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異世界嫁ごはん ~最強の専業主夫に転職しました~  作者: 九重七六八
第7話 嫁ごはん レシピ7 湯豆腐とこんにゃくスイーツ
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ダイエット計画

4/17 某コミックと同じネタかぶりという指摘があったので改稿しました。別にサラダじゃなくても話は進みますので。

 まず二徹がしたことは、アンの食生活の聞き取りである。太る原因の大半は、食生活の乱れ。そして運動不足である。それをきっちりと見極めて、健康的なものに変える必要があるのだ。そのためには、アンの生活を把握する必要があった。


「まずは1日の食事について聞くよ。どんな食生活をしているの?」


 二徹の質問にアンは自信をもって答える。きっと彼女なりに考えてこれまでやってきたのだろう。


「あたしは1日2食に抑えているズラ」

「2食?」

「そうズラ。朝食は抜いて、昼に野菜中心の食事をしとるズラ。そして、夕食は7時に食べるズラ」


 二徹はアンから聞き取って、メモをする。そして思わずため息をついた。もう太る原因が分かったのだ。


「メイ、君はどう思う?」


 そうお茶を運んできて、聞き取りの様子を見ていたメイに二徹は聞いてみた。


「二徹様。ボクはアン様の食事内容をみてもとても太るようには思えませんが……」


 期待通りの答えに二徹は満足した。メイに聞いたのはアンに体のメカニズムをよく理解させたいためだ。狙いは思い込みの打破である。


「食事を抜くのは一見、ダイエットにいいように思えるけど、朝食抜きの1日2食は最悪の食習慣だね」

「ええ、そうズラか!」


 驚くアン。3食を2食にすれば、総カロリーは減ると思われるのに、最悪と言われては驚きと共に疑問が湧き出てくる。これは聞いていたメイやニコールも同じであろう。


「ボク、以前の家では、1日1食しか食べさせてもらえませんでした。だから、食事の回数が減れば、太らないと思います」

「メイの場合は、1日1食でさらに量も少ないからね。回数を減らせば、総カロリーは減るけど、問題は内容だ。アンの場合、2食の内容に問題があると思うよ。いつもお昼に食べるのはどんなものを食べているの?」


「野菜スティックズラ。シロアシ(だいこん)ニンニン(にんじん)キューカ(きゅうり)をスティック状にしてたっぷりと食べているズラ」

(ああ……やっぱりか……)


 二徹はアンの答えの結末が分かってまたもや、心の中でため息をつく。太っている今の様子から、その料理が普通ではないことは予想できる。


「どれくらい食べるの?」

「コップにぎっしりと刺したものを3つ。野菜は体にいいズラ」

 

 アンはテーブルに置いてあったコップを指差す。普通の大きさだが、野菜スティックをぎっしり詰めてあるなら結構な量である。だが、この場合は量ではない。それにつけるディップが問題である。二徹はおそらく、そこが問題だと考えていた。そこで聞いてみた。


「その野菜をそのまま食べるのかい?」

「そのままじゃ不味くて食べられないズラ。クレオンクリーム(チョコクリーム)ナッツエクリーム(ピーナッツクリーム)をかけて食べているズラ」


「や、野菜にそれ付けるの?」


 二徹は驚いた。それは揚げたポテトやビスケット、パンにつけるものだ。甘くてカロリーが高いのだ。

たぶん、甘いのが好きなアンのことだ。野菜にそんな甘いディップをたっぷりとつけて食べているに違いない。


「で、夕食は?」

「夕食は我慢した分、普通に食べているズラ」


 そう言ってアンは昨日食べたものを書き出した。昨日は滞在したホテルのレストランで食べたものだ。量的には一般男性が普通に食べるレベル。スープにパン。肉のステーキ。サラダ……。だが、体の小さなアンには多すぎると二徹は思った。


「そして寝るのは何時頃?」

「あたしは本が好きズラ。いつも本を読んで夜更かしをしてしまうズラ。今は夢中になって読んでいる悪役令嬢ものの小説にはまっているズラ」


 その悪役令嬢のせいで、どうやら寝るのは0時過ぎらしい。アンは地方の貴族の令嬢だから、労働はしないし、遊びは室内のカードゲームや友達とのお茶会でのおしゃべりである。カロリーを大量消費する時間がほとんどない。そして、二徹が最も元凶だと思っているアンの食習慣を指摘する。


「それで空腹の時に、手に持った袋の中身をちょこちょこ食べていると……」

「これズラ?」


 アンがさりげなく右手に持っている小袋。会った時から気になっていたが、彼女が太りまくっている原因のとどめがこれだと二徹は確信していた。袋の中はぎっしりと砂糖でコーティングしたアーモンドのお菓子が入っていた。この世界のお菓子の一つ、『ハバム・タウ』と呼ばれるものだ。ハバムとはアーモンドのこと。タウは砂糖だ。


