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02幕 琥珀は緑の夢を見る

砂漠のオアシスの国に住むライラとレイラは幼馴染。城に上がるための身体検査の前日、砂嵐で目を傷めたライラはその検査に落ちる。おまけに傷跡が醜いという噂まで立ってしまい嫁ぎ先は決まらない。レイラが城で豪華に暮らすと知らせを寄越す中、ライラの日々は惨めさを増すばかり。そんなある日、泉のほとりで怪我をした一人の男に出会ったことからライラの運命が目を覚まし始める。


※作中のヴェールですがブルカをご想像下さると助かります。明記すると地域や宗派の特定になりかねないので総称のヴェール表記にしました。


キーワード:中東風 物語 身分差

 砂漠に囲まれたオアシスの国。ここでは女の子は10歳になると身体検査を受ける。それに適った美しい娘は皆、宮殿へ召し上げられ働く決まりになっている。中にはそこから王に見初められ妃になるものもあると聞く。一夫多妻制のこの国、第一夫人でなくても王からの寵愛は受けられる。誰しもが憧れた。

 検査で選ばれなかった娘はその日から全身を厚手のヴェールで覆い、親族と夫以外に肌を見せることのない生活を送る。目元すらそれなりの厚みの布で覆われ、うっすら透けて見える程度。一見不遇に見えるこれは国にとっての宝石である女性を守る大切な決まりとして義務付けられている。



 幼馴染のレイラとライラは歳も近く、名前が似ていることから仲良しでよく一緒に遊んだ。将来の話をする時、レイラは必ずその美しい空色の目を輝かせてハレムに入ると宣言したものだった。レイラの瞳はこの砂漠で重宝される水を象徴する色だと、レイラの母がよく褒めている。珍しい色の瞳は王に特別に歓迎されると聞く。ライラはあまりハレムには興味がなかったが、見目の美しい友人の夢を笑顔で応援した。


 10歳の身体検査の前日、レイラとライラはいつものようにオアシスの泉のほとりで仲良く砂に絵を描いていた。すると強風が吹いた。ここではよくあることだ。だが今日は違った。砂を含む風に視界を細めたその時、

「キャア! ライラ! ごめん!」

そう叫びながらレイラがぶつかってきた。鈍い視界のライラの目に砂がこすりつけられる。もんどりうって痛がるライラを気遣い、砂を払うような仕草のレイラの手がその目をさらにこする。痛みに涙が止まらない。ライラは砂と涙で殆ど目が見えず、レイラに手を引かれ泣きながら家に帰り、病院へ連れて行かれた。


 翌日の身体検査にライラは落ちた。砂がこすられた目は腫れ、視界も満足に回復していなかったライラが試験に合格などするはずもなかった。レイラはぶつかったのは強風に煽られた事故だったと謝り、ライラはそれを許した。たったひとりの友人を疑うこともなく、ライラはレイラの合格を祝った。

 友人がハレムに行くのを見送る頃には視力は回復したがその顔はすっぽりとヴェールに覆われ、しきたりにより男性と接することもない彼女の美しさを知るのはその親だけとなった。



 ライラの元にはハレムの友人からたまに手紙が届く。ハレムの内情を手紙に書くことは許されないが、煌びやかさを伝える手紙は検閲を通過し、届けられた。幸せそうな報告に笑みがこぼれる。手紙に綴られた見たことのない、夢のような宮殿の装飾の話に胸がときめいた。だが、抱かなかった夢で、今更抱いても叶うことはない夢だ。一種のおとぎ話として手紙をしまった。




 16歳から婚姻が可能になるこの国では、その頃までに親が結婚を決めるのが普通だ。だがライラの結婚は難航した。15になっても嫁ぎ先は決まらない。年頃の少女は皆、同様に宝石を守るヴェールを被り条件は同じだが、どこからか10歳のライラの身体検査の際の醜い目元の噂が広まってしまったのだ。おまけにその際の跡があると言う尾ひれまでついている。違うと言ってもそれを証明する術はない。目元の薄布の部分を覗きこめば見えるが、そんな不躾な戒律違反者はまずいない。

 父が申し込みに行っても、もらえる話は年配男性の何番目かの夫人という条件ばかり。戒律に則る夫は優しくても先の夫人や召使いはどうだろう。父は可愛い娘がそんな噂が元でこんな扱いを受けるのだけは許せなかった。

 ライラは苦しむ両親に告げた。この噂では自国で嫁ぐのは難しいだろうから、他国へ嫁いでも構わないと。父は織物の仕事で他国の人間とつながる事もある。皆いい人だが風習が異なる国に、可愛い一人娘を送るのはやはり抵抗がある。ライラの嫁ぎ先は見つからないまま日々が過ぎて行った。




