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51.審判


「ではお言葉に甘えて」私はそう断ってから、検事を見る。「まずは現場の選定。ほかの可能性を潰しましょう。たとえば、どこか別の場所で賽形きゆぶ氏の首を切断したあと、【マシン】を用いて、溺川おぼれが氏の邸宅の中に運んだ可能性は? いかがでしょう?」

「たしかに【マシン】が遺体を動かしたなら、今の人類の検死能力では、それを見破ることはできませんね。形跡なく、動かすことが可能でしょう」検事が返す。

「たとえば」井出ちゃんが予定外に割り込んでくる。「賽形氏は自らの背中に【マシン】でつくったゴムをくっつけ、『死体発見地点』に片端をめ、そのまま敷地の際まで行きます。そして、敷地の外にスタンバイしていた共犯者に合図し、平泳ぎの息継ぎよろしく、頭から肩あたりまで敷地の外に出します。共犯者はそれを首から一刀両断。『殺された』賽形氏は背中のゴムに引っ張られ、邸宅へ。もちろん、殺された直後ですので、心臓はまだ動いています。これで『心音認証』をクリア。邸宅の中へ入場。ひと昔まえならば、血しぶきなどの問題はありますが、今は24世紀。首を切断されたと同時にシールされますので、その懸念もなし――と。このようなアイディアはいかがでしょう?」

「まず画が思い浮かびません」検事が疲れたように言う。

「構いません」私はフラボノとセンゾに命じ、井出ちゃんを『ヒザカックン』させて強制的に座らせる。「実は賽形氏は、敷地もしくは敷地の外で殺されていて、その遺体を【マシン】が邸宅の中へ運んだ、という可能性は完全に消去できます」

「……なるほど、ログですね?」検事が、ひたいを指できながら、指摘した。

「そうです」私は頷く。「このログは【TEN】が管理しているので間違いはありません。そして、それによれば、賽形氏は一度も敷地の外に出ていないことになっています。これは、実は、飛びぬけて重要な事実なのですが……」私は一瞬の沈黙で文脈を切る。「では、これにより、賽形氏が『外』で殺害されたという可能性が否定されたことに、ご同意いただけますか?」

「妙な文法ですが――」と、検事はいったんケチをつけてから、「認めましょう。ログはくつがえせませんので」と、同意してくれた。

「では、ほかに隠れゲストが存在した、という可能性はいかがでしょう?」

「そうでない立証を今まで検察は血道をあげて行なったつもりです」検事は苦笑いする。

「では、改めて」私は言う。「賽形氏を殺害できたのはゲストだけであり、かつ、すべてのゲストに賽形氏を殺害することはできなかったことになります。ならば、結論は自明です」少しだけ溜めた。「賽形氏は殺害されていなかったのです」

「自殺説はすでに検察が否定しております」驚きもせずに、検事がすぐに反論する。

「いえ、『すべてのゲスト』という言葉には、当然、賽形氏自身も含まれています」私は返す。「賽形氏は死んでいなかった、と訂正しましょうか」

「ん~?」と検事は眉根まゆねを寄せた。「あの死体は賽形氏ではない、ということでしょうか?」

「いえ、『アレ』は【TEN】が判定したとおり、賽形氏のもので間違いはありません」私は辛抱強く言う。「ただ、いま現在、警察が保管している、あの頭部が切り取られた『アレ』は、そもそも死体ではないのです」

「……いやいやいや! それはおかしい!」たまらず、といった感じで、検事が大声をあげる。ようやく覇気が戻ってきたか。

「そうですね、言葉を足しましょう。【TEN】からすれば、です。【TEN】からすれば、あれは死体ではないのです」

 どよめきで雲が生まれそうな廷内で、検事は、こちらを睨んだまま、息をく。そしておごそかに、「……いいえ、弁護人、違います。【TEN】が断言しています。あれは賽形氏の死体だと」

「私は行動記録を読み返しました。検事は、いかがですか?」私は一瞬だけ片方の唇をあげる。「【TEN】は一度もあれを死体とは名言しておりません。賽形氏の胴体である、と判定しただけです」

「いや、頭部がないなら、それは死体でしょう!」

「たとえば今、私が、左腕を切断したとしましょう」私は右手で手刀てがたなをつくり、左腕の付け根をなぞる。「その左腕は果たして、私の死体でしょうか?」検事は睨んだまま何も言わない。「ではリセットして、次はヘソから下を切断します。この下半身は死体でしょうか?」検事は睨むだけ。「ではまたリセットして」私は首に手を当てた。「ここから切断したら?」

