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吸精魔の歩き巫女 玲奈の天下創世記  作者: 羽柴藤吉郎
第2章 尾張のうつけとの邂逅
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未来の盟友

信長の妻になり、玲奈は信長の為にいろいろと尽くす。

 天文18年(1549)11月。

三河松平家の当主 松平広忠が、家臣に暗殺されて亡くなった。


駿府の今川義元は、尾張に囚われている竹千代(徳川家康)を案じて松平家臣団が織田信秀に靡かないようにに、対処策を練り上げた。


大原雪斎に軍を率いて三河に進撃させて、岡崎城を接収。


竹千代救出作戦という名目を掲げて、織田信広の住む三河安城に攻め寄せた。


まさか攻めてくると思っていない信広は何も出来ないまま、今川軍に降参し、捕虜となった。


交渉人の才能を発揮する大原雪斎は、尾張に人質となった松平竹千代と捕虜の信広との交換を提案して、織田信秀との交渉に入った。


織田方の平手政秀との数度に渡る交渉の結果。


織田は人質交換に応じて今川と合意した。


那古野城の信長は事の成り行きに悔しがった。


憤懣を玲奈にぶちまけた。

「不甲斐ない兄の信広が碌に戦わずに城を明け渡し捕虜となったせいで、我が家は三河安城を今川に引き渡すことになった」


「まぁでは竹千代様は、そんなに不甲斐ない腹違いの兄との交換に、まんまと利用されたんですね、三河まで今川の勢力下に入ったのでは、織田家は喉元に刃を突きつけられたようなもの」


「忌々しい成り行きだが、そうなる……今川の大原雪斎とのいう坊主がなかなか策士でな、義元の信用厚い男よ、あらかじめ捕虜にした信広と竹千代の交換をオヤジに要求したのだ、そしてオヤジは屈服して竹千代を手放し、三河安城を捨てる道を選んだわけだ……クソ」



11月10日 尾張の笠寺にて松平竹千代と織田信広の交換が厳重な護衛付きで行われた。


見送りに来ていた玲奈は、竹千代の目を優しく見つめるとデカイオニギリを手渡す。


「向こうでも良い子にてして、お野菜はちゃんと食べるのですよ」

優しい言葉に竹千代が はいと、涙目で答える。

健気な竹千代に玲奈は微笑み返して今川兵へと送り出す。


松平竹千代は丁重な扱いで駿府に旅立った。


その様子を玲奈と信長はいつまでも見送った。



「竹千代は良いやつだぞ、俺を兄貴として一生ついていくと言ってくれた、その心根の良さ、気にいった」


それを聞いて玲奈は思う。

(無邪気に言っちゃったか……お人好しの三河の坊や)


人の良い竹千代が将来的に、信長に苦労させられる未来が垣間見える玲奈は、竹千代に同情した。


「弟が増えて良うございましたね、旦那様」

「まあな、俺の弟も竹千代くらい素直なら可愛げがあるが、そうもいかんわ」

生意気な信行を思い出して忌々しい気分になる信長は、寂しげに笑った。


「それよりも玲奈……来年は子供が産まれるゆえ、良い年になるといいな」

玲奈の腹に目を向けて信長が今度は明るく笑った。

玲奈も笑い返して信長に寄り添う。


続く。

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