「お腹がすくたびにそれを食べると?」

「そうズラ。以前、貧血で倒れた時に医者にハバムを食べるとよいとゆわれたズラ。これは薬代わりズラ」


「朝も夜も食べる?」

「1日にこれひと袋は食べるズラ」


(ダメだ……この子、残念を通り越してスペシャルハイパー残念子ちゃんだ……)


 先ほどのクッキー2枚食いの姿も思い起こす。痩せたいはずなのに無意識に食べてしまう習慣なのであろう。その時食べたのは数に入っていない精神構造なのだ。


「メイ、アンから袋を取り上げろ」

「はい、二徹様」

「え、これを取り上げられたら困るズラ……」


 抵抗するアン。だが、メイは忠実な二徹の助手。躊躇なく、行動を起こす。犬族の少女に、なすすべなく取り上げられるアン。しょげているアンに、二徹は食生活のダメなところを順番に説明する。聞いているのはアン、ニコール、メイである。


「まず、1日2食はダメ。これは太るための食生活だよ。食べる間隔があくとお腹がすいて次の食事で大量に食べてしまうし、脂肪も吸収しやすい体になるんだ。野菜スティックは身体にいいけど、甘いディップにつけるのはダメだよ。どれも油が多いから身体に脂肪をつけてしまうよ。油はハイカロリー食材。肉をたっぷりと食べるのと変わらなくなる」

ドレシン(ドレッシング)をかけないと野菜はたくさん食べられないだろ? ドレシンをかけるのはいいのか?」

 

 お肉好きのニコールの発言。彼女はサラダ嫌いだったが、二徹のおかげで今は大好きな料理の一つになっている。


ドレシン(ドレッシング)のかけ過ぎもよくないよ。あれも基本油だからね。でも、サラド(サラダ)は健康にいいから、かけるものを工夫していけばいいとして、夜遅く寝るのもダメ。起きてれば空腹に耐えかねてつい食べてしまいがちになる」

 

 二徹の指摘にニコールは感心して答えた。


「う~ん。わかるような気がする。うちの隊のシャルロットは夜仕事で残業するとスイーツが食べたいとかよく言っている。実際に夜の町に頻繁に買いに行っているからな」


 若干、二徹はシャルロット准尉の体重も気になったが、彼女の場合は軍人。それを消化する運動をしているのだろう。


「男性はドカ食いで太るけど、女性はちょこちょこ食いで太ると言われているんだ。アンは、そのちょこちょこ食いの習慣をまずはなくすこと」


「習慣ズラか? これまであまり意識しなかったズラ」

「明日から、規則正しい生活をするよ。食事は3度。僕が作ったものを食べる。それ以外は禁止。ハバム・タウは一切食べないこと」

「一切だめズラ?」


「豆は高カロリーなんだ。それにタウ(砂糖)をまぶして食べるなんて、おデブ街道まっしぐらだよ」

「アン、オルトンさんと結婚したいのだろ? ここは強い気持ちでガーンとやるしかない。ガーンと!」


 握りこぶしを突き出して励ますニコールの勢いに気持ちが高まるアン。


「分かったズラ。あたしはやるズラ。強い気持ちをもつズラ。そうじゃないとオルトンさんの花嫁に選んでもらえないズラ」

「朝はニコちゃんと一緒に運動する。これはニコちゃんにお願い。あまりハードにはしなくていいから。軽いウォーキングから乗馬。あと夕方には軽い筋トレぐらいで……」


「了解した。私と同じメニューで少しずつ筋力、体幹を鍛えよう。それに加えて、朝夕、木刀の素振りをするぞ」

 

 ニコールも自分の役割が与えられてちょっと嬉しそうだ。ニコールは軍人らしく、朝は早く起きて屋敷の周りをジョギング。そのあと乗馬。寝る前には筋トレと体幹を鍛える体操をする習慣がある。最近は二徹からプレゼントされた日本刀を使いこなすためにしている木刀の素振りを日課にしているのだ。


 それに付き合わせるのだが、ニコール教官は鬼教官だから、やり過ぎに注意する必要がある。ダイエットの基本は『無理なく続けられる習慣』にすることなのだ。やり過ぎは絶対に持続しない。この屋敷での1ヶ月間しかできないことは、アンには続けることは絶対にできないからだ。


「あと、花嫁修行として、アンも僕とメイと一緒に行動しよう。専業主夫の仕事はダイエットにいいんだよ。家事は効果的な運動だからね。そして、ダイエットにいい料理を覚えること。これは結婚しても役立つから花嫁修行の一環にもなる」


「……わかったズラ。厳しいズラが、オルトンさんとの結婚のために頑張るズラ」

「アン、ダイエットには強い目標が必要だ。結婚のために頑張れ」


 こうしてオーガスト家において、アンの1ヶ月のダイエットと花嫁修業の生活が始まったのであった。



ストックが底を尽きつつあり、毎日投稿は無理ですが、週3回もしくは2回を死守します。

土日+平日1回を目安。読んでくださる方のために頑張ります。

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