「いや、だから、それは、さすがに死体でしょう」検事はため息まじりに言い、苦い顔になる。「俗に言う、首なし死体です」

「切り落とした頭部が生きていたとしたら?」

「なんですって……?」

「切断した頭部が生きているなら、うち捨てた首から下は、死体ではなく、そうですね……、表現に窮しますが、あえて言うならば『廃棄物』と呼べるのではないでしょうか?」

「廃棄物……」

「ヒトの目には、死因が浮かんで見える、廃棄物です」

 さすがの検事も黙った。

 井出ちゃんが密談用の【プロペ】に『ヒトの目に 死因が浮かぶ 廃棄物 その立証は ありやなしやと』と表示させた。

「では、これより、それを立証したいと思います」私が進めようとすると――

「ちょっ! 立証……?」検事はソラミミのような驚きの声をあげる。「……証明できるというのですか?」

「証明できる、というよりは、そうですね――」私は【プロペ】を操作しながら返答をする。「もう済まされている証明をつまびらかにする、といったほうが近いでしょうか」

 私はそう言うと、検事の返事を待たずに、昨日の根岸による証言を再生させた。

 誰もいない証言台に3D映像が投影される。

 昨夜、二度観返した、根岸の証言シーン。


 三次元映像の井出ちゃんの問いから始まる。 

「証人が二度目の祈祷――邸宅に入った際、また、どなたかにお会いしたそうですね?」

「はい」再現版の根岸が答える。「帷さんと安田さんです。私が溺川氏の部屋に向かおうとしたら、彼らはちょうど2階から……、あ、もちろん、それぞれ別の部屋から、ほぼ同時に降りてきました。目が合ったので軽く会釈を」根岸はその後、すぐに『墨』を補充作業を行なったと証言。もちろん、すべてシロ判定。「作業を終え、下に戻ったときには、彼らはブースの中でした」

 最後のコメントは、『下に戻ると、彼ら(帷と安田)はブースの中にいました』と【エイリアス】が注釈を入れてシロ判定――この一連のシーン。


 そこで一時停止させ、私は説明する。

「この証言をまともに受け取るなら『少なくとも根岸証人は、ブースの中にいる人間を、ブースの切れ間からチラリと見える足だけで判別できる』ということになります」

「ちょっと待ってください」検事がめる。「どうしてそう言えるのですか?」

「どうして、とは?」私は口のはしを上げ、流し目を返す。

 検事は少し考える仕草をした。「……証人が直接、両氏がブースに入った瞬間を見ていないのに、彼ら二人がブースの中にいたと断言し、あまつさえ【エイリアス】からシロ判定をもらっているから――というのが、その根拠でしょうか?」

「入った瞬間――も、そうですが、そもそも入っていない可能性、あるいは根岸証人が墨の補充作業などで目を離した隙に、ブース内の二人が別の人間と入れ替わった可能性があるのにも関わらず、ですね」

 検事は頷いた。「なるほど」

「なるほど、とは?」私は重ねる。

「どういうことでしょう?」検事は皮肉交じりにため息をついてから、疲れたような笑顔を向けた。「年寄りを困らせないでください」

「先の、弁護側が提示した条件は、こちらが『真相』と信じるものの根幹となります。これが揺らぐなら、あとに続ける私の推論は空虚な……、『敬愛すべき先達』の言葉を借りれば、『時間の無駄』となります」

 検事は自分の胸に手を向けた。「叩け、と?」

「それが可能ならば」

「根岸証人は、ブースの中にいる人間の足を見ただけで……、あるいは、足も見もせず、拡張五感で個体識別情報を読み取れた――」

「それを認めるなら、弁護側の思うつぼです」私は微笑む。「ただこちらとしては、前者の『根岸証人は、足を見ただけでそれが誰か分かる』という精度で充分だと考えます」

「足を見れば、その人物が特定できる……」検事は呟く。

「注意していただきたいのは、それが足であること。決してくつや衣服で判断しているわけではありません。なぜなら――」

「誰かが変装していたかもしれないのに、根岸証人の主張に対し、【エイリアス】がシロを出せたから、ですね?」稲原裁判長が壇上から言った。

「ええ」私はそちらに向け、頷く。「【エイリアス】は決して間違えませんから」

 もし、根岸の拡張五感ないし深層記憶が、足ではなく、靴や衣服で人物を判断したのなら、【エイリアス】は『被験者(根岸)は、ブースの中にいた二人の人物が、帷と安田と同じ靴を履いていたことを判別できるが、その靴を履いていたのが本当に帷と安田だったかは断言できる能力はない』などと判定を保留しただろう。

