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開拓のアリカ  作者: 菊日和静
第二章 開拓士養成学校編
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第47話 作戦会議

 エリックたちの勝負から2日ほど経った。

 あれ以降、彼らは意外にも──いや当然のことのように調査に励む姿が見えた。

 エバの発奮がよほど効いたのだろう。

 そんな姿を見るとこちらも負けてられないと思う。


「よっし! 今日はどこの調査に行く?」

「まったく朝早くから元気ですわね」

「あはは、アリカらしいね」

「その前に朝食の支度できたから早く食え」


 ボッシュの言葉に女子三人が「はーい」と言って集う。

 食事の当番はローテーションで担当を割り振っており、今日はボッシュが当番の日だ。開拓士(ピス)を目指している以上、学校で料理についても一通り習っている。セネムは元より、あのエバでさえも食事当番になっても作れるのだ。

 しかし、食事が作れることと美味しく作れることは違う。

 人によって味付けには個性が表れ、セネムはホッとするような家庭料理、エバは香辛料を効かせた料理、アリカは豪快な肉料理をそれぞれ得意としている。

 そして、ボッシュはその三人の上位互換みたいな存在だ。

 本人は「いや、割と適当に作ってるだけだぞ?」とか言いながら、テキパキと調理工程を進めていて、味付けに関しても目分量であるはずなのに、絶妙な塩加減や香りで調和がとれていて、食べたら一味違うのがすぐに分かるレベルなのだ。

 この野外実習になってからボッシュの凄さを知ってばかりである。

 朝食もパンと簡単な肉料理であるはずなのに、大変美味しく一日の気力が湧くのを感じる。


「さて、それじゃあ今後の方針について話し合いましょう」


 食事も終えてエバが早朝会議を仕切る。

 毎日このように今日やることについて話し合い、何をどこまで調査するのかを確認している。


「まずは昨日までのおさらいですが、この拠点から半径3キロ圏内についての調査は行ったので、さらに距離を伸ばしていきます」


 これについては皆異論なく頷いた。

 当初の方針通り、1日について1キロずつ距離を伸ばし、拠点環境を整えながら調査をしていったからだ。最初の内は簡単な調査を行いつつ、十分な食材を確保して後半に調査距離を伸ばしていく作戦だ。


「今日はより奥地へと進んでいき昼過ぎの段階で折り返します。基本的に戦闘はできる限り避け、猛獣等の危険生物の有無を確認します」

「それについては同感。さすがに昨日見た≪黒鉄鰐≫みたいなのと戦うのはごめんだわ」

「あー、あれな……。開拓領域とはいえハイ領域に近いとこなだけはあったな」

「うん。1匹だけじゃなくて5匹ぐらいの群れだったもんね」


 各自、昨日見た光景を見てげんなりした表情を浮かべる。

 ≪黒鉄鰐≫はサランクィラ地域にいる肉食の鰐であり、全長は確認されているだけでも4メートル程度の大きさの個体が確認されている。水辺に生息しており、体表が黒いこともあり濁った水面では見つけづらく、獲物を引きずり込む獰猛な生物だ。

 さらには黒鉄という異名もあって皮も堅い上に、群れるという厄介極まりない習性を持っていることから、基本的に見かけたら逃げろと言われている。


「んでも、アリカならいけるんじゃねーか? そんだけでっかい剣持ってるんだから」

「1匹ならともかくねー。複数に囲まれたら私だってやばいって。師匠からも獲物が複数率いる時はできるだけ狩りは避けろって言われてたし」


 なんやかんやで師匠であるクオンの教えを守っているアリカだ。

 本人の経験的にも、一対一なら動きも予想や対応もできるが、複数匹の獲物が襲い掛かってくるだけで信じられないぐらい場が混乱する。修業時代に複数匹の獲物を狩ろうとして大失敗した経験もあるだけに、ここは逃げの一手を推す。

 その後も、細かな調整や話し合いをして会議は終わった。


「では、方針は決まったので会議は終わります。アドレット教官もそれでよろしくて?」

「特に言うことはねーな。ったく、もうちっと俺に教官の仕事をさせてもいんだぜ?」

「あら、でしたら意図的にトラブルでも作りましょうか?」

「はっ、お前らが解決できねーことならな。ま、俺ら教官組は今日もある程度距離を取りつつ、お前らが何かあった時の救助役として動くとするよ」

「了解ですわ」


教官の了解も取れたのでこれで会議は終わりだ。


「皆、出発しますわよ」


 その一言で全員が立つ。

 不謹慎かもしれないがアリカの胸は心躍っていた。

 今日も何の未知が待っているのか楽しみだ。


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