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文芸やコメディ等 短編集

くぅちゃんはきたくしたい

掲載日:2022/12/26

 ぼく、くぅ!

 八さいの男の子。


 今からぼくね、お家に帰るんだ。




 あそびに出かけた先で、ぼくは迷子になった。

 友だちもできたけど、ぼくにはしん友がいてちょっとしんぱい。

 ぼくの方がお兄ちゃんなんだから、さいごまでやっぱ、面どう見なくっちゃ!


「くぅ、どこへ行くんじゃ?」


 おじいちゃんが聞いてきた、ぼくは答えた。


「しん友のとこだよ!」


「帰り道、わかるかしら?」


 おばちゃんが聞いてきた、ぼくは答えた。


「大丈夫! ぼく八さいだからね!」




 みんなにお別れのあいさつをして、ぼくは道なき道をすすんだ。

 時々こけたし、きのう雨がふったみたいでどろんこになったけど、気にならなかった。

 だって、しん友にかっこいいとこ見せなくちゃ!


 ぼくはぐんぐん歩いた。


「あら、かわいいぼうや」


「わ、ちっちゃーい、かわいー」


 黄色い声を受けながら、どんどん歩いた。

 早くしないと、きっと周りがまっくらになっちゃうから。

 ぼくは、知らない道を、それでもこっちだって信じて歩く。




 だんだんと、見たことのあるけしきになってきた。

 ここは知ってる、しん友といっしょに遊んだ広場!

 かけっこして、すべり台で二人してすべったんだ。

 ぼくはボール投げがへたっぴなんだけど、しん友はとっても上手!

 がんばれって、おうえんしたっけな。


 そんな思い出といっしょに、ぼくはまだまだ歩く。


 歩いて歩いて、ふと遠くを見やると見知ったせなかが見えた。


 しん友だ!


 ぼくはいっしょうけんめい歩いた。

 歩いて歩いて、あともうちょっと。


 そんな時。

 横から近所のきょうぼうってひょうばんの犬、ツヨシがくるのが見えた。

 あいつったら、またくびわ抜いちゃってる!


 危ない!!


 ぼくは自分の体を思いっきりバネのようにして、しん友の前におどりでた。




 キャンキャンキャン!!




「あれ? ツヨシじゃないか、また脱走したのか? しょうがないなぁ。あれ、何咥えてるんだ?」


 ぼくだよ、くぅ!


「……くぅ! どこにいたんだよ、探したんだぞ。っておいツヨシ、これは俺の大事だぞ、離せ!」


 ぼくはガッチリツヨシに咥え込まれていた。

 しん友がなんとか助け出してくれたけど、耳がちぎれて、目も半分取れちゃった。


「あー、ボロボロじゃんか。でもよかった見つかって。母さんに直してもらおうな」


 そう言われて、ぼくはぶじ、おうちに帰った。


 耳はちゃんと治ったし、目は新しくかわいいボタンの形になった。

 せんたっきってやつで、ぐるんぐるんになったのは、目が回ったけど。

 おかげで体はふかふかだ。

 だから今日も、しん友と遊びに出かける。




「くぅ!」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分の意識歩き回れるすごいぬいぐるみですね。 無事?に帰宅できてよかったです。 名前からするとクマのぬいぐるみでしょうか。
[良い点] くぅがぐんぐん歩いていく様子が、力強くてかっこよかったです!! 最後の呼びかけも情景が浮かぶようで楽しかったです! ありがとうございました!
[一言] 無事お家に帰れて良かったね♪
2022/12/26 18:26 退会済み
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