「いいでしょう」検事は言った。「検察側は認めます。『根岸証人はブースの中に誰がいるか、戸の切れ目から見える足だけで判別できる』と」

「となれば、おかしな証言があります」私は動画を再生する。「同じく根岸証人」


 ふたたび証言台。

 再現された根岸が言葉を発する。

「ブースには、二人の足だけが見えました。一人は分かります。靴に見覚えがありました。伏木さんです。もう一人は……、その時点では、誰なのか分かりませんでした」

 この証言に、【エイリアス】が五回にわけてシロを出したところで、一時停止。


 検事はあごに手を当てた。

 私は、今になって誤解されそうな箇所を見つけたのでフォローを入れることにした。

「ええと、一応補足します。この証言の前半部分は、先ほど推定した『根岸証人の性質』に対し、なんら矛盾するものではありません。『靴に見覚えがあるから、伏木さんだと分かった』のではなく、『靴に見覚えがある』と『中にいるのは伏木さんだ』という、ふたつの主張に対し、それぞれ独立してシロ判定が下ったわけです。シロが五回に分けて出されていることからも、そう解釈できます……」私は一度、間を置いてから続ける。「けれど、後半部分はおかしいですね。根岸証人は、足だけで人物を判別できるのですから。『その時点では誰なのか分かりませんでした』でシロが出るのはおかしい」

「真実、誰なのか分からなかったのでは?」腕組みしながら検事が言う。

「根岸証人は、式を行なうまえに賽形氏を含めたゲスト全員と顔を合わせています。誰なのか分からない、というのは抵抗のある考えに思えますが」

「ではまさか、そのとき、すでに――」賽形氏は殺されていたのか、と早合点しそうな勢いの検事を――

「いえ」私は制する。「せいぜい言えるのは、『このとき、ブースに入っていた賽形氏は、根岸証人には、賽形氏として認識されなかった』ぐらいのことです」

「賽形氏とは認識されなかった……?」虚空を見あげた検事は、傍聴席のざわつきに押されるかのように、こちらに顔を向けた。「いや、わけが分かりません。先ほど弁護人が示した条件を信じるなら、根岸証人は足を見ただけで、それが賽形氏だと判定できるはず」

 別人、と裁判員の誰かが声をあげた。

「いえ」私はそちらに向き、否定する。「先ほど――いや、この公判を通じて検察が示したとおり、ゲスト以外の別人が入り込む余地はありません。あるいは、ブースに入っていたのが賽形氏以外の人物――たとえば、それが不染井女史であっても、実はこの時点では生きていた溺川氏だとしても、根岸証人は『会った』ことがあります。それらの場合でも、『分からない』と答えて、【エイリアス】がシロを出す、というのは――断言しましょう。ありえません」

「ということはどういうことでしょう?」検事は自力で考えるつもりはないようだ。面倒そうに尋ねてくる。

「先ほど弁護人が示した、根岸証人の『性質』は誤りだった――ということです」私が言うと、廷内が『え、なにそれ?』という雰囲気になる。「やはり、ここは素直に『根岸証人は心音で個人を判別した』と考えるべきでした」

 法廷は沈黙した。

 手元にフラボノが出てきて、私にしか聞こえない声で、「その情報がなければ、『貴方』は真相には辿りつけませんでした。波戸先生、グッジョブです」と言った。

「引き出したのは俺だけどな」センゾも登場する。「憶えてんぞ~。『24世紀人は、整形しても誰だか分かる。なぜなら――』ってくだりだな」

 私は彼らを視線で消す。

「ええ、そうですね」やがて稲原裁判長が、場を取りつくろうように口を開く。「そもそも、我々現代人は、一度会ったことのある人間なら、心音で識別することができます。ならば、足を見て云々うんぬんよりも、そう考えるほうが現実的ですね」

「けれど、そうなるとまた、問題が生じます」と、私。

「ええ、滅入めいるくらいに、とても厄介な問題がね……」稲原さんは苦笑いして頷く。「なにしろ、『それ』は心音を刻んでいなかったわけですから……」

「いや、そこはシンプルに――」櫛引検事が注意を惹くように手を挙げ、発言する。「ブースにあったのは、ヒトではなく、賽形氏の人形にんぎょうだった、というのは?」

「ええ、まさしく」私が頷くと、彼は無防備にきょとんとした表情を見せた。「あのときブースに居たのは、伏木氏と、頭部が無い状態の賽形氏の――いわば人形です」さらに続ける。「ただし、この人形は『ホンモノ』でなくてはなりません。ニセモノなら根岸証人は気づいたはずですから。というのも、我々24世紀人は、どんなに精巧だとしても【マシン】でつくったニセモノとホンモノを間違えません。たとえそれが『頭部が切り取られたモノ』であったとしても」

 フラボノが、今度は姿を見せずに「波戸先生の行動記録で言えば、11月7日のタイトル『14.ようやくゲストの紹介……?』の、8行目あたり。冒頭部分ですね」と私の脳内に直接声を響かせた。

「よろしいでしょうか?」私は視線は検察席に向けつつ、声は、廷内に居るすべての人々に呼び掛ける。「あのときブースに居たのは、根岸証人にはホンモノのヒトと認識される、けれど、心音を刻まないため『誰なのか分からない』人形です」いったん、を置き、続ける。「この法廷に居る皆さんには、すでにその存在に目星がついているのではないでしょうか?」

