ちょっ、クレームぐらいちゃんとしてください!
「俺在宅してたのに、なんで不在票入ってんだよ。だいたいよぉっ!ポストに入れるくらいできないのか!あー、ムカついた!キレたろ!俺ならそれくらいできるっつーの!」
だいたいこーいうのはよくある事である。
7割ぐらい、在宅していたのは知っている。まぁ、トイレ入っていたり、丁度洗濯物を外で干してる作業中に訪れてしまうこともある。……今回のケースは、ヘッドフォン付けてて、大音量で曲なりなんなりを流したりしている時である。なんじゃないかな?
ピンポーン
「どーも。判子願いまーす」
「おい!あんた!!俺、いつも在宅してるって言ったろ!なんで不在票入れてるんだ!」
「毎日いるのは知ってるよ。出られないなら宅配BOXの購入か、希望時間帯のご連絡を勧めますよ。ご指定じゃないので、こちらで都合で来ます。これ判子かサイン必要なんで」
毎日のように居るのは知っているが、出て来ないのは耳につけているヘッドフォンのせいだろうなって。配達員は思っている。
怒っているため、サインも乱雑。
受け取った荷物を見て、お客様は。
「このくらいのサイズならポストとかに入るだろうがよ!!俺が入れてやるよ!見とけよ!」
「それは止めた方がいいですよ、ワレモノですし。厚さもそれなり。っていうか、向こうが判子で届ける荷物にしてるんだって」
「テメェみてぇな馬鹿だから!できねぇんだよ!!見とけ!!」
「ですから……」
普通ではないことが起こる事がクレームになる。
そーいう一時。
◇ ◇
『は?馬鹿なんですか?』
電話の相手はそう言った。配達員の山口は申し訳なさそうに言うが、ハッキリ言って迷惑しているし、その言葉通りなのである。
なんで俺が電話するの?それはお互い様に思っている。
「そのですねー……。いちお、ご確認なんですけど。お客様が出された物って、もう一回届けられるお荷物でしょうか?」
『いや、限定物フィギュアなんですから無理ですよ。嫁に売れって言われて、泣く泣く売った奴だし。向こうにも伝えたけど』
「そうですよね。箱ですし、品名もそう書いてましたから」
『届いたのは分かりましたよ。で、なんで?そーなったの?正直、状況が分からない……』
「お客様自身がポストに入るだろって、配達員に証明するためにその場でチャレンジしたんですよ。そしたら、無理矢理入れようとして、中の荷物とポストがぶっ壊れたんですよ。ちゃんと配達されたのに壊れてしまったんですってのは、間違いないんです。状況が分からないのは分かります」
…………
『いや、なんでお客様がそんなことしたの?俺、判子が必要な荷物にして、箱物にしてたじゃん。まず、ポストに入らないじゃん。入るサイズの家もあるんだろうけど、大切な荷物だからちゃんと渡すよね?お客様はなに考えてんの?』
「おっしゃる通りです。私にもそのへんが分かりません。ま、そのー、ちょっと、変というか。異常な方なんですよね。よく怒るんですけど、後先考えない以前の、思考のない方なんで」
『それは馬鹿な人にワルイなぁ。ネットでやってると、そこまで分からないから怖い』
「いや、こんな事例はほぼないですよ。絶対にないと思ってますよ!こんなこと!」
…………
『ま、分かりました。ところで向こうから、払い戻しとかの請求されてるんだよね。配達状況はそれで間違いないんですよね?』
「はい、間違いないです。こちらはしかと、対面でお渡ししてます。その時点で私達の取り扱いではなく、お客様の取り扱いとなるので、もうこちらとしては責任がとれません」
『うん。まぁ、例えば。届ける前に荷物壊れてたとしたら、あなた方に責任もありますけど。……そのなに?通知に書かれてるけど、ポストに無理矢理ぶっ込んで、ポストと品物が壊れて。両方の請求とか、メチャクチャな事書かれてるけど。無視するし、最悪裁判沙汰にするし。その時、証明してよ』
「はい!間違いなく」
正直、こーいう話を同じお宅で2度もするとは思わなかった。
『ただ怖いこと聞くけどさ』
「はい?」
『配達員が無理矢理ポスト入れる事例もあるじゃん。お客がそんなことするわけないじゃんって、常識的に考えたら、あんた達の方が疑われるよね?』
「そうです。はい。私共の方が疑われますが、この件に関しては100%、向こうがやっています」
『とはいえ、100%の証明はないんでしょ』
「そーですね。それがツライんですよね……常識に考えたら、ありえませんから……。この電話のやりとりそのこともありえませんからね」
『大変だね。ま、今回こちらも分かりますよ。ちゃんとそーいう証明書に向こうの判子もらってるんでしょ?それも確認したいな』
「はい!コピーもとってありますし、保管もされてます!配達の日時も記録されてます!大丈夫です!」
『うんうん。分かりました!じゃ、この件はこれで……』
ガチャッ
ツーツー……
「はー……」
受話器を置いた後、酷い溜め息をつき。
「なんでこんな意味不明なクレームに21:55まで対応しなきゃいけねぇんだよ!!」
「それ電話の相手も思ってる……」
「俺達まったくカンケーねぇのに!!」
送り主にも仕事があるので、平日だとこんな時間になるのも分かってしまう。
いや、自宅からかけているんだろうけど。
こんな時間にこんな電話するのはホントに可哀想である。
やりやがった人は何も知らないだろうけど。
これの笑えないところは過去にも同じ事を同じ方がやって、さらに同じ配達員が配達しているという事なんですよね。
イヤな運命を感じています。
自分を出禁にしてくれないでしょうか?お願いします。