 ある日ライラが泉へ水を汲みに行くと、見知らぬ美しい男性がほとりにしゃがんでいるのが見えた。慣習から男性の邪魔をするわけにはいかず、ライラが別の汲み場へ行かないとならない。踵を返したその時、大きな水音が響いた。

 振り返ると先程の男性が倒れている。水桶を放り出しライラは駆け寄った。幸いにも浅いところで顔から肩までが半分浸かっているだけだ。だが口や鼻から水が入れば溺死の危険がある。

 男性に触れる事は許されないがここは居住区からは少しある。誰かを呼びに行く時間はない。衣服なら、と肩に掛かるマントを渾身の力を込めて引っ張る。濡れて重たい身体がずるりと水際に移動し、その口から水がこぼれた。

 その時初めて気が付いた。男性は怪我をしている。掴んでいるマントの逆の端が赤く染まっているのだ。真っ青になったライラはとにかく男の命を救うことを考えた。触れてはならない掟だが、こうなっては人の命に勝るものなどない。ライラは男性の頭を抱え水を吐かせると、身体を動かし傷口を確認する。腹部の切り傷はそこまで深くないが大きい。相当量の出血があったのだろう。服はべったりと血に濡れていた。

 指で呼吸を確認していると男が何か話している。許される距離では耳を寄せても言葉が聞き取れない。ライラは鞭打ちを覚悟してヴェールをまくり、目を固く閉じた彼の口元に耳を寄せた。

「……ラムジ……医師を……」

ラムジなら町はずれ、一番近くの医者だ。ライラも知っている。ヴェールを戻すと「すぐに戻ります」と彼の姿を隠すようにこのオアシスでは大きな葉を何枚も乗せ、ライラは走った。




 ラムジ医師は10歳当時ライラの目を見てくれた医師だ。元々宮殿の医師と言われているが真相はわからない。ただ、あの頃この国で唯一、貧民でもかかれる医師だった。ヴェールのない子どもなら性別を問わず診てくれる。男性の為あれ以来世話になることは少なかったが優しい人だ。告げる事はなかったが医師もまた、当時からライラの事を優しい子だと思っていた。ひどくこすられた彼女の目に作為的なものを感じたが、事故だと許したと聞いたときも、今の心無い噂にも心を痛めていた。だが男性の自分が彼女の噂を否定すると彼女の立場が危うくなる。ヴェールの向こうの彼女を信じる事だけが彼に出来る罪滅ぼしだ。

 その彼女が診察室に駆け込んできた。事情を話す暇もないと判断したライラが涙声で急患だと告げると医師は快く一緒に向かった。


 泉の側の葉の山を指差すとライラは後ろに下がった。葉を山にしたのは明らかでライラが掟を破ったことを医師は悟ったが笑顔でかぶりを振った。そして葉をどけると、ハッと息を飲みその場に崩れ落ちた。

 一瞬の後、ライラに父親を呼びに行くようにと指示を出した。大量の水を運ぶ瓶と荷車を引いてきてくれという。そしてこの人の事は誰にも知られてはならないと。ただならぬ雰囲気にライラは黙って頷くと父を呼びに戻った。医師が涙を流してその手を握る様子には気が付かなかった。




 父は娘の言う事をすぐに信じてくれ、あくまでも何でもない風だが急ぎ足で泉へ向かってくれた。医師は応急手当てを済ませており、ぐったりした男性にはまた葉が掛けられていた。

 ラムジ医師が父の耳元に何事かささやくと父はひどく狼狽えたが、やがてしっかりとした顔つきで頷いた。水瓶に男性を入れるとその上から先程ライラが投げ捨てた桶を被せる。無理はあるがある程度見えなくなった。

 そのままラムジ医師の家へ運ぶという。本来ならライラは一緒には行けないが医師が来てほしいというので父の横に控えた。裏口から診察室に入ると、水瓶の男性を診察台へ横たえる。血で染まった服はまた水瓶に戻す。切れて傷んでいるが上等なものだ。男性の世話は出来ないライラだが補佐は出来る。これは洗いますか、と聞くと水瓶で持ち帰り今日のうちに人目につかないように燃やしてほしいといわれた。

 一体目の前にいる男性は誰で、何が起こっているのか。ライラは震えた。

 数十分後、消毒薬の臭いが充満する診察室から男性を2階に移し、ライラと父は家に帰ることになった。水瓶の中の服を桶に移して母に渡し、父は何事か話す。母はかまどの火をごうごうと燃やし、まだ血で湿る布をその桶ごと燃やした。燃やしながら父の服やライラのヴェールや服に血が付いていないか確認し、付いているとわかるや否や、はぎ取ってそれも燃した。母の目には涙が浮かび、その手は震えていた。

 服を着替えた父は出かけてくると出て行った。母は念入りに戸締りをし、ライラを抱きしめた。今更ながら、ライラは切られた男性の痛そうな顔を思い出して涙を流した。あの人はどんなに怖かっただろうと。