「いやいや、やっぱり、おかしい」検事が異議を挟む。「根岸証人は、その数分後に『生きた』賽形氏と言葉をかわしたと証言しています。【エイリアス】も、それが賽形氏だと保証しています。まさか、そのときだけ、その人形に都合よく頭がえ、人間に戻った――と、おっしゃるつもりですか?」

えたのでなく、乗っていたのです」私は答える。「賽形氏の身体に、賽形氏に整形した伏木氏の頭部が乗っている状態。この状態を『賽形球』と呼ぶのです。名前は伝聞情報なので、そう自己紹介すれば、【エイリアス】の判定も当然そうなります」

 検事は、しばらく固まった。

 時が止まってしまったかのようだった。

 やがて、「馬鹿げてる」と、疲れたように、そう吐き捨てた。「そもそも、その理屈だと賽形氏の実体は胴体だけということになる……。そして、伏木氏はアタマだけ? いや、いくらなんでも、そんな馬鹿げたことが……」

 堂々巡りを予感したのか、「伏木氏の召喚を要請します」と、稲原裁判長の鶴の一声。

「当然、黙秘なさるでしょうね」私が座ろうとすると――

「ええ、当然、立証責任――挙証きょしょう責任は言い出しっぺにありますので」にんまりと稲原さんが言い、こちらに薔薇ばらを投げ寄越よこすような仕草をする。「尋問を」


 証言台に伏木のホログラムが現れる。

 その仏頂面ぶっちょうづら

 彼の首にチョーカ型の【センサ】が巻きついたのを確認してから、私は伏木に尋ねる。

「ご自身で説明しますか?」

 伏木はまっすぐ裁判席のほうを見据えたまま、反応しない。

「賽形氏の首無し死体――」私は、さっさと始める。「いや、死体ではありませんね、面倒ですので、あの頭部のない肉体を、便宜べんぎ上、『デュラハーン』と定義し、以降呼称します。賽形氏のデュラハーンに、賽形氏の顔に整形した伏木氏の頭部が乗った状態、または賽形氏の顔に整形した『彼の協力者』の頭部が乗ったとき、この全身は『賽形球』と認識されます。これはつまり、二人一役の『芸名』だったわけです。なので、前述のように【エイリアス】もパスできました」

 廷内の反応がかんばしくないのを察して、井出ちゃんが立ち上がる。「フレデリック・ダネイかマンフレッド・リーの、どちらかと会話したことがあれば『私はエラリィ・クイーンと話したことがある』という主張はシロ判定になります。それと同じ理屈です」

 それで廷内が『お~、なるほど~』とはならない。

 彼女のマニアックな援護は、怪しいほどの静寂を呼び込んだ。

「整理させてください」この調子ではらちが明かないと懸念したのか、検事が相手をしてくれる。「要するに弁護人の主張は、あの日、『キユブ』という名前の人間が二人いた、ということですよね? となると最初、密閉時間帯になるまえ――邸宅に入るまえに、ゲスト全員が敷地に勢ぞろいしています。このとき伏木氏と共にゲストの前に現われた賽形氏は……?」

「身体はデュラハーン。頭部は、顔を『賽形球』に整形した、伏木氏の協力者でしょう」

「協力者……」検事は首をひねる。「唐突ですね」

「【TEN】によれば、脳波は、死後少なくとも3時間は発生するそうです」私はそこで、戸惑ったような検事に微笑む。「唐突でしたか?」

 検事は、処置なし、という感じで、手をひらひらさせ、先を促す素振りを見せた。

「検死による賽形氏の死亡推定時刻は午前3時17分ごろ、警察が敷地に踏み込むのは、4時半ごろでしょうか」私は【プロペ】で時刻を確認しながら言った。「改めて、脳波は死後3時間ほど出ます。もし、賽形氏の頭部が『存在した』とすると、どこへ行ったのでしょうか。敷地の外へ出すためには脳波認証を越えなくてはいけません。けれど、そんな退出ログはありませんでした。そして、警察の懸命の捜査にも関わらず、邸宅ないし敷地内で賽形氏の頭部は発見できませんでした。もちろん、頭部の破壊は【TEN】によって禁じられています。食べて隠滅するなどは、もってのほか。となれば、結論はひとつです。根岸氏がログを取り付けるまえ――つまり、『式』が始まるまえに、賽形氏の頭部は敷地の外へ出ていた。これしかありえません。ではそのタイミングは? いや、そもそも誰が敷地の外に出したか?」

「そこで共犯者が出てくるのですね?」検事は遮るように言った。

「協力者です」私は訂正する。「では、それを踏まえ、認証を確認しましょう」手をかざし、モニタを示す。「午後9時、密閉時間帯になると、敷地内にいるすべての人間は強制的に『脳波』を読み取られ、一覧化されました。それをもとに溺川おぼれが氏は自分を含めた8名の者に敷地滞在の許可を与えました」


