『なろうのテンプレ展開が大っ嫌い!』な人に、心から伝えたいこと
昨今のなろう界隈では、これまでの"チート無双"や"ハーレム"といった、いわゆる"なろうテンプレ"を問題視する動きが出始めているようですね。
しかし、そんな事よりも重要なのは、私の歯科検診の結果の方です。
颯爽と歯医者に行ってみたんですけど、なんと!私の親不知が左右一本ずつ虫歯になっていたらしいです。
全然痛みとかはないんですけど、それ以上に私が虫歯になったという事実がただひたすらにショックでした。
というのも、虫歯を発生させる菌というのは本来赤ちゃんの口内には存在しないらしく、3才までその菌が口内に入らなければ、人はそれ以降虫歯になる事は全くないのだそうです。
……つまり、健やかなる時を刻んでいた幼い私の口内に、食事などを通じて不浄なる雑菌をもたらした元凶がいる……!!両親……!
ゆ、ゆ、許せねぇ〜!!
愛情表現か何かのつもりで、自分の子供に離乳食を口移しで食べさせる保護者達や、多くの虫歯に苦しむ人達がこの星で懸命に生きているというのに、そんな人達に見向きもせずに、異世界の"チート無双"や"ハーレム"にうつつを抜かすなろうユーザー達。
この時代を確かに生きる人間の一人として、彼らに対する憤激が極限を超えようとしていた……そのときです!!
「これ、お待ちなさい!!……どれほどの大望や大義があろうとも、貴方がしようとしている事は、日々を懸命に生きる人達の意思を踏みにじる"八つ当たり"以外の何者でもありませんよッ!!」
……ッ!?
『何奴ッ!?』と、訊ねる必要もありません。
私が振り返った先にいたのは、あの有名な北条 政子先生だったのです。
普段は穏和な肝っ玉母さん、といった印象の政子先生でしたが、鎌倉武士達を束ねる"女将軍"と称されるだけあって、怒ると凄い剣幕です。
私は言い訳じみた事も口にする事も出来ず、気がつくと涙を流しながら政子先生に謝罪の言葉を述べていました。
大人というのは、ある程度の理不尽には耐えられますが、『やってはいけない』という当然の事で叱られると堪えるモノがあるのですね。
社会人になってから、私は初めてその事に気づかされました(笑)
政子先生は先程までとは一転して、優し気な表情で私の話を心境を聞き慰めてくださったおかげで何とか安心して泣きやむ事が出来ました。
ですが、親知らずの虫歯は抜歯すれば何とかなるとはいえ、それでも私は、なろうで異世界チート無双ハーレムを持て囃すような風潮がどうにも許せそうにありません。
その事も正直に話すと、政子先生は目を見開いてこのように仰られました。
「あら、それなら話は簡単じゃない!異世界チート無双ハーレムが嫌いなら、アナタ自身で”アカシック・テンプレート”さんのシェアワールド作品:『おいでよ!赫天アイランド♡』に参加して、自分の望む作品を作ったら良いのよ!」
……『おいでよ!赫天アイランド♡』?
かの高名なるアカシック・テンプレート先生の事は存じておりましたが、そのようなタイトルの作品を執筆なさっていたというのは初耳です。
困惑を隠せない私に対して、政子先生はそのシェアワールド作品について、分かりやすく説明してくださったのです……。
シェアワールド作品:『おいでよ!赫天アイランド♡』
【概要】
ここは普通の世界とは異なる時間軸に存在する閉鎖空間:”赫天アイランド♡”。
大海の上にドドンカン!とでっかい孤島がありますが、誰も住んでいないため、まさに無人島同然です。
そんな”赫天アイランド♡”に、現実世界で居場所を失くした人達や、転倒した世界観の者達が流れ着いてきました。
法律も倫理もないこの島に流れ着いた彼らは、果たして一体何をしていく事になるのか。
一人のヒロインとイチャイチャするも良し、サブキャラクター達と共に簡単に俺スゲー&ハーレムにならない複雑な人間模様を描くも良し、島の生き物やアイテムを駆使して理想のスローライフも送れちゃう!
