16-16 魔王軍、反転す!
20220424 時系列調整
流星弾を爆破することに成功したアリエルたちも破片の降り注ぐグランネルジュ近郊にあってドーラとノーデンリヒトの連合軍10万の陣で、隕石に当たってケガをするという、およそ考えられないほど不運な目にあった兵士たちのうち、命に係わる重傷者だけはジュノーが治療を担当したおかげで被害は最小限にとどまった。
「……疲れたからちょっと仮眠するね、何かあったら呼んで」
などと言ってジュノーはそそくさとネストに飛び込んでしまった。
そう『そそくさ』とネストに逃げ込んだと言う方が状況を的確に表しているように感じる。
真っ先に狙われてると知りながら、敵の前に姿を晒したからこそアスモデウスに先制攻撃を許してしまった。サオが居てくれたからこそ今も無傷で居られるのだ。本来ならゾフィーのお説教と小言がたっぷり詰まった反省会が開催されるところだ。
しかしアリエルの目の前には魔王フランシスコやイオたち、ドーラとノーデンリヒト連合軍の責任者たちが詰め寄っている。いったい何があって頭から隕石を落とされたのかという、その説明を求めて来ている。反省会から逃れたいジュノーにしてみれば千載一遇のチャンスだと言える。
フランシスコはヘレーネ、ハリメデや王子たちと共に、まずは倒されたアスモデウスを取り囲み、腕組みをしながら『この女は何者だ?』という事を言い合っていた。今更だ。
アリエルとゾフィーはどちらかと言うと急激な老化の末、老衰死したディランのほうに興味があったのだが、話が前に進まないフランシスコに呼び止められた。
「ふむ、ケガ人の救助はひと段落したようだな。さてアリエル、今回の襲撃について説明が欲しいのだが? この女は何者だ?」
「流星弾よりも先にそっち? ああ、そいつは合成獣人とか言ってたね、ヘリオスが作った作品だよ。そこにアスモデウスという男の人格と記憶を植え付けられた。まあ、広い意味で転生者だね。さっきの地面が沈み込むほど強力な重力場や流星弾はこいつの仕業なんだ」
「アスモデウス? 聞いたことがないな、何者だ?」
「むかーしこの世界を支配していた、ひと柱の古代神だよ。図書館に行けばもしかすると伝承ぐらいは残ってるかもしれないね。神話戦争は娯楽小説だから史実とは違うけどさ、正確に言うとアスモデウスはザナドゥにあったバストゥールという国の王で、まあ、何と言うか……俺の敵だった。流星弾撃たれるまで分かんなかったんだけどね」
フランシスコは火災が収まらずいまだ黒煙をもうもうと噴き上げているグランネルジュの街と、ミーティアの余波を受け、被害甚大となったドーラ軍の陣を交互に見渡してアリエルに問うた。
「ミーティア? なるほどな。あれは魔法なのか。で、この有様は、アリエル、貴様ひとりを狙ったものだと?」
「そうだね、ジュノーを先に狙うのも俺を殺したいが為だし。悪かったよ、黙ってて悪かったと思う、俺本当は嫌われ者でさ、命を狙われることはよくある事なんだ」
アリエルがおどけて見せるとフランシスコは我慢できなくなったように声を上げて笑った。
「くくくく……、ふはははははは……、アリエル貴様ムチャクチャではないか。山が落ちてきたときにはさすがに死を覚悟したが、くくくく……我々ドーラ軍がダリルなんぞというザコにかまけておる間に、貴様は神話に出てくる神々と戦っておったのか。だがしかしアシュガルド帝国の事もケリをつけておらんのだろう?」
フランシスコはやけに上機嫌になった。
これまでアリエルに見せなかった表情だ。
「ああ、帝国も倒すよ。ヘリオスのついでに倒す、あーそれと、えっと、そうだ、ヒッコリーさんちょっとこっちきて」
アムルタ王国の使節団(を装ったグローリアスの幹部)代表、ヒッコリーを呼び寄せたアリエルはここで改めてフランシスコに紹介することにした。フランシスコの機嫌が悪いとヒッコリーの話なんて聞いちゃもらえなかったろう。
アリエルに呼ばれたヒッコリーはチャンスとばかりに駆け寄り、目線をフランシスコの足もとにさげて素早く跪いた。
「この人、ヒッコリーさんといって、ずーっと南のアムルタという国の役人なんだけど、実はこっそりサナトスの配下になったんだよ。なんでもサナトスをこの国の王にすることが目的なんだとさ。話だけでも聞いてやって欲しいのだけど」
「あいや待たれよ」