 脳波認証をし、敷地に入れることができた8名。

 『溺川 帷 根岸 安田 万理崎 不染井 伏木(伏木の頭部+伏木の身体) 賽形(伏木の協力者の頭部+デュラハーン)』


「注意していただきたいのは、この時点では『本宅認証』が済んでいないということ。こちらの認証は、本宅に入る瞬間というか反動というか……、ドアの『破り方』で心音を計測し、認証登録される仕掛けでした。同じく8名が登録しています」


 心音認証をし、邸宅に入ることができた8名。

 『溺川 帷 根岸 安田 万理崎 不染井 伏木(伏木の頭部+伏木の身体) 賽形(伏木の頭部+デュラハーン)』


 このような情報を、フラボノに依頼し、巨大モニタに図解付きで表示させた。

「なるほど」裁判長が呟く。「デュラハーンに誰かの頭部が乗った状態が賽形球……」

 勘の良い人だから、もう理解したのかもしれない。

 私は、そうでない人に向けて続ける。

「二つの認証許可者の違いは、賽形氏の『内訳うちわけ』だけです。脳波による敷地入場許可を受けたあと、伏木氏は、そのままの姿――ご自分の肉体で本宅に入りました。これで『伏木広大ひろし』として心音登録が成立。次に彼は、一度敷地に出て、協力者からデュラハーンを受け取り、そちらに自分の頭部を移動させ、『賽形球』となり、再び本宅へ入り、心音登録をしました。もちろん、『身体』が違うのですから『心音』が異なるのは自明ですよね?」

「ちょっと待ってください」と、検事。「その……、デュラハーン、ですか? それは心音を刻むのですか? 弁護人は、先ほどは、心音なぞ打たない人形、というような口ぶりでしたが……」

「打つも打たないも自在なのだと思います」私は大雑把おおざっぱに答えた。裏付けは、すでに【TEN】が保証した認証ログや【エイリアス】の判定によって成されている、と判断した。「あるいは、上に『頭部』があるときは、心音を打つルールなのかもしれません。そうでないと『頭部』に酸素が行かず、死んでしまうルールなのかもしれません……。まあ、矛盾が出ないように、おのおの解釈してください」

 法廷が騒がしくなる。

 検事は何も言わない。

 もちろん、伏木も。

 私は説明を続けることにする。

「さて、『協力者』は、邸宅に入らず――つまり、脳波認証登録だけで心音認証せずに、デュラハーンを伏木氏に渡したあと、『本来の自分の胴体』を呼び出し、ふたたび五体満足の状態になって、帰りました。敷地は脳波認証ですし、この時点では根岸証人による『式』が始まるまえだったので、ログが残らず、人知れず帰宅することにもなんら支障はありませんでした。これがいくら探しても賽形氏の頭部が見つからないカラクリです。さて、状況から言って、溺川氏はこの計画をご承知だったようですね。まあ、とくに『なにかの犯罪にあたる』というわけでもありませんし」そこで私は、同じく『罪なし』である伏木を見たが、彼は何も言わなかった。「あ、それと、念のため断っておきますが、弁護人の発言は今の今まで断定ではありません。伏木証人ならば可能である――という程度の主張です」今までさんざん、傍聴人に『伏木=真犯人』を植えつけておいて、かつ、本人を目の前にしておいて、万が一のために逃げ道をつくった。半分は『この狡猾さこそが弁護士だ』と後進に示したいがためである。

「いや、どうでしょうね」検事が首をひねる。「弁護人の提示した想定では、少なくともゲストの中で事を成しえたのは伏木氏しかありえない気がしますが――」けれど、こちらの優柔ぶりを責める意図はないようだ。「ともかく、弁護人の仮説には、がたい非現実性のなかにも、そこそこの説得力があることは認めなければならないようです」と、鷹揚に言って、証言席に向き直る。「伏木証人、どうでしょう、これら意見に対し、何か言いたいことはありますか?」

 黙秘。

「あなたが話してくれるのが一番てっとり早いのですがねえ……」

 と、検事は、証人もろともに私たちにも皮肉をぶつける。

 裁判長がこちらに視線を送ってきた。

「このようにして――」私は話を戻す。「伏木証人は、人数の水増しに成功しました。いや、厳密には、頭部の水増しですね。つまり頭部がない胴体がひとつ余っている状態です……。となれば、あとは簡単です。頃合いをみて、賽形氏のデュラハーンを現場に切り離した伏木氏は『本来の自分の身体』を呼び出し、なにごともなかったように現場を去ります。これで我々を悩ませた『状況』が完成します。さて、このとき、ログによれば、不染井女史は同じタイミングで建物の外に出ました――が、これは彼女は二階から『首切り死体モドキ』のある一階フロアに降りず、直接外に出たのか、あるいは、伏木証人が『石』を巧妙に使って、彼女の目を誤魔化したのか……、まあ、これは、どちらでも大差はないかな、と」

