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【最終章】怪奇討伐部Ⅶ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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無理だそうです

第十話 衝撃の事実




「無理ね」


 ズバッと言われた言葉に俺たちは固まった。そこまでバッサリ言わなくてもー!


「なんでだよ、姉ちゃん!いい案だと思ったのに」

「話を聞いている限り、あれって巨大なんでしょ?ノートには無理だと思うなぁ」

「えー」

「それにノートが負けたとしても、惑星くらいあってなおかつどこまでも追いかけてくるものが敵なら、勝ち目はないわよ?」

「ごもっともです……」


 いつも何も考えてなさそうな姉ちゃんがここまでバッサリ切り捨てるなんて。


「どうするんだよ、作戦が一瞬で消え去ったぞ」

「うぅ……あれは放っておくほうがいいか。下手に手を出さないでおこう」

「……アシリアちゃんのことは残念だったわね」


 姉ちゃんは窓際に置いた空の瓶を見て呟いた。姉ちゃんにはアシリアのことは話している。……ムジナが、だが。俺は補足をしただけだ。


「言うな……悲しくなる」


 後悔とともにフラッシュバックするアシリアの悲しそうに微笑む顔。

 あれは俺たちに重くのしかかるカルマだ。もしかすると他の人たちは振り切って、そう思っているのは俺だけかもしれないが。でも俺は忘れない。あんなことがあったことを、忘れちゃいけないんだ。


「……ん?」


 プルルル、と電話が鳴る。俺のスマホだ。ボロボロのリビングを離れ、俺は寝室で電話を始めた。


「もしもし」

『ヘラ』

「皇希か。何かわかったか?」

『いえ……。ですが、分身したノートの倒し方と注意点がわかりました』

「……は?」


 分身。分身!?聞いてないぞ、そんな話!ノートが増えたなんてそんな大変なこと……っ!!


「分身!?分身って言ったか!?」

『え?はい、言いましたけど。何かおかしなことでも?』

「ノートって、分身するのか!?」

『……実際、分身したノートと僕たちは戦いました。これから話すのは先程の注意点の内容となりますが……出現したのは東京とアメリカの二つ……偶然にも僕たち警察とイリアくんが戦える場所に出現しました』

「待て。イリアに戦わせたのか?」

『連絡を入れた時点でもうすでに戦闘は終了していました』


 なんてことだ。ノートは俺たち悪魔ではなく人間を先に始末することにしたのか。人間界に行くことができない今、助けることはできない。


「……結果は」

『どちらも勝利しました』

「よかった……!」

『ですが』

「まだ何かあるのかよ」

『僕たちには後遺症が残ってしまいました。おそらくノート本体を倒さないと治らないでしょう……』

「後遺症?それにノートを倒すって……」

『それについてはボクが説明しよう!!』

「うわっ!!」


 突然爆音で聞こえたのはマリフの声だった。俺は驚いて皇希に貰ったスマホを落としそうになる。


『そんなに驚くことないだろー?この天才マリフ様が教えてやるんだから!』

「自分で言うか……。で、何だって?」

『まずは後遺症の話から。黒池とリストが相手をしたのは正義の名のもとに制裁を下すノート。二つに一つって言葉通りに、もしただの人間と剣士なら、どっちかにしろ!ってやつだよ。敵なんだからただの人間のが倒しやすいよな。だから本来は非戦闘員にするべきだった……』

「だった?」

『リストの奮闘でノートを追い詰めることに成功したんだ。でも……それがダメだったんだ。ノートの力が不安定になってね。そのせいで……攻撃を受けた黒池は、二つに一つではなく「両方」になってしまった。つまり、剣人間になってしまったわけだ』

「…………………………………………何だって?」

『ま、理解できないよな!簡単に言うと、黒池は人間の身でありながら体が剣と同じ機能を持ってしまったわけさ!誰かを触ると誰かを傷つける。レポート用紙を持ってみろ、ビリビリになるぞ!』


 アッハッハッ!と笑い飛ばすマリフだが、その笑いには別の感情が混じっていた。本気で笑っていないんだ。俺を落ち着かせようと、無理に笑っているのだろう。だが、俺にはもうそんな気遣いは無用だ。俺はもう心に決めたんだ。お前たちが心配せずとも、絶対にノートを倒すと。


「……で、イリアの方は?」

『イリアが相手をしたのはどうやら孤独を拡めるノートのようだ。孤独を毒にして可視化して散布していたようだ。イリアはその毒を至近距離で浴びた。その毒は、吸った人間が「自分は孤独だ」と認識すると効果を発揮するもので、今は悪魔たちの存在があるから孤独じゃないと断言しているが、少しでも心の隙に付け込まれたら終わりだ。その前にノートを倒せばそれも消える』

「なるほど。大体はわかった。だが……なぜお前が知っている?」

『そりゃあボクだからさ!包み隠さず情報を与えてるんだ、それくらいにしてくれよ!』

「む……相変わらず胡散臭いな」

『ミステリアスと言ってくれ』

「……話はこれで全部か?」

『……はい。ヘラ、キミも後遺症に気をつけて。最後の大事な戦いのときに健康な体じゃないと勝てないかもしれないですからね』


 皇希に変わっていた。マリフが「ミステリアスと言ってくれ」と言ったあと、飴を口に運んで歯に当たった音がしたからだ。


「後遺症を気にしていたら戦えるものも戦えなくなる……俺は死ぬ気でやるよ」

『……っ』

「もう言いたいことはないか?」

『……倒し方の話が残っています』

「そうだったな。大切なことだな」

『彼らは理解することが大事です。ノートが何をやりたいのか、何を考えているのか。理解するか、完全に否定して自分の正しさを表してください。そうすれば、意義の力が無くなり攻撃が入るようになるかと思います』

「…………………………………………は?」


 また訳のわからないことを言っている。

 もういい、もうわかった。ノートを相手にするということは深いことを考えるなってことだろ!


『ええっと……つまり、自分の意見を大事にして、ノートに流されないでください!』

「当たり前だ。俺は俺の流儀がある。誰にも曲げさせるものか」

『ふふ、頼もしいです。……僕とは程遠いところに行ってしまいましたね』

「え?」

『僕はずっとヘラを追いかけていた。追いかけて、追いかけて……追いつこうと、いえ追い抜こうとしていました。ですが……あなたは僕とは違う場所にいる。僕の手には届かないところに行ってしまった。ヘラ、僕が一番心配しているのはあなたです。自分を見失わないで。決して。絶対に。…………約束、できますか?』


 いつもと打って変わって静かな声で話す皇希。声の外側から布が擦れる音がした。ベッドの上……まさか入院沙汰になっているのか?


「……当たり前だろ。俺はノートを倒す。そして魔界を守る」

『………………』

「違うか?」

『……その考えさえあれば大丈夫でしょう。ヘラ……頼みましたよ』

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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