願うのなら、異世界チート無双ハーレムだって出来ちゃうかも……♡
常夏の楽園を舞台に、自分だけのとびっきりの世界を作っちゃおう!☆
【メインキャラクター】
『国見 麻耶』……元・女子高生。17歳。かつては、名門と名高いカステラ女学院に通うお嬢様だった。
端正な顔立ちに、肉感的な身体つきをした美少女といえる類の容姿なのだが、気弱というか表情に乏しく、本人自体があまり人と関わろうとしないため、親しい間柄の人間はいない模様。
幼いころから多忙な両親に代わって、厳しい祖父母に育てられた影響からか、引っ込み思案で人見知り。
しかし、心の底では他者からの愛情というモノに飢えており、それを担任である男性教師:風野山 勇人につけこまれて、なし崩し的に凌辱に見せかけた純愛関係を結ばされる事となる。
最初は勇人との関係に拒否反応を見せていた麻耶だったが、何度もそういう行為を重ね勇人の人となりを知っていく内に、次第に彼に惹かれていくようになっていた。
紆余曲折の末に結ばれた二人だったが、二人の交際が学園にバレたことによって勇人が学園を追放。
麻耶自身は名家の娘であったため特に処分などは降らなかったモノの、『先生がいない生活に、自分の居場所なんてない!!』と、普段の彼女からは想像も出来ないような強い意思表示のもと、駆け落ち同然で勇人とともに故郷をあとにした。
勇人の車に乗って二人であてどもなく道を進んでいたとき、突如、次元の亀裂に巻き込まれてこの”赫天アイランド♡”へと辿りつく事となった。
最近は勇人に明るい表情を見せるようになったモノの、もともと内気な性格であるため”赫天アイランド♡”での新生活には色々不安を抱えている。
『風野山 勇人』……元・国語教師。25歳。
名門と言われるカステラ女学院において、数少ない男性教師として雇われるだけあり、大抵の実務をそつなくこなせる能力を持っているのだが、幼い頃から平均より優れていたためか、常に物事を斜に構えた視点で捉え周囲を見下すようになった。
パッと見では爽やかな好青年といった印象であり、前述した性格も相まって本人は器用に振る舞えているつもりだが、学校を去る間際に同僚から『以前から思っていたが、笑顔がわざとらしい』という指摘を受けてから初めて気づく辺り、コミュニケーション力はそれほど高くはなかった模様。
これまで心を開く相手がおらず、麻耶との関係も退屈な日々を紛らわすためのスリルある遊び程度の認識でしかなかったが、不器用ながらもひたむきに自分に感情をぶつけてくるようになった彼女に当てられてか、自身の中に芽生え始めた未知の感情に戸惑いを見せることとなる。
二人の交際が学園側にバレたのは、そのように浮足立った勇人が招いた油断と言っても過言ではない。
学園を追放されてからは、まだ先の事は分からないけれども、とりあえず麻耶を連れて神奈川の実家に戻ろうと考えていた矢先に、今回の異変に巻き込まれる。
”赫天アイランド♡”で新生活を送ることになった件に関しては、もともとの自身の能力が高いため『何とかなるだろ』と、割と前向きな捉え方をしている。
【サブキャラクター】
『黒騎士』……麻耶や勇人とは異なる世界から来た、金髪碧眼の長身美男子。大剣から繰り出す優れた剣技と、大盾による圧倒的な防御を誇る。
歯の浮くようなセリフを平気で口にし、それが様になっているというまさにキザ男を地で行くような存在。
本人もそんな自身の在り方に自覚があるのか、相手に婚約者や夫がいようともお構いなしに、隙あらばすぐに好みの女性に声をかけ、至るところで浮名を流している。
『レゲエ』……ドレッドヘアに浅黒い肌、細身ながら鍛え上げられた身体つきが特徴なカポエラ使いの青年。
卓越した足技で敵を翻弄しながら、蹴り技で意識を刈り取る戦法を得意とする。
軽薄そうな言動と、それとは裏腹に勝負どころと決めたらグイグイと女性にアプローチしていくスタイルを使って、黒騎士とは違った形式でヒロインを攻め落とそうとしてくる。
『オバ=チャン』……チリチリパーマが特徴的な、名前通りのおばちゃん。
実はオバ=チャンは特異能力者であり、伸縮自在のチリチリパーマの髪の毛を対象にぶつける事によって、発火現象を引き起こすという謎の奥義:”ちぢれ麺”を用いて戦う。
親密度が上がると、オバ=チャンが調理した美味しい食事をおすそ分けしてくれたり、グループ内の人間関係の情報を教えてくれたりする汎用性に優れたキャラクター。
【原生獣】
『木霊』……樹木に宿る小型の精霊。食べられる木の実を教えてくれたり、離れた場所にいる相手に対して山彦を通じてメッセージを届けてくれる。
『青い鳥』……青い体毛に包まれた鳥。身近にある幸福に気づかせてくれる。
『ダーククラブ』……悪そうな蟹。関わりたくない相手との悪縁を、その巨大なハサミで断ち切ってくれる。
『大蜘蛛』……大きな蜘蛛。この世界に流れ着いた他の漂流者を蜘蛛の糸でがんじがらめにして捕獲してくれる。
……その人物をどう扱うかは、アナタ次第♡
『レモラ』……変な吸盤が特徴的なコバンザメ。この島に来ようとする救助船や軍艦に貼り付いて、到着を遅らせる事が出来る。
『叡知の蛇』……エッチな蛇。この蛇の近くで男女が一緒にいると、良いムードになって気分が盛り上がってくる!