 弁護席のすぐ前方、後頭部を向けて座っているサクラは、私のほうに振り返らず、二本指を立て、こちらに突き出してくる。

 意味不明――というか、どのようにも解釈できる仕草だ。

 なので、私は『二階から直接出た』と受け取ることにした。

「そもそもの話なのですが――」興味が勝つのか、稲原裁判長が発言する。「デュラハーンですか、これは本当につくれるのでしょうか? つくれるとしたら、どのようにして、つくったのか……」

 けれど伏木はだんまりを決め込んでいるので、裁判長の視線はこちらへと流れてくる。「弁護人は、見当がついているのですか?」

「さあ、考えたくもありません」私は微笑んだ。「ただ、TEN法12条1項には『死人蘇生の禁止』があります。さらに自殺に機械が使えないこと。伏木氏がリアルでもサムライ――刀の使い手であること。同じく1項から、ヒトが身体を欠損した場合、【マシン】によって、その欠けた部位が補填されること。これら条件を総合すれば、医療の名の下にデュラハーンを製作することは【TEN】に許されていた、ということは言えそうです」

「具体的な方法は定かではないが、少なくとも、つくることは許されていた、ということですか……」

 と、稲原裁判長は、おそらく裁判員向けにだろう、わざわざ口に出し、簡易にまとめる。「そして、伏木氏はそれとは別に『本来の自分の身体』を持っていた、と?」

「いえ、その表現は説明を簡潔にするための方便ほうべんです。厳密には、本来の自分の身体などではなくて……」

 そう、私が否定しかけたところで、法廷の照明が変化する。

 アナウンスが流れた。

 同時に、廷内の至るところで――私や井出ちゃんの目の前にも、小豆あずき色の【プロペ】が芽吹くように立ち上がった。


 それは『人類による自主的な科学倫理機構』から全人類に対する緊急通達文書だった。


 内容を要約すれば、『現時刻をもって、いわゆるデュラハーン(別項参照)の作成を禁じる。デュラハーンをつくる目的での自傷他傷行為は【TEN】により強制中断ないし取り消される。この仮執行は現時刻をもって開始された。一両日中いちりょうじつちゅうに改めて条文化される』という感じ。


 なにかと人類に夢と自由を与えたがる【TEN】に対し、人類側が設立した倫理的自浄機関――『人類による自主的な科学技術倫理機構』こと、通称『エイチ・アイ・ティー・オー』からの通達文は、事情を知らない者にも一見して分かるように図解をまじえた、平易だが、10項目にもわたる文書だった。

 『人自科機』からの通達など、生まれて初めてだ。おそらくこの廷内に居る『専門家』のなかで一番年長者だと思われる裁判長も同様らしく、戸惑っている。戸惑いながらも、書籍型の【プロペ】をめくり、文書を確認している。ほかの者も似たようなものだ。

 唯一興味を惹かれていないと思われる証言台の伏木がこちらを見て、喉元の【センサ】をトントンと指で叩いた。彼の意図はすぐに知れた。

「伏木証人」私の声で、法廷じゅうの人間がビクッと驚いたようにこちらを見た。私はバルーン型に表示された日付と住所を右手で示す。「あの時間、溺川邸で、あなたが他のゲストと一緒に見つけたこれは……」と左手で『賽形の頭部なし体』画像を【プロペ】に表示させ、伏木へと突きつける。「あなたが用意した賽形球のデュラハーンですね?」

「はい」彼は、ようやく声を出した。

 【エイリアス】がシロ判定を返す。

 廷内がまだ、この白い光の意味を完全に理解できずにいる中、証言台の伏木が快哉――いや、奇声を上げる。法廷記録にも、『伏木証人:奇声をあげる』と記された。『既成』の誤字かもしれない、と私は空想する。

「そうですよ、私がつくったんです。これを」伏木は興奮の口吻こうふんで始めた。「しかしデュラハーンとはセンスのない名前だ、弁護士さん。もっと適した言葉があります。私はこれを『クイン』と名づけました」

「エラリィ・クイーンですね!」井出ちゃんが、思わぬ場所で同志を見つけたような、華やいだ声で叫んだ。

「違う」伏木は、眉間についたハエをからめとらえるぐらいに深いしわを寄せ、うんざりした声で言う。「クイン・マンサだ。日本人のくせにガンダムも知らないのかね?」

 どうやら、頭部が胴体から浮いているという仮設定(本編では不採用)があったロボットのことらしい(※厳密にはロボットではなく、モビル・スーツです。←フラボノ註)。

「分からないかね?」伏木は、どよめく傍聴席に振り返った。「仮処分が貰えた。これでクインは私たちしか使えない!」そして、こちらに向き直る。「それと弁護士さん、あなたは協力者が一人しかいないような口ぶりだったが、実はもう一人いる」

