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47.『読者からの挑戦』

 波戸絡子の行動記録

 2332年 11月7日 午後10時13分


 井出ちゃんと軽い打ち合わせを済ませ、家に帰るころには、ネットに寄せられた推理の数は5万にも届くほどに膨れ上がっていた――が、吟味には3秒も掛からなかった。検事の提示した数字よりも2秒も早かったから、あれは彼なりの譲歩だったかもしれない、などと口元が緩んだ。

 改めて、『大衆』のアイディアを見たが、ヒントになるようなものも、こちらが考えもしなかったユニークなものもなかった。『ちゃんと条件を聞いてたの?』と説教したくなるくらいに、どれもこれも愚にもつかないアイディアばかり。

 困ったなあ、とソファに横になったときに、ようやく気づいた。


 『貴方』の気配がない。


 ……いや、静かに感覚を研ぎ澄ませれば、うっすら、ある。

 遠くに気配を感じる。

 ということは――

「センゾ」

 私が呼ぶと、「なんだ?」と彼は出てきた。

「アンタの負け」

 いや、『貴方の勝ち』か。


 私は、ぐだぐた言いわけをするセンゾを仕舞い、『明鏡止水』と題した【フィッティ】を肺に入れる。すっかり落ち着いた。その状態で考える。これまで得た映像を濁流のようにリプレイする――などという力任せのやり方ではない。記憶を遡り、まだ『貴方』の存在を近くに感じられていた瞬間を思い起こせば、『その場面』には見当がついた。行動記録から『そのシーン』を呼び出し、二度、再生させた。二度目で気づいた、という意味だ。

 待望の『違和感』を見つけた。

 ではこれが『正しく』なるよう、仮説を考える。すぐに思いつく。それをこれまで得た情報と照らし合わせる。ここで矛盾が生じてしまったら……、なんだろう? 失敗は成功の母みたいな、前向きで適切な言葉を見つけるまえに照合は終わった。もちろん、矛盾はない。それどころか、すでに『証明』が成されている……。


 私は高揚した。


「『貴方』は凄い、『貴方』は凄い……」と繰り返しながら、しばらく、部屋を歩いた。


「あとは――」私は呟いた。


 あとは、サクラ次第だ。 

        



 INSERT // 『当方』による割り込みが入りました。


 『貴方』は、以下のスペースに『あの文章』を挿入する権利があります。行使しますか?


 『                                 』


次の投稿は、明日の午前6時を予定しております。


なお、蛇足、あるいは、興ざめかもしれませんが、

「真相編」を投稿する際には、

そのひとつ前の投稿時に、この『後書き』の欄で、

「次が真相編になります」と告知いたします。


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