第38話 霊操法
残業ばかりで執筆時間が取れないのに、ライブアライブという過去の名作をリメイクされた件。
ストーリーは近未来編が好きです。
だから、ゲームに夢中になるのは仕方がないと思うんです。
なあ、そうだろ、松っ!!
「アドレット教官! 『れーそーほー』ってなんですかっ!?」
「はっはー! それを今から説明するところだぜ!」
向こうのノリに引っ張られたが、新しい力に興味津々なアリカは思わず質問してしまった。
最近、エバに格闘の試合を申し込んでは負け続けているから気が気が逸っているからではない。決して。
「お前ら。精霊がどこにでも『在る』ってのは習ったから知っているな?」
それは、知っている。
かつて師であるクオンから教えられたことであり、精霊を感じ取れるようになった今となっては実感としてわかっている。
「んでだ。精霊の力ってのは『二種類』ある。身体的な力の『精力』。そして、霊的な力の『霊力』だ」
このあたりの説明からアリカは「?」でいっぱいだ。
身体的な力は練精法によってわかっているが、霊的な力とは何だという感じだ。
「その霊力を操るのが『霊操法』ってわけだ」
その説明をアドレットがしてくれる。
ざっくりといえば精霊を身体に取り込み、精力を練って身体強化するのが練精法。
そして、もう一つの霊力を繰るのが『霊操法』とのことだ。
「アドレット教官。二種類あるのは理解したんですが結局『霊力』って何なんですか?」
「いい質問だ、ボッシュ! その答えはだな──よくわからんだ」
何言ってんだこの教官?
そんな呆れた瞳をボッシュやアリカがして、アドレットは苦笑した。
「いや、マジでこれ冗談抜きの話なんだよ。てか、霊力とは何かということを研修テーマとして実験しているところもあるぐらいなんだぜ」
「ま、説明するよりまずは見せたほうが早いだろう。ほれ、たとえばこんな感じだ」
アドレットの手からぼんやりと光が集まってきた。
そして、徐々に手から離れていって光の球が完全に浮かび上がった。
夜の森や廊下を歩くと暗いので、まさにあれがあるだけで照明要らずである。
「こんな風に霊力を色んな力に変換できるのが特徴だな」
なるほど。つまりは霊力とは不思議な力であるとアリカは理解した。
その答えをボッシュやエバが聞いたら頭が痛くなりそうな答えであるが、なまじ合っているだけに否定しづらいものであった。
「それをさらに発展させるとこんなこともできる」
すると光の球が霧散して無風だった場所から風が吹き出した。
ただの自然現象のわけがない。
あきらかにアドレットが精霊術によってやったことだとわかる。
「今のは霊力を『風』に変えてやったんだ。こんな風に霊力を別の性質に変えることもできる。これを『色性付与』と言う」
霊操法によって霊力を自在に操る。
そして、色性付与によって風という色を霊力に付けることで風を現出させた。
知れば知るほど精霊術というのは奥深い。
アリカは新たなことを知ることに背筋がゾクゾクしてきた。
「まずはお前らには『練精法』で練った精霊を体外に出力するところまでやってもらうつもりだ」
練精法ならお手のものだ。
すぐに霊操法も会得してやるぞと意気込んでいると、
「この中だとエバは既に『霊操法』を使えてるわけだが、制御はまだまだってところか?」
「えぇ。持続時間、制御、出力にまだまだ課題がありますわ」
「わかった。お前はその辺を重点的にやっていこう」
何やら無視できない情報が耳に流れ込んできた。
エバはすでに霊操法を使っている。……使っている?
「って、ちょーっと待った! あんたまさか! いつも私との試合でやってる滑る歩法って……!?」
「もちろん、霊操法で足場を作っているのですわ」
「ずるくない!?」
「ずるくありませんわ。最初に言ったではありませんの。『精霊術』ありの試合だと」
「くっそー! そうだった!?」
そういうカラクリだったのかと知って愕然とした。
精霊術ありの試合だと合意したのは自分だけれども、何だか悔しい。
相手の方が一歩も二歩も先に進まれている感じがして。
「私もすぐに霊操法を覚えて追いついてやるからな!」
「ふふっ。でしたら私はさらにその先を行くだけですわ」
だから、エバにだけは絶対に負けたくないと意志を露にする。
いつまでも同じ自分だと思うなよと言わんばかりに。
そんな二人を見て、
「ったく、若いっていいねぇ〜」
「教官。そんなこと言うとさらにオッさんに見えますよ」
「ほっとけや」
アドレットはボッシュにデコピンをした。
霊操法で作った光の球で。