 父が戻ったのは翌朝の事だった。母と少しの会話をした後、新しい水桶をもたせたライラを連れ出した。町の様子はいつも通りだが、ライラはなんだかいつもより人が多いように思えた。

 泉へ向かい水を汲む。昨日の場所はいつも通りに片付けられていた。そのまま一度家へ帰る。家の水瓶に水を空けると、また別の水桶を渡されそれを持ってついてくるように言われた。今度はラムジ医師の家に行くという。昨日の男性の事は心配だが、男医師の元へ年頃のライラが通うのは良くない。町の様子を思い出して父に尋ねるが黙ってついてくるように、とそれ以上は教えてくれなかった。

 途中、宮殿の警備隊のようなものを見た気がしたが、父親はライラの手を引いて急ぎ足で医師の家へ向かったので見間違いかもしれない。


 医師の家の2階へ通される。ベッドに横たわった男性はまだ眠っている。死んではいないようだと安心するが顔色がひどく悪い。

「先生、このひとは助かりますか?」

震える声でそう聞くと医師は頷いた。

「出血がひどいからしばらく安静だが、傷は大したことはない。療養すれば元気になる」

 安心して力が抜け、桶を落としそうになる。父が受け止めてくれた。

「気になるか」

と医師に聞かれ、ライラは考える。

「怪我の具合は気になりますが、治るのであれば先生にお任せすれば安心です。燃やしてしまった衣服の弁償のことだけは心配しております」

 ライラは恋を知らない。男性が自分に興味を持つなんて思ってもいないから、医師の質問の意図が理解できなかった。そうは思っていなかった医師は、頓珍漢な回答に驚いた。娘が戒律を破ってまで助けた男は美男子だ。見る人が見れば身分もわかるような男だ。ライラが恋に落ちたと医師は思っていた。

「……いや、まあいいか。いくつか質問をしよう。昨日はよく私を頼ってくれた。どうして私を頼ったね」

「水辺で倒れていたその人が、あなたを呼ぶようにと言ったんです、それで……」

 ライラは事の顛末を全て話した。ヴェールを外した事も全て。父は青ざめたが、ライラの肩に手を置き、娘の判断を肯定してくれた。

「ライラ、彼は私の古い友人の息子だ。助けてくれて礼を言う」

医師が頭を下げる。

「君が戒律を破った事は誰にも話さない。この3人だけの秘密だ。彼が起きたら、確認はするが例え目にしていても彼も君の名誉を守るだろう」

ライラが頭を下げる番だ。鞭打ちは免れないと思っていた。

「彼の事は誰にも話してはならないよ。燃やした服の事も」

それから、と医師は続ける。

「しばらく1人での外出は控えてくれ」

ライラの肩は寒くもないのにぶるりと震えた。





 男性はあれから4日後に目を覚ましたらしい。父の仕事の都合で耳にしたのは5日目だった。6日目には命の恩人であるライラに会いたいと言う。医師が女性だと伝えたがどうしても礼だけ言いたいと譲らないらしい。7日目に父と共に医師の元を訪れた。

 ベッドに起き上がった男性は顔色も少し良くなり元気そうだ。整った顔立ちは凛々しく、先日は閉じたきりだった瞳は美しい琥珀色に輝いていた。

 部屋の入り口で礼をすると、男性も頭を下げた。

「こんな形で失礼する。先日はとても助かった。心から礼をいう」

「いいえ、勿体ない事でございます。その……お加減はいかがでしょう」

低く甘い声はライラを緊張させた。話し方からも育ちの良さがうかがえる。

「お陰様で大分いい。怪我をしたので信頼している彼を頼りにやってきたんだが力尽きてしまってね。君が来てくれて良かった。ありがとう」

「それは何よりでした。あの、お召し物をダメにしてしまってごめんなさい」

頭を下げるとどうせ着られない服だから気にしなくていいと彼は笑った。男性に笑いかけられた経験などないライラは温かくなった胸を抱えて、礼をして部屋を後にした。


 それから1週間後、完治した男性が医師の元を去ったという知らせが届いた。ライラは元気ならいいと思いつつも、きちんと別れの挨拶をしたかったしあの笑顔が二度とみられないのが少し寂しいと思った。




 それから数日後、第二王子が行方不明という噂が広まった。そういえば第一王子と王太子の座を争っているという噂が薄く流れた時期があった。庶民の間では様々な憶測が飛び交った。

 数日前からの人の多さはこれに由来したのだと気付いたライラは、ラムジ医師に外出を控えるように言われた事を思い出す。

――何故あのような事をおっしゃったのかしら。

理由を聞こうとラムジ医師を訪ねたが、診療所は閉鎖されていた。同行した父も知らなかったのか、2人はそこに呆然と立ちすくんだ。誰にも理由を聞くことは出来なかった。




 家に帰るとハレムの友人から手紙が届いていた。随分もみくちゃになったそれは少し前に書かれたものらしい。最近の手紙はそれらに加えて自らの美しさの自慢とライラを憐れむような文章も目立つようになっており、嫁ぎ先もないライラは惨めさを感じ、以前より手紙も楽しみではなくなりつつあった。

