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(プロローグ)学園都市

 西暦2521年、宇宙からの侵略者、「グロワース」に地球のほぼ半分を侵略され、残った国々が地球連邦政府を設立し、統一国家となってから約200年が経過していた。


「学園都市」と呼ばれる島、正確には、地球連邦政府所管高度専門職教育研究機関都市。敵の襲撃を受けないよう、地球連邦本土から離れた洋上の離れ小島に作られた、戦争の喧騒から離れた平穏な島で、全土から選ばれたトップエリート達の教育、最新技術の研究をつかさどる、連邦政府の頭脳養成機関である。


 ランチタイムの後のスコールがあがって、澄み切った空には雨雲に変わって飛行機雲が出来ている。鳥のさえずりが響き、小さな水溜まりが残った中庭。

生徒会書記のミミ(沢田美海)が、ポニーテールを大きく揺らしながら生徒会長の富士宮帆華を追いかけている。「ホノカ会長!ミミも一緒に行くのデスぅ」

帆華は軽く振り向き、「よろしくってよ。ご一緒に参りましょう。」と、ミミと並んで本館の生徒会室に向かった。


 勢いよく生徒会室のドアを開けるミミ。部屋には生徒会広報の堀凪沙が居た。

「凪沙サン、お疲れ様なのデス! 記念艦の状況はどんな感じなのデスかぁ?」


「よぉ、ミミ。昨日、科技大(連邦科学技術大学)での作業が終わって、重工(富士宮重工)のドックに移った所だよ。」凪沙はショートボブの前髪を右手でかきあげながら答えた。


「おや?わたくしどものドックへ、で御座いますか?」帆華が不思議そうに尋ねる。


ちなみに、帆華は富士宮家本家の末っ子で一人娘。お嬢様育ちだが、全く嫌味がない天然系で、好奇心旺盛ではあるが、おしとやか、そして容姿端麗、まさしく大和撫子である。


富士宮家は銀行、鉄道、発電所、機電、重工等を傘下に持つ地球連邦最大コンツェルンの創業一族で、地球連邦政府の議員、役人にも親類が多く、地球連邦が統一する際に民間サイドから各国の調整をした、地球連邦の父的存在である。


「よぉ、会長。そうなんだ。帆華会長が乗船するなら、念のために防御装置を強化するってことらしいよ。」

「あらあら、わたくしが急遽乗船することになったことで皆様にご迷惑をお掛けしているのでは御座いませんでしょうか?」

「ホノカ会長、そんなこと無いデスよ!会長が連邦サミットに出席するより、一緒に航海できる方が皆嬉しいデスよ!サミットスケジュールの変更に感謝なのデスぅ。」

「そうだぜ会長、せっかくの周年祭記念航海、皆でやらなきゃ面白くないぜ。」

「美海さん、凪沙さん、わたくしも皆様とご一緒出来て、とても嬉しゅう御座いますの。素敵な航海になるとよろしいですわねぇ。」


「おっと、そう言えば、もう一つニュースがあったな。船医として連邦医大(地球連邦医科大学)インターンの杉下さんが乗るってさ。」

「わぁ、杉下先輩! 杉下先輩はミミの中学の部活の先輩なのデス。優しくて、相棒思いの頭脳派で、ミミの中学は連戦連勝だったのデスぅ。」

「まぁ、そうでしたか。美海さんは何部でいらしたのですか?」

「えぇと、ミミは園芸部なのデスぅ。」


「はぁ? で、連戦連勝?なんじゃそりゃ?」凪沙が自分の前髪を鷲掴みにして聞き返した。

「春と秋の園芸大会デス! 相手は地元の敬老会の盆栽部と菊の会だったデスぅ。」


『相棒思いの頭脳派なら、チェス部って設定にすべきだろ。なんだ?園芸大会の頭脳派って・・・』 帆華と凪沙は目を閉じて小さなため息をついた・・。

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