「ホンモノの賽形球氏ですね?」私は相手をする。

「そのとおりだ」彼は深く頷く。「当初は二人の交換で充分だと思ったんだが、それだと、お互い、元のクインに戻ると癒着してしまってね、つまり『完治』してしまうんだよ。そうなると、事あるたびに首を切り離さなくてはならなくて、手間だ。なので、どうしても『第三者』の胴体が必要だった」

「証人も協力者も、ホンモノの賽形氏の胴体も、すべてクインと呼ぶのですか?」私は指摘する。「いずれかをマンサにしたほうが区別がつきやすいと思うのですが」

「おっしゃるとおりだ。テンションが上がりすぎて、少々混乱している」伏木は愉快そうだった。「弁護士さんがデュラハーンと定義した、頭部が切り離された『ホンモノの賽形球』の身体をクインと呼ぶ。マンサと名づけるべき主体を設定しなくても問題はない」そこで彼は廷内を見回した。「簡潔に説明しよう。私と、協力者は、頭部しかない」と、首を指差した。「ここから下は【マシン】でつくった。いや、つくったというのは正確ではないな」

「いま、あなたと協力者はアタマしかないから、死なないように【マシン】が仕方なく、首から下の胴体をつくって、手助けしている状態、ということですね?」私は補足する。

 TEN法第12条1項の適用事案だ。

「そういうことだ」彼の首に巻きついている【センサ】が、なんだか象徴的に見えた。「ただし、これはあくまで緊急措置らしい。これを消すには、近くに代わりとなる肉体――つまり『クイン』が近くにないと消せない。でなければ死んでしまうからね。自由自在には消せないわけだ。それと、残念ながら、せっかく【マシン】製なのに、このような『ヒト型』の姿をとることしか許されないようだ。恥ずかしながら白状するとケンタウロスみたいになりたかったのだがね」


 井出ちゃんが手元の密談用【プロペ】に『ケンタウロス?』と表示した。

 私は思念入力で『キン肉マンのサタンクロスみたいなやつ』と返す。

 『先輩、それ好きですよね~』と彼女は被せてきた。『いま、私の中で、サタンクロスに対して、すっごい期待値あがってます。たぶん、実物見たら、吹き出すと思います』


 そんな他愛もないコメントを出しながら、いっぽうで「そもそもどのようにして、その身体を手に入れたのですか?」と井出ちゃんは、伏木に尋ねている。相変わらず、感心したくなるマルチタスク能力だ。

「それはあらゆる意味で贅沢ぜいたくな問いだ」そんなことなどつゆ知らず、伏木は機嫌よさげな顔でため息をつく。「今月末に私たちの論文に対し、【TEN】が解答してくれる予定になっている。そちらを参照してくれ――と、突っぱねてもいいが、まあ、もう『これ』は私たちにしか使えない。特別サービスで教えようか。首を切ったのち、素早く胴体を焼却したんだよ。頭部が死ぬまえにね。その状態で【TEN】に治療を依頼すればどうなるか……、まあ、実際はコツがあるのだが、おおまかには、そういうことだ」

 それで【マシン】の身体を手に入れた、ということらしい。『きかいのからだ』を得るには、なにも空飛ぶ汽車で銀河を旅する必要などなく、初めからそこにあった、というわけだ。首を切るために、列車の車輪を利用する、という発想もあるか。いや、ロボット則が邪魔だ。もしかしたらあの汽車は、鉄道自殺を防止するために空を飛ぶのかもしれない、と空想した。

「ホンモノの賽形氏は?」井出ちゃんが訊き、私は妄想を閉じる。「彼だけは、クイン――つまり、ホンモノの身体を持ちながら、あなたのように頭部だけの状態にもなれるのですよね? どのように頭部とクインを分けたのですか? ええと、つまりですね、切った頭部をクインからどんなに離しておいても、あなたと同じように焼却しない限り、【TEN】に依頼し、治療を開始したら、逆再生よろしく、頭部がクインへと飛んでいって、合体して完治してしまうように思えるのですが……」

「専門家がそう尋ねるなら、これほど愉快なことはない」

「契約でも交わしましたか?」私が呟くと――

 聞こえていたらしい。伏木はこちらをキッと睨んだ。「……あんた嫌な奴だな」

 井出ちゃんが密談用の【プロペ】に『やなこ』と表示させた。

 いやいや、そもそも『専門家』という大ヒントを出したのは、伏木自身だ。

「けれど、頭部とクインを切断しておく方法があるなら、なにも、あなたは胴体を焼却する必要はなかったのでは?」なんとなく流れを断ち切ってしまった負い目で、私は尋ねてみる。