 今回も中身は相変わらず、宮殿の暮らしの豪華さを綴っていた。加えて今回は王太子の妻に求められていることも綴られていた。これはさすがにめでたい事だ。夢が叶ったのだと、ライラは祝福の言葉を口にして手紙をしまった。

 不思議な事の続いた最近だが、宮殿の中は無事なのだと思うと安心した。





 数日後、王太子となった第一王子の結婚式が行われた。第二王子失踪の事は本当にただの噂であると思う程の盛大な式だ。だが参列に姿はないのでそれは真実なのだろう。

 大通りを練り歩く祝いの列の輿に、王太子とその妻の姿があった。王太子の顔つきにどこか見覚えがあるような気がしたライラだが、それよりなにより、隣の妻が手紙で知らせてきた友人ではないことに驚いた。隣の美女は黒い豊かな髪に夕方の空の瞳で、民を優しく見つめている。紫色の瞳など珍しい、と民は皆感嘆の言葉を口にした。美男美女の夫婦はとても似合いで、ライラもいつのまにか友人の事を忘れて見入った。




 結婚式の翌日、祝賀ムードが続く中、女性の占い師が訪れた。宮殿にも抱えの占い師がいる為、国政に関する占いは認めなかったが、それ以外の占いを一時の商いとすることを王は認めた。占い師は国中の娘の悩みに応えようと言い王宮の一角に部屋を用意された。身分あるものから村娘まで占い師に自らの幸せを尋ねた。

 ライラはあまり興味がなかったが、将来を心配する両親が行けと言うので占い師の元を訪れた。占い師は瞳を見ると言い、部屋の中ではヴェールを外す事を求めた。薄暗い部屋の中でおずおずとヴェールを外すと、占い師はライラの顔を驚いた瞳で見つめた。


「――どうしてあなたがここにいるの」


そういうとライラの手を掴む。お互いに色の違う困惑をその顔に浮かべる。

「確かにライラはいると聞いたのに。どうしてそんな服で……まさか宮殿にいないの?」

 ライラは何も言えずに固まるだけだ。彼女の言葉の意味がわからない。

「あなた、ライラは王子ハサン=ムフタールの妻に選ばれているはずなのに」

 ライラは息を飲む。今の発言が表に聞こえてはまずい。彼女の手を振りほどこうとするが敵わない。

「お願い、大事な話があるの。どうか聞いて。貴方の運命はどこかで狂っている」

 恐怖で震えてしまう。だが彼女の夕日色の瞳は真剣だった。小刻みに何度も頷いて、ライラは部屋を飛び出した。



 人の目の多い時間に彼女はライラの家を訪れた。夜中はかえって目立つという。

 家を見渡し、ライラと2人きりになりたいと両親に頼んだ。怪しむ両親だが、話題の占い師だ。しぶしぶ納得した。

「ここはあなたのお家なのね。そう……ずっとここに?」

「えぇ。10歳の時、検査には受からなかったから。宮殿には行けないの」

昼間の彼女の言葉に今答えたつもりだった。

「……どうして、検査に受からなかったの? 受けなかった?」

「待って、私もあなたに聞きたいことがあるの、どうして私が――」

「お願い、先に質問に答えて頂戴。あなたはあの日、受かるはずだったの」

はずだった、という言葉に胸が締め付けられる。心の中にある蓋をした気持ちをライラはずっと見ないふりをしていた。それの蓋が外れそうだった。

 緩めた唇から言葉が洩れる。

「前の日に、友達と遊んでいて、砂嵐で目をやられたの」

ぽつりぽつりと話し始めるとモヤモヤが広がる。

「友達が、風に煽られてしまって。私の目に彼女の手が当たって砂が……」

父にも母にも内緒にした、言わなくていいことまで言ってしまった。

「友達は、すぐに砂を払おうとしてくれたのだけれど……酷く腫れて……」

「わざとね」

え? と顔を上げると占い師は無表情でそこに立っていた。

「あなたの目をダメにするために、払ったのね」

「そんなこと――」

「あなたも本当はわかっているはずよ、砂が目に入ってこするなんて愚かな行為、オアシスの民で知らない者はいない。泉のそばなのに洗い流さないなんて」

「どうしてそんなことするの」

 それはあの日に胸にしまった言葉だった。涙がライラの頬を伝う。これを言ってしまえば友人の行動に悪意を見たと言ってしまうも同然。疑いをかけることは許されない。だから黙った言葉だった。きっと動転しただけだと思いたかった。