『野狐』……人に化けたりして驚かせてくる狐。悪戯してきたときに捕まえると、お仕置きプレイをする事が出来る。(パン!パンッ♡)
【おやつ】
食べると普通のアイテム以上に、キャラクターの体力などを回復してくれるアイテム関連の名称。
……だが、この”赫天アイランド♡”は無人島であるため、『歯ブラシセット』というアイテムで歯磨きをしなければ、虫歯になる恐れがある。(虫歯を通じて有害な菌類が体内に入り、最悪の場合死に至る危険性もある)
まさに、近代文明から送り込まれた刺客といっても過言ではない……!!
『プリン』……プルプルしている。おいしい♪
『ヨーグルト』……プルプルしている上に、まっしろ!フワフワおいしい♪
『ドーナツ』……美味しくていくらでも食べられそう!――おっと! ただ、どんなに食べ過ぎたとしても、私の分のドーナツの穴だけはちゃんと残しておいてくれよな!HAHAHA!
『すこんぶ』……人は未知なる場所や社会環境に放り出されたとき、自身の見知った伝統や権威に安らぎを覚える生き物である。
そういう意味では、日本古来の味を語り継ぐこの『すこんぶ』という存在は、【おやつ】の中でも最も強大な刺客と言えるに違いない。
「ウ、ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」
北条 政子先生が紹介してくださったシェアワールド作品:『おいでよ!赫天アイランド♡』から放たれる膨大な力の奔流によって、私の身体は盛大に後方へと吹き飛ばされていました――!!
その直後、後ろの壁に盛大に背中を叩きつけられた私は、カハッ……!!と、短いうめき声を上げていました。
あまりの激痛で声も出せませんでしたが、カラン、コロン……と、何かが地面に落ちる音を聞いた瞬間、私はさらに驚かされることとなったのです。
視線を地面に移すと――なんと!そこには、二本の小さな親不知らしきモノが落ちていたのです!!
……そのときの私は、静かに戦慄していましたが、考えてみればこれは当然の事だったのかもしれません。
アカシック・テンプレート先生のシェアワールド作品に宿る"BE-POP"な力が、私の中に巣食う悪しき虫歯菌と、そんなモノを相手にウジウジ悩む私の臆病でつまらない心を、消し飛ばしてくれたに違いありません。
ハラリ、と先程と同じように――けれど、それとは全く異なるアカシック・テンプレート先生やこの作品を紹介してくださった政子先生に対する深い"感謝"の涙が、私の頬をつたっていました。
北条 政子先生はそんな私の表情を見やると、安堵したように微笑みながら頷き、『お礼はいらない』と言わんばかりに、何も語られぬまま静かにその場をあとになされました。
未だに呼吸もままならず、吐血までし始めていましたが、私はそんな御二方にせめてもの感謝の想いが届くようにと、政子先生の背中が見えなくなっても、いつまでも深々とお辞儀をしていました……。
北条 政子先生ほどの御人徳もない、私のような者による伝聞ゆえ、現在この話を読んだ方の虫歯を治す事は流石に無理かもしれません。
ですが、虫歯治療のためにこれからも通院しなければならないと落ち込んでいる方や、なろうの異世界テンプレチート無双が嫌で新しい物語を求めている方々は、この『おいでよ!赫天アイランド♡』というシェアワールド作品に参加してみては、如何でしょうか。
――素敵な出会いが、アナタに待っているかもしれませんよ♡
みんなも、おいでよ!赫天アイランド♡