いてもらえて良かった」と教えて頂いたからですね。
ただ聴くことで心が軽くなるなら、幾らでも聴こうと。
ついでに私の駄目すぎた・残念すぎる・惨憺たる駆け出し時代の話をすることで孤独や不安、焦燥が和らぐのなら、幾らでもお話しようと。
尚、「こんなこと訊いていいんだろうか」「自分なんかが声をかけて邪魔をするのも憚られる」などと躊躇う方もいらっしゃるかと思います。そういう方々こそ一歩を踏み出してくだされば嬉しいです。
もともとこのエッセイの始まりもそうでしたから。
とある作者様が悩みに悩み抜かれた上で、勇気を振り絞って私にお声がけくださったのです。
ただの極地である私に、です。
私は書籍化作家ではありますが、末席も末席です。大御所の先生方に比べると、私レベルでお話できることはそう多くありませんが、逆に声が届く近さを感じて頂けるのが良いところかなと思っております。
人に誇れることがあるとすれば、十年以上ずっと一人で書き続けてきたことでしょうか。
そういう観点からのお話も、そのうちにこのエッセイで書いてみようかと考えております。
とりとめもない始まりとなってしまいましたが、ゆっくり気楽にお付き合い下されば嬉しいです。