「あなたの運命を邪魔する為としか思えない」

占い師は顔を歪めた。

「でも私は、宮殿には興味がなかったのよ。今だってないわ」

「あなたの瞳は世界でも珍しい美しい緑。砂漠の王族の間では繁栄の証として重宝されるわ。友人(・・)はそれを知っていた。あなたが興味がなくても王は放っておかない」

「でも、あの子の瞳も珍しい空色で……」

だが王子の正妃の瞳は美しい紫色だった。言葉が続かない。

「空色の瞳は外ではさほど珍しくないわ。この辺りでは少ないだけ。珍しいかのように話していたのでしょう?」

思い出すのはレイラの母親の言葉だ。

「王太子妃の瞳は何色なの?」

「……美しい、紫色だったわ」

答えたライラが俯くと占い師がその手を取った。占い師は泣いていた。

「全て終わってしまったのね……。せめて私がもっと早く来られていれば……。ごめんなさい……。今からあなたの質問に答えると、あなたはとても残酷な真実を知ることになるかも知れない。それでも、知りたい? 信じなくてもいいわ」

ライラはしばらくの後、ゆっくりと頷いた。



 ライラは10歳の身体検査に受かり、王宮に召し上げられる。珍しい緑の瞳は王の目に留まり、是非次期王の妻に、と大事にされる。腹違いの2人の王子は仲が良くそれぞれに秀でた才があり、第一王子ハサンは剣技に、第二王子ハリムが政に優れている。王子の母親たちの思惑による熾烈な跡継ぎの争いを仲の良い兄弟が力を合わせて退け、最終的に王妃を討った第一王子が王太子となりライラを妻に、第二王子は同じく珍しい紫色の瞳の娘を妻に幸せに暮らす。第一王子がいればオアシスを狙う隣の国の襲撃を退ける事ができ、第二王子が同盟を結んでくれ国が栄える――

 そのはずだった、と占い師は泣いた。だが身体検査に受からなかった事で全員の運命が狂った。ライラはずっとここで暮らし、第二王子は行方不明となり、第一王子が紫色の瞳の娘を娶り王太子となったのだ。隣国が攻めてくれば戦は避けられず、同盟が組めない以上戦乱は避けられない、と占い師は涙を止められない。


 ライラは愕然とした。幼い頃の友人はそれを知っていたはずがない。だが結果こうなってしまったのだ。ライラは別に自分が妃になりたかったわけでもなし、今もそうではないが、どうにか出来ないかと頭を巡らす。自分の存在が影響して大勢の命が失われるなど、耐えがたい事だ。


 ひとまず行方不明の第二王子の事を占えないのかと訊くと占い師はかぶりを振った。城で聞いた限りでは、どうも予定通り剣で襲われて死んだらしいという。占おうにも上手くいかないと。

 項垂れている占い師の琥珀色の髪飾りが目に入り、ライラは呟く。

「……あの琥珀の瞳の方も、切り傷で倒れられていた……」

 占い師の肩がピクリと動き、面を上げる。長い睫毛が涙に濡れ、黄金色に輝く。

「……琥珀色の瞳の方? 切り傷を? 男性ですか?」

「秘密にしてと……言われたのです。どなたにも内緒にして下さい」

思わず漏れた言葉にバツが悪くなる。弱弱しい口調でライラが頷くと占い師は真剣な面持ちで答える。

「神に誓いましょう。それで、その方は今どこに?」

「……わかりません。倒れていらしたのでお医者様へ連れて行きました。元気になると旅立たれてしまいました。お医者様も今はいずこにいらっしゃるか……」

「お元気になられたのですね!」

占い師の顔が初めて明るい色を示しライラの手を握った。

「あなたを運命から追い出し居座った罰でしょう。それでも星は輝いたのです。あなたのおかげできっと上手くいくでしょう。いつかあなたに幸せが訪れた時、遠慮せずに受け取って下さい。あなたはご自分でそれをすくわれたのです」

夕日の瞳は残りの涙に美しく揺らめき、手はしっかりと握りしめられた。ライラはそれから目が離せずただ頷く事しかできなかった。




 占い師から話を聞いて2日後、彼女が国を発ったという噂が流れた。そして王太子殿下の結婚式から1週間。お祭りも終わり、国は日常を取り戻した。ライラは占い師の話を思い出しながら、この平和が続くことだけを祈っていた。

 街に出るとレイラの母親にでくわした。最近は会っていなかったが、前はよく遭遇してレイラの手紙の話をしたものだ。今日も手紙の事を聞かれる。

「前の手紙はひと月ほど前で、殿下の妻に求められたと書いてありました」

占い師の言葉を思い出して複雑な気持ちが一瞬頭をかすめたが、母親に罪はない。手紙の内容を教えると、母親は少し安堵したような顔になった。その後もライラに色々訊ねるがそれ以上は知らない、そう答えると意地悪そうに笑った。

