第49話 色男の心機一転
仕事にプライベートで休日がほぼない生活が続いていましたが、ちょっと時間が取れたので短いですが更新しました!
エリック・ガーランドは自分の情けなさに心底呆れていた。
意気揚々とエバ・凛音・神宮院に勝負を持ち掛け、圧倒的大差をつけて勝つと思い込んでいた勝負で大差をつけられて負けた。
しかも、エバからは勝者の願い事で「女遊びに現を抜かさず、もっと強くなりなさい」と情けをかけられたのだ。自分たちにとって有利になるような願いをせず、ただ開拓士として強くなれと。
開拓士以前に男としても情けない気持ちで一杯だった。
当たり前の話だが事前にエバのチームのことは調べていた。
勝負相手のことを調べておかないなど普通にあり得ない。
そして、仲間たちの報告結果から「大したことがないチーム」という結論に至った。
気を付けるべきはリーダーであるエバ一人だけで、残りは平民上がりの凡人ばかりだったのだ。強いて言えば実技で目につくアリカという女はいたが、あれは勉学では落ちこぼれの典型的な猪武者でしかなかった。
他の二人に至っては多少精霊術を使えるようになっただけの典型的な素人で、現時点で総合力という点において負ける要素は一つもなかった。
そう思ったからこそ勝負を仕掛け、入学時のいざこざに対して相手からの謝罪を求め気分を晴らそうとしたのに、結果はまるで逆になった。
自分たちの教官であるクリスタからも『これを機に心を入れ替えて明日からの訓練に力を入れて頑張りなさい!』と言われる始末だ。何も言い返せなかった。
悔しいかと問われたら悔しいと答える。
恨みはあるかと問われたら否と答える。
エリックは素行故に軽薄で不真面目と思われがちだが、いや、女好きという点については自他共に認めているところであるが不真面目ではない。ある程度の実力が伴っていなければ精霊術を修める開拓士見習いとしてやっていけない。それほど開拓使養成学校は甘い場所ではない。
仲間たちと切磋琢磨をし、クリスタ教官指導のかいもあって短い期間ではあるが訓練によって更なる力を得た実感はあった。
けれど、エバ率いるチームはエリックたちのそれを更に上回ったのだ。
積み重ねた自尊心は木っ端微塵に打ち砕かれた。
「ふふ、はははっ……!」
思わず笑いが漏れた。
負けとはもっと苦いものかと思っていたが、いっそ清々しい気分だ。
ガーランドという家名を背負い、開拓士として名をあげてきた一族に恥じぬように心がけていたが上には上がいるものだ。
神宮院家に生まれながら『色なし』と呼ばれたエバ。ガーランド家に生まれ全色の適性がある『色男』のエリック。全てにおいて対象的な二人であるが、エバは才能の有無に関わらずあれだけの成果を出したのだ。
「負けていられないな」
これでも『色男』として浮名を流してきたのだ。女性が言ったことを守らないわけにはいかないだろう。クリスタ教官が言ったように心を入れ替えて、もう一度頑張ろうと思った。