「いや、それを許すほど、【TEN】も寛容ではなかったようだ」彼は、覚悟を示すことが必要だったのだろう、と笑った。きっと、何度も、たとえば交換する人数を増やしたり、いろいろ試行錯誤したのだろう。あー、やだやだ。「この身体も実物と遜色ないしな」

 遜色、ね。

「あー、あと、それはそれとして、ホンモノの賽形は、現在、中央アジアで生きてる。もちろん本来とは別の顔でね」伏木はこちらに言ってから、裁判長のほうを向いた。「なので、クインは焼却しないでいただきたい。これが済んだら、彼に返す約束なのですから」

 ホンモノの賽形の場合、アタマとクインを一度くっつけたら、元どおりになってしまうらしい。

 いや、当然か。

「あのとき、ブースの中にはあなたとクインが居たわけですね?」井出ちゃんが話を戻す。

「そうだ」

 ここで【エイリアス】がシロを出す。

 すっかり存在を忘れていた。

 伏木が語った『クイン』の作り方や性能などについて【エイリアス】が判定をしなかったのは、おそらく『エイチ・アイ・ティー・オー』に配慮したためだろう。

「そもそも、六日囲碁を、伏木名義と賽形名義でエントリィしたのは、なぜですか?」さらに井出ちゃんが尋ねる。

「糸口に決まっている」伏木は盛大に鼻を鳴らした。「事件は、ある程度、世の中をにぎわせたあと、解決されなくてはならない。当初の目論見もくろみでは【エイリアス】によって、全員がシロ判定をもらい、不可能犯罪となる予定だった。そうなれば、興味を惹かれた全人類の中から、いずれ『名探偵』が生まれて……、まあ、詳しいくわだてはこの自伝に書いた。もちろん、クインをつくった詳細も。ただ残念ながら、もう我々以外の誰も追随できないのだがね」と、胸に手を置き、愉快そうに笑う。「後日、論文の配信が叶ったあかつきには、ぜひご一読いただきたい。人類の意地と叡知えいちがそこにある」

「弁護側からは、以上です」私は流れに便乗して、尋問を終わらせる。

「では、検察」

 そう、裁判長に水を向けられた検事に、ちょっとだけ同情した。

 これ以上、何を訊けばいい、というのだろう。

 櫛引検事はそれでも真摯しんしに、確認めいた質問を重ねたあと、「以上です」とめた。


「では私からひとつ――」稲原裁判長は、伏木に尋ねる。「あなたの頭部――いや、あなたがクインに乗っているとき、それは命名の由来どおり、微妙に浮いているのですか? それとも、なんというか……、結合を……、しているのですか?」最初きょとんとしていた伏木は、やがて声を出さずに、身体を揺らして笑い始めた。稲原さんは神妙な顔で続ける。「常識から言えば――いや、常識というか、理屈から言えば、【マシン】で出来た胴体を消してアタマだけになったあなたは、その状態のままでは死んでしまいます……。なので、事前にいわゆる『賃貸借ちんたいしゃく』のような契約を結んでいた賽形氏のデュラハーンを借り、それと結合することで、ヒトとしての生存機能を得るわけですよね?」彼はいったん溜める。「デュラハーンと結合しているとき、あなたは、いったい……、どのような気分なのですか?」

 伏木は、最後まで愉快そうに振動し、答えなかった。

 瓦解がかいするのではないか、と、こちらが心配になるほどだった。

 裁判長は、返答不能におちいった伏木を廷吏に命じ、退廷させたあと、先ほどの問いを、審理内容から著しく逸脱したものだったと、この場にいる人々に、起立してびた。次に、今回、数奇な決着を見た公判に立ち会うこととなった裁判員と傍聴人をおもんぱかり、ねぎらいの言葉をかけることで、廷内に落ち着きを与えた。さらに、己を含めたジャッジサイドの驚きと困惑ぶりを、やり過ぎないほどに茶化した自虐話で、皆を笑わせた。


 そうやって充分に法廷が温まったところで、彼は、サクラを証言台へと促す。


「前代未聞の事態――と申し上げたいところですが、今回で二回目ですね。先に言ってしまいますが、本公判は結審せずに中止扱いになる公算が高い――いえ、事実そうなります。ですが、それにしても、検察はあまりにも安閑あんかんとしていたようです。このような事態を二度と繰り返さぬよう、気を引き締める意味も込めて、あえて申し上げましょう」稲原さんは、こほんと咳払い。「被告人・不染井桜を無罪とします。では、解散!」


 一拍あけて、私と井出ちゃんはそろって吹き出してしまった。




次の投稿、明日14時から、短いものを3話あげて、本編は完結です。

そして、今週末に『あとがき』を加えて、投稿は終了となる予定です。

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