「そう、本当に何も知らないのね」

 ライラの背に嫌な汗が流れる。

――まさか、この人は。

耳元に幼い頃のレイラの瞳を褒める彼女の声が蘇る。けれど無暗に人を疑ってはならないと考えを改める。だが背中は冷たいままだ。友人の瞳と同じ色の空と遠ざかるレイラの母親の背を視界に収めるライラの頭に、彼女はどれほど美しく成長し、どれほど幸せだろうかという考えがぐるぐる回り続けた。




 それからまた1週間。ライラの元にレイラから手紙が届いた。それもまた随分としわになっている。これまでは彼女の幸せを祈って開けた手紙が今は随分憂鬱に見える。占い師の事もだが、何よりあの母親に会わなければここまで複雑な思いを抱かなくて良かったかもしれない。

 だが彼女の悪意を証明することなど何もないのだ。疑うことも罪だ。決意の元、恐る恐る封を切る。

 そこに書かれていたのは、相変わらずの自慢だった。王子の妻として寵愛を受けていると書かれている。ライラにとっては大した問題ではないが、第何夫人なのかということや、暮らしぶりについては書かれていない。ただ、宮殿内の様子と王子の素敵さが書き連ねられているだけ。

 うらやましいわけではないが、母親の顔がチラチラ浮かんで素直に祝えない。そっと引き出しに手紙をしまった。


 それから2日後にまた手紙が届いた。届いた、というのは少し違い、王宮の兵が持ってきたのだ。兵はライラに手紙を渡さずこれまでの手紙を保管しているか聞き、ある分を全て出すように言う。全てを保管していたライラは手紙を引き出しごと差し出す。

 その手紙全てに目を通した兵はライラに頭を下げた。

「少しでも疑いをかけた無礼を詫びる」

何のことかわからず狼狽えるライラに兵士は一番新しい手紙を差し出す。

「これまであなたに送られた手紙は全て検閲を通過し、内容を控えていなかった」

この前より更にしわしわだ。

「最近は検閲を通過し、複数人での確認を行っていた。前回の手紙は許されたが、今回の手紙は検閲を通過しなかった。むしろ問題がありすぎる内容だ。そこで我々は見落としや全通見直せば何かの意図が見えるかと思い、ここに来た」


 その手紙に書いてあったことは衝撃的だった。この手紙はライラに罪を着せようとする意図が感じられる。恐ろしさで手が震え、力の抜けた指の間から手紙が落ちる。

「……わ……私……知りません、本当に、何も……」

「大丈夫だ、わかっている。あなたが手紙を全て保管してくれていて良かった」

ライラの目から涙がこぼれた。友人に裏切られたのだ。友人が誰の指示でどうしたかなど関係ない。裏切られた事実だけが胸を締め付けただ悲しかった。


 ライラが泣いていることに気が付いた兵は、少し優しい声音で話しかけた。

「すまないが、しばらくの間1人での外出を控えてくれ。この手紙の意図があなたを陥れる為なのか、行先違いなのかも分からない以上、手紙のあなたを突き止めないといけない」

ライラは泣きながら頷いた。潔白の証明の為に手紙を全て持ち帰りたいと言った兵にライラは強く頷いた。もう見るのがつらかった。兵は丁寧に礼をして去って行ったが涙が止まることはない。覚えていたくない手紙の内容が何度も頭に浮かんでいく。

『あなたの言う通りに宮殿に召し上げられ、王妃になるべく努め、手引きをしました。それなのにその通りになりません。このままでは私は処刑されてしまいます。どうか宮殿へいらして下さい』

 泣きつかれたライラの頭には何度も手紙の事を話した、先日の歪んだ笑顔の女が浮かんで消えて行った。




 翌日、町に衝撃的なニュースが流れた。

 「第二王子殿下の殺害に関わったとして後宮の侍女とその母親が捕まった」というものだ。興奮して帰宅した父親は、それがレイラ親子だと話した。

 ライラは体に力が入らず膝から崩れ落ちた。嫌な気配に少しの予想はあったが、それでも信じていたかった。やりきれない思いが胸に渦巻くがもう涙は出ない。それよりなにより頭を占めたのは第二王子殺害の言葉だった。やはり殺されていたのだ。占い師の希望に溢れた瞳を思い出すと胸が締め付けられるようだった。ただ神に祈るほか、心を鎮める事が出来なかった。


 昼過ぎにはレイラの父親が釈放され帰ってきた。レイラの父親は水の取引で国外に出ることが多く、あまりなじみがない。第一夫人であるレイラの母と第二夫人がおり娘はレイラ1人だった。

