青のノート編最終
第十五話 閑話・参
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やぁ、また会ったね。これで三度目かな?え?誰だって?それは教えられないなぁ。自分で考えてよ。
今回のお話は恋の話さ。
誰が主体かはそろそろ予想がついてると思うけど、最後まで付き合ってくれ。
前回出てきた女の子。彼女はよく彼と遊んでいた。町外れの花畑。森。秘密基地。とにかく、いろんな場所に連れてって、彼は彼女にアピールをしていたんだ。
でも天真爛漫な彼女はただ楽しむだけ。彼の気持ちには全く気づいていなかったんだ。
「今日は釣りをしよう!」
「釣り竿はあるの?」
「そんなの木の枝に糸をつけて餌を刺せばいいだろ」
「え……」
……とまぁ、こんな感じだ。
彼のアピールが良くないというのは言わないお約束。だって事実だからね。
彼もどうしてかはわからないけど、彼女に振り向いてもらおうと必死だった。
振り向いてもらって、何になる?
振り向いてもらったあとは、どうするの?
それは彼には考えもついていなかった。
考えることはしなかった。まだまだ先の話だからね。
「……もしも世界で二人だけになったら……どうする?」
「そんなことはないと思うな」
「もしもの話だよ!」
「だって、神様がちゃんと世界を守ってくれてるんだもの。世界がそんなことになるわけないよ。ね?」
彼女は信心深い娘でね。神様が世界を見守っているからこの世界は成り立っている。そういつも教えられていて、神様に感謝をしないといけないと自分でも律しているんだって。偉いよね。
「……うん……」
一方、彼は神を信じていなかった。
そりゃあ家ではひどい目にあっているんだもの。神なんていないと思うのも当たり前だよね。だって、神様がいれば、毎日痛い思いをすることなんてないんだから。
彼は日に日に増えていく傷がある場所を見て言った。いつも厚着姿なのは、彼女に見られないようにしているからだ。彼女に心配をさせたくなかったからだ。
……そこで、事件が起きた。
天変地異。そう、天変地異と言うのに相応しい事件が起きたんだ。
被害者はこの世全ての人。
人間は全て死に、人間は全て神となった。
全員、漏れなく、誰一人として例外なく、人間は死んだ。この世から人間は滅びたんだ。そしてこの世には神が溢れた。
溢れた神たちは自分の力を示そうと、殺し合いを始めた。
全ては自らの地位のため。
それはまるで人間のようだった。
かくして彼の恋は実ることなく、神の勝手気ままな鉄槌の元、果実のように潰れてしまった。
嗚呼、かわいそうな少年!人並みの人生を送れず、自分を迫害した全ての人間を恨んで神となった!
その力は誰に振るう?
もちろん!家族全員だろう!
虐めてきた当事者の五人の兄や姉!見てみぬふりの両親!関わろうとしなかった親戚!そして事実を知っていながらも持ち上げて嘲笑っていた町の人々!ついでの他の人々!
全員!全員だ!
最強の力を手にした彼は、その力を自分の欲望のまま解き放った!
一ヶ月?一年?いや、わからないほどの期間、神秘の世界には血の雨が降り注いだ!聖なるものに見せかけた、汚れに汚れた欲望の雨!
だが、それを見たものは誰一人としていなかった。なぜなら地上には人間は誰一人としていなかったからね。当然だ。さっき言ったとおり、全ての人間が、神が、彼の手にかかったからね!
ああ……っと。喋りすぎたかな。今回はここまでにしよう。喉を酷使するのは良くない。本を読み続けることができなくなってしまう。
とにかく、今回知ってほしかったのは必ずしも平和は続かないということだ。神様も退屈していたんだろうね。この完璧な世界に……。
次は創世の話でもしよう。壊したものはちゃんと元に戻してもらわなきゃ。それが壊した者の責務だからね。
じゃ、そろそろ続きを読みたい頃だろう。ここで舞台裏に戻るとしよう……。
どうも、グラニュー糖*です!
現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!
こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。
本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!
なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!
ではでは〜