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童話

ハリネズミに恩返し

作者: 三の木

 

 ハリネズミさん、ハリネズミさん。

 どうかあなたに恩返しをさせて下さい。いつも私に幸せをくれるあなたに幸せを受け取って欲しいのです。


 まずは船に乗って出かけましょう。星の海に繰り出し、きらきら光る波間を縫って航海をするのです。時には激しい波もあるかもしれませんが、それもまた楽しみのひとつ。ただ揺蕩うだけの船旅なんて退屈でしょう?


 さあ、船旅ももうすぐ終わりです。そろそろお腹が空いてきませんか? レストランに到着です。星の海で釣り上げた魚を大胆にぶつ切りにして、たっぷりの特製ソース。その上に音を奏でる木の実を振りかけて窯でじっくり焼きましょう。新鮮な野菜も忘れてはいけません。庭で採れた野菜をお皿に盛って桃色のドレッシングをたっぷり。あら、そろそろお魚も焼けたみたい。熱々を召し上がれ。


 お腹はいっぱいになりましたか? それでは次は逆さまの山へ探索に行きましょう。ふわふわの枯葉に埋もれれば寒さなんて感じません。逆さの山を下っていけば、さらさらと流れる透明な川に色とりどりの枯葉や花びらが落っこちて下流を目指して競争しています。あらあら、一緒に競争ですか? それは負けるわけには参りませんね。


 たくさん動いて疲れてしまいましたね。そろそろ宿に行きましょう。今回ご用意させていただいたのは雲の宿です。宿まではあめ玉の気球に乗ってください。くれぐれも気球を食べてしまってはいけませんよ?


 雲の宿の温泉はまふっとしたつかり心地が自慢です。独特の肌触りが癖になると評判な上、疲労回復の効果も絶大なのでゆっくりつかってくださいね。


 晩ご飯は雲の川を泳ぐ魚をまんまるの月明かりで炙ったお刺身をメインに輝く貝料理を添えて。あっさりとしたお吸い物は流れ星を浮かべました。さぁさ、召し上がれ。


 さて、自慢のお布団はもちろん雲を切り出して……あらあら、疲れてしまったみたいですね。もうぐっすり眠っています。どうか素敵な夢を。


「今回の恩返し、喜んでもらえましたかね? ……あ」


 一生懸命お話を聞いていた娘もどうやら夢の中。今日のテーマはハリネズミ。ハリネズミはとある国では幸せの象徴らしい。今回はそんな幸せを運ぶハリネズミに恩返しをするお話を即興で語っていたところ。聞き手も眠ったことですし、今宵の語り部はこの辺りでおーしまい。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初から最後まで読みやすいというのが一点、のらりくらりと掴めるような掴めないような文章だというのが一点、あとは若干の冷たい狂気みたいなものをなぜか感じます。それが私には魅力的に思えました……
2019/05/02 18:18 退会済み
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