家を訪れたので父が対応する。興奮し泣いている彼の声は扉の向こうのライラの元まで大きく響いた。

「妻が娘を幼い頃からゆがめていたのが全ての原因だ。お前は特別な子だと……。娘本人もあれに似て傲慢な部分が強かったがいつからこんなことになったのだ」

肩をさする父親の手は優しい。

「もう何を信じたらいいのかわからない……先程事情を聞かれた後に2人に会うことができたが、話していることが意味が解らない事ばかりだった。妻は『ライラをダメにしたのに小説通りに進まないなんておかしい』と青ざめるばかり。娘は『自分こそが主人公だ、幸せになるのは自分だ』とそればかり。おまけにこれが一番わからないのだが、娘は何故か神殿で『ライラ』と名乗っていた。お前の娘の名だが、試験に通過できなかったと言っていたよな。まさか娘はお前の娘をどうにかしたのか? 小説とは、主人公とは何だ? 私はどうしたらいい……」

 父の優しい声がぼそぼそと聞こえる。レイラの父のすすり泣きが響いた。

 ライラは全ての犯人をレイラとその母親だと確認した。占い師のいう運命を彼女たちがねじまげたのだ。扉を開けて全てを話すことができる。だがそれは目の前の男を追い詰める行為だ。確かに自分は目をやられた事で婚期も逃すかという危ない立場に立たされているが、目の前の男を追い詰めたところで何も変わらない。ライラはただ、もう一度神に祈った。

「うちの娘は無事ですよ。安心して下さい。あなたがうちの娘に謝る必要はありません。お気遣いに感謝します。奥さんとレイラさんの事は残念ですが、第二夫人がご心配なさっていると思います、どうぞ、お帰りになって差し上げては」

 優しい言葉で男を返した父はライラを呼びその手をそっと握った。謝らせたところで何も返らずかえって彼の立場が悪くなり、悲しむ人が増える。父の判断をライラも支持する意味を込めて硬い笑顔でも精一杯の同意を示した。



 翌日には昨日の手紙の兵がやってきた。彼は捜査への協力の感謝とライラの疑いは綺麗に晴れていることを笑顔で告げた。手紙の返還を確認されたライラはきっぱりと首を横に振った。見るのがつらい、というと兵も切なそうに笑う。

 明日公開裁判があり、レイラが裁かれると教えてくれた。

 レイラは宮殿ではライラと名乗り、第一王子付きの侍女を務めていた。2つの名前は地域により呼び名が曖昧であり、身元の証明はきちんとされているのだからと誰も気に留めていなかったという。確かに手紙に今の役職が書かれていたことはないが侍女だったとは。

 妻に求められているという書き方からそうは思わなかった。しかし彼女は恥ずかしげもなく王子に迫っていて、それを目撃した者も多い。加えて侍女も手付きになることがあるからと検閲も通ったと兵に言われ無知を知った。

 ただ彼女の侍女らしからぬ立場を弁えない傍若無人なふるまいは後宮ではあまりよく思われておらず、彼女の味方はとても少なかったという。第二王子が襲われた日に彼女が不審な動きをしていたこともすぐにわかった。だが黒幕が大きな人物である事から泳がされていたらしい。

「牢の中で運命がどうと叫んでいるらしい。私がライラになって第一王子の第一夫人になれるはずだという供述が謎めいているが、君は名前と共に利用されたというのは事実としてわかっている。父親は取引先への転居を希望し、彼女たちは今後町に出る事はないだろうから安心してくれ」

 神に感謝を、と彼は帰って行った。

 ライラはその日これで終わったんだわ、とため息をつき泥のように眠った。




 翌日には一連の事件の公開裁判が起こった。

 継承権争いでそれぞれの王子の母親が相手王子の殺害を企て、それぞれ実行に移した。第一王子ハサンは毒を盛られるも、王妃として育てられ毒に耐性の強い紫色の瞳の彼女が毒を見破った事で命を救われる。ハサンはこれを機に本気で彼女を愛するようになったのだという。第二王子ハリムは剣で切りつけられる。命からがら逃げ出し行方不明になる。出血量から死亡したと思われていたが、かつての王宮抱えの老医者により助かっていた。

 ハリムは老医者の助けでこっそり宮殿に戻り、ハサンと通じてこの暗殺の全貌を明らかにし、処罰せんと動いていたらしい。老医師はその腕を恐れたいずれかの妃により、大分前に宮殿を追われて町はずれに診療所を開いていた。

 それぞれの計画の手引きをした侍女が捕らえられる。中には妃候補であった女性もいた。王妃に唆されたにしても、許し難い事であり、関係者は砂漠の牢に閉じ込められることになった。両王妃は我が子可愛さの非情な策を王に嫌われるも立場を考え、宮殿の牢での終身刑を言い渡された。