アリエルの物言いに待ったをかけた者がいた。ほかでもないハリメデだ。
「アリエルどの、お待ちください。いまの物言いには少々聞き捨てがなりません。それはこのヒッコリーなる男が我が王、フランシスコ・アルデールさまを差し置いて、次の世を担うサナトス・ベルセリウスさまを王に選んだと、そういうことでしょうか」
アリエルはハリメデの問いに答えるでなく、視線のみでヒッコリーに答えを促した。
「は、はい。畏れながら……」
はいと返事をしたことにハリメデはむっとした表情をみせ、柄に手を掛けたが、フランシスコはそんなハリメデの肩に手を置いて制止した。話を聞けという意味だ。
返事をしただけじゃあなにも伝わらない。アリエルは説明するようヒッコリーに求めた。もともとヒッコリーはここに決死の覚悟で来ているのだ。このような形でも、魔王フランシスコと直接話す機会なんてそうそうないのだから。
「指導者ノーマ・ジーンは言いました。エルフもひとも、魔人も獣人もない、人類をひとつに束ねることができるのは、サナトスさましか居ないと……」
「ノーマ・ジーン? 指導者? 知らんな、何者だ?」
ハリメデの疑問にはアリエルが答えた。
「俺の母方の叔母にあたるから、サナトスからすると大叔母になるのかな。身内でもあるし動機もしっかりしてる。まあ、話だけでも」
「フン、では話せ。我が王は忙しい。簡潔にな」
「はっ、ダリルは政策を誤りました、東のアルトロンドも滅びを免れないでしょう。ですが私の愛する母国アムルタはダリルやアルトロンドとは政策を異にしております」
20年以上前のことになるが、アリエルはパシテーと旅に出たときのアムルタを知っている。
小さな国であったにもかかわらず人々の暮らしは豊かだった。その経済発展が奴隷売買によってもたらされたものであることは明らかだった。アリエルも政策が違うことに興味をもった。
「へー? それは初耳だな。どう違うんだ?」
「は、はい。先月の議会で南方諸国連合を脱退する法案が採択され、国王陛下がサインしたばかりであります。連合脱退には政治的に神聖典教会の影響下から脱却するという意味がありまして、教会を完全排除するのはこのユーノ―大陸にある小国で、ノーデンリヒトに次いで二国目であります。我々アムルタはドーラとは友好的な関係を望みこそすれ、敵対しようだなどと考えたこともありません」
黙って話を聞いていたハリメデだったが、ヒッコリーの言葉に多少の矛盾を感じた。
「ほう、サナトスさまをこの国の王にすると言っておきながら、自らの国は滅ぼされたくないというか。貴殿の行いは国に対する裏切りではないのか?」
「はい。私はアムルタの役人でありながらその実、秘密結社グローリアスの幹部にございます。戸籍上は独り者ということになっておりますが、エルフの妻を娶り、3人の娘に恵まれました」
「グローリアスだと? 貴殿あっ! 奴隷商人か!」
「はい。左様にございます。ですが、そこらの奴隷商人といっしょにされては困ります。グローリアスは奴隷商人を隠れ蓑にした秘密結社でありますから当然、アムルタ王国がどうなろうと知った事ではありません。ですが考えてみてください。アムルタでは議会が神聖典教会と袂を分かつ決定をしたのです。これはアムルタ人の過半数以上がノーデンリヒトに追随すべきだと考えているということです。滅ぼされるには惜しゅうございませんか?アムルタに暮らす人々の未来のため、次世代を生きる全ての子どもたちのため、私たちグローリアスはサナトス・ベルセリウスがこの国の王になれるよう、全面的に支援いたします」
アリエルはヒッコリーの、このハンコを押したような弁舌に少し違和感を覚えた。
まるでノーマ・ジーンだ。
フランシスコは跪いたまま語気を強めるヒッコリーをただ見下ろしながら眉をひそめ、重苦しい空気を背負ったまま問うた。
「ヒッコリーとやら……」
「王よ!、なりませぬ」
「面倒くさいなハリメデ、この男はアリエルが私に会わせようと紹介してくれたのだ。たとえ罪人だろうと奴隷商人だろうと、話す価値がないとは思えぬ。そうだろう? アリエル」
「え?あー……そうだなあ、まあ、悪人であることは間違いないよ、それもそんじょそこらの悪人とは訳が違う。力を持たない者たちがより良い世界を作るため悪を行ったんだ。そして人種の統合、人類の統一という途方もない目標を成し遂げようとしている。それは誰にも成しえなかったことだ。やり方は誉められたもんじゃないし、魔人族の矜持とは相いれないかもしれないけどね、グローリアスは人の世界にハーフエルフ、クォーターエルフの数を爆発的に増やした。結果的にそうなった訳じゃない、最初からそれが目的だったんだ。ヒト族とエルフ族は根本的に寿命が違うからね、もう純血のヒト族は種族の争いに敗れたも同然だよ、100年後、200年後には必ずエルフ族がこの世界の覇権を奪い取る。ヒト族の時代はもうすぐ終わるんだ」
アリエルの言葉を受け、フランシスコのみならずハリメデですら言葉を失った。
武力をもってどれだけ戦おうと、殺し合ってどれだけの血を流そうが成し得なかった魔族の悲願を、こんな非力そうな男たちが達成しようとしている、その事実はアリエルの言った通り、無視することなどできない。
ハリメデはグローリアスの成し遂げようとしている快挙にギリギリと歯噛みする音が聞こえてくるほどだった。アリエルはそんなハリメデに耳打ちするように囁く。
「ねえハリメデさん、奴隷商人グローリアスを操り、シェダール王国を陰でいいように動かしていた影の支配者はノーデンリヒトが捕らえた。奴隷商人としてのグローリアスはもう役目を終えたんだ。そして近い将来、魔族がこの世界の覇権を奪い取ったとき、その偉業を成し遂げるのに尽力したグローリアスの名は歴史に埋没し、表には出てこない……」
ハッキリとは言わなかったがハリメデにはアリエルの真意が伝わった。
アリエルはグローリアスが成し遂げようとしている偉業を、魔王フランシスコが横から奪ってしまえばいいと言ったのだ。もちろん、グローリアスの最高指導者、ノーマ・ジーンは歴史に名を残すことなど望んでいない。偉業さえ成し遂げられるなら、グローリアスと言う名前すら歴史の陰に消えても構わないと、そう思っている。だからこそ、利用しない手はない。
「アリエルどの……、わたくしめの頭も少々混乱しております。では、具体的にドーラ軍がどう動けばいいか、参考までにアリエルどののお考えを聞かせていただきたい」
「そうだな……。部隊を立て直すのに1週間ほどかかるか。兵士には十分な休養をあたえ、心身ともに万全な状態に戻したあと予定通り、ダリルに侵攻すればいいんじゃないかな……なんて思ったけれど、実はそうもいかなさそうなんだ」
アリエルはグローリアスとして暗躍するエレノワがダリルマンディに戻って準備するのに時間を稼ぐ必要があった。結果オーライと言ってはケガをした兵士に悪いが、アスモデウスの襲撃によりドーラ軍もけっして小さくない被害を受けたのだ。とりあえずは1週間ほど休ませてやることを提案したうえで、まだ含みを持たせた。
「ほう、なるほど。確かに兵たちは戦闘をしたわけでもないのに疲れ果てておるようにも見えますな。残りの食料、物資との兼ね合いになりますが考えてみましょう。ではもうひとつ、アムルタ攻めの計画は極秘でした。なぜこの男が我々ドーラ軍の機密を知っていたのか、説明していただきたい」
「んー。その情報をヒッコリーさんに教えたのは俺。情報の出どころはなくて簡単な推理だけどね。だってさ、ドーラ軍がこんなにも遠いダリルに侵攻するのは、サナトスの妻になったレダの家族ともども、護衛についた近衛兵たちもダリルの奴隷狩りに殺されたから。当然、護衛についてた近衛兵はドーラ王族と親戚関係にある者が住む村だということを伝えたわけだ。それなのに皆殺しにされた。本当ならその時点でもうドーラとダリルは戦争状態になってるんだ。俺に言わせりゃよく今まで我慢したなと思うわ。当然報復でダリルを滅ぼしたドーラ軍が、すぐ隣にあってレダの家族を迫害したアムルタを放っておく訳がないよね? ダリルと比べたら兵力もない、自治体のような小国だし、大した苦労もせずついでに滅せるしね。……というのは建前なんだろ?」
「……ほう、建前とおっしゃいますか? アムルタを攻めるのは高度な政治的判断にございます」
「なにいってんのさ。アムルタを手に入れたらイグニスの神殿も手に入るじゃないか。これも精霊信仰のエルフ族にとって喉から手が出るほど欲しい聖地なんじゃないの? こっちは報復を名目にしただけの、ただの侵略だ」
「ぐっ……そ、それは……」
そこまで見破られたとなると、ハリメデは再び口をつぐんでしまった。
まさかイグニスの神殿にまで言及されるとは思わなかったのだ。
青ざめるハリメデをフランシスコが笑い飛ばした。これが笑わずに居られようか。
「わははははは、お前が考えた作戦も、その目的も、まさかこれほどまで容易くバレてしまうとは、情けないことこの上ないな。戦時には軍師として作戦を考える立場にありながら、推理で読まれるなど……。これは反省せねばなるまいな、ハリメデ」
「はっ。恥ずかしながら……」
「ハリメデには後で腕立て伏せをさせるとして、なあアリエル。代案があるのだろう? 私はアリエルが何を考えているのか、そっちのほうに興味があるのでな……」
「んー、それがさあ……、実は代案もいろいろ考えてたんだけどさ、今はもう情勢が変わってしまったようだ。兵たちに1週間の休みをやろうなんて言っておきながら早速手のひらを返すのは気の毒だけど……、アムルタなんて攻めてる場合じゃなくなったかもしれない。ぼら見なよ、グランネルジュの中心部は流星弾の攻撃を受けて壊滅状態。未だにどれほどの被害を受けたのか分からない……」
アリエルはここまで話すと、この場にいる者にしか聞こえないぐらいに声のトーンを下げて話を続けた。
「ただ一つ言えることは、領主フェイドオール・フェイスロンダ―ルは最初のミーティアが直撃して死んだと思う。この目で死体を確認したわけじゃないけど、あの状況で生きているなんて考えられないからさ」
「ちょ! アリエルどの、お待ちください! 人払いをします。今しばらくお待ちを!!」
ハリメデは大声を張り上げながら治療を終えて魔王フランシスコの周囲を守っている兵たち、全員を遠ざけた。領主フェイドオール・フェイスロンダ―ルが死んだとなると状況は大きく変わってきた。もちろんしなければならないことの優先順位も変わってしまう。
魔王フランシスコは難しい顔で腕組みをし、何かを深々と考えているようで居て、人払いを済ませたハリメデがもどってきて、魔王に小声で耳打ちをしてみせた。ハリメデも今の状況を知って理解した。この広大なフェイスロンドの地が、シェダール王国に接収されてしまうと最悪だ。ダリル攻めの背後からシェダール王国軍が襲いかかってきて、挟撃される危険性が極めて高い。
また、挟撃まではされなくとも、来たときのようにフェイスロンドを最短距離で行軍なんて、させてもらえるわけがない。退路と補給路を断たれてしまう。
「王よ、これは一刻を争います。まずはグランネルジュを押さえ、ベラールにも中隊規模の駐留が必要です」
「アリエルの情報が本当なら悠長にダリル攻めなどしてはいられぬか」
「はっ、すぐさま兵の準備をさせます。奇襲を受けて戦闘態勢は解いておりませんゆえ、すぐにでも」
「うむ。ハリメデに任せる……。と言うわけだアリエル、我がドーラ軍はアムルタなどにかまけておる時間などなくなってしまった。ヒッコリーとやら、貴様にはその悪に免じて時間をやろう。我らドーラ軍はダリル侵攻の前にせねばならぬことができてしまった。おそらく……短くとも10日は侵攻が遅れるであろうな。たった10日で運命を変えられるか、すべてはお前の肩にかかっておる。期限はわが軍がダリルを滅ぼし、支配するまでの間。それまでにアムルタの意思をまとめ上げ、また報告にくるがよい。その結果に応じてアムルタの未来が決定されると知れ」
「はっ、ははっ! 格別のご配慮をいただき、誠にありがとうございます」
「うむ。では行くぞハリメデ!」
「はっ! 動ける者は剣を持て、わが軍は転身しグランネルジュに向かう」
―― ウオオオオオォォォォッッ!!!
ハリメデの号令と共に、ドーラとノーデンリヒト、約10万の兵が鬨の声を上げた。
もともとダリルに攻められ、今にも負けそうなフェイスロンド軍を助けに来たのに、街にも入れてもらえず陣を張るのも市外に追いやられた。ドーラ兵の不満が高まっているところに、原因不明の大爆発があって少なくない被害を受けたのだ。兵士たちの多くは流星弾がアリエルに向けられたものだということを知らず、自分たちが狙われたと考えている者が多い。もしかするとダリルに攻め込むよりも士気が高いかもと勘ぐってしまうほどだ。
そして大義名分も立つ。
広大なフェイスロンドの土地を治める領主が突然いなくなってしまったというのだ。このまま指をくわえて見ていると、フェイスロンド領はシェダール王国に接収されれ、領地は誰かの物になる。領地だけじゃない、そこに暮