 占い師のいう運命ではライラが嫁ぐ第一王子側についた偽ライラことレイラは、第二王子殺害の手引きに加わっていた。それらの運命は皆、彼女の母親が話した事だった。部外者の彼女が内情にやたら詳しい事も不気味だったが、占い師のように不思議な力があるわけではなく、しきりに「そういうストーリーだ」と繰り返すばかりの女をどう扱うか、王は悩んだ。だが不気味なこれが何か害を為してはと決断し、事件からひと月後、1人の女がひっそりと死罪になった。





 発表から4日後の事だった。

 ライラの元に運命の迎えが来た。ライラは丁度泉の水を汲みに行っており、水桶を抱えて戻ると、煌びやかな輿が家の前についている。そして玄関先で父と見覚えのある男性が話していた。

 父がライラの姿を見つけると、男性もこちらに視線を移し、柔らかく微笑んだ。琥珀色の瞳は以前より数段美しく輝いた。

「遅くなってしまったがやっとあなたを迎えに来られた」

ライラは何事かわからないが、この人にもう一度会えて嬉しい気持ちで挨拶をした。眩しい笑顔に胸が高鳴る。

「もうお元気なのですね。あの時はお別れのご挨拶もしませんで……」

「それはこちらのセリフだ。あなたは泉で僕を助けてくれた。命の恩人だ」

 そんな、と言いかけてはっと気が付く。男性はやはり上等な服を着て、まるで宮殿からやってきたような輿に乗ってきたのだ。琥珀色。切り傷。いつかの結婚式で見た第一王子の顔。

 ライラの中で、全てが繋がる。

「あなた様は……」

水桶が足元に落ちる。ヴェールのすそが濡れたがそんなことはどうでも良かった。

「挨拶もまだでしたね、ハリム=ムフタール。この国の第二王子です。あなたを妻に迎えにきました」

恐れ多い求婚にライラは慌てる。何も返せないでいると父親が近づいてきてライラの背をそっと押した。ヴェールの奥の娘の瞳の熱を知っているようだった。その手も背中も震えていた。

「その……大変光栄とは思うのですが、私はただの田舎娘でございます。それに顔が醜いと噂がございます。そのようなものを妃になど殿下の評判が……」

「田舎の娘に何の問題がある。必要な事は身に着ければいい。それに美醜は顔だけではない。私を救ってくれた勇気のおかげで今ここにいられるのだ。例えあなたの顔がどれだけ醜かろうと何も問題はない。心からあなたを愛すると誓おう」

 恐れ多い気持ちはまだ消えないがライラは一目見た時から男性に惹かれていた。占い師のいう運命の相手ではないけれど、確かに心惹かれていたのだ。

 父親がもう一度ライラの背中を押した。占い師の言葉が耳に蘇る。

『いつかあなたに幸せが訪れた時、遠慮せずに受け取って下さい。あなたはご自分でそれをすくわれたのです』

 ライラはおずおずと前に出ると差し出された王子の手に自分の手を重ねた。


 手紙で読んだ通りの美しい後宮に着き、輝く噴水が目に入ると第一王子の妻の事を思い出した。本来ならあの方がこの人の妻だったはずだ、と思うと、なんだかいたたまれなくなった。

 身支度を整える部屋に案内されながら「本当に私で良かったのですか?」と訊くと彼は笑った。

「私にとってあなた以上に美しい人はない。兄たちのように手を取り合えれば嬉しい。さあ、足元も濡れたままでは風邪をひく。ここからは私は行けない。ここで待つからゆっくり着替えておいで」


 暫くの後、ヴェールの下ではあるが艶やかなシルクで身を飾った姿を見せた少女の手を恭しく取り口づける王子の瞳には喜びの色が踊った。侍女たちも皆、その様子に蕩けそうな笑顔を浮かべていた。

その夜、ヴェールをまくりあげた琥珀の瞳には驚きの色が走った。初めて見る妻の美しさに息を飲み、やがて愛しそうに微笑む。

「新緑の緑の姫よ、どうか私の宝になってほしい」

ライラは瞳がとける程の涙を浮かべて頷いた。



 運命は違う娘を定めたが、違わず幸せを与えた。このオアシスでは仲睦まじい二組の夫婦が砂漠を穏やかに治めた。


※ルビ・傍点が表示されない方へ 

以下のように ○○には△△ というルビがふられます

占い師の言葉:「友人はそれを知っていた」の「友人」に傍点


>>次は西洋風です。※割と口語体が多めです。


「あんた明日婚約破棄されるけど受ける?受けない?どうする?」

突然現れたよくわからない生き物?に告げられる衝撃の言葉。何それ?どういうこと?聞いてみたらここはゲームの世界で、自分は案内人で私は嫌な人で?どうしてここにいるの?助けてくれるって、私を?

突如現れた不思議な光が信じたくない運命を告げて返事を迫る。

キーワード:R15 西洋風 乙女ゲーム 婚約破棄


あらすじ次回予告ここの方がいいかなと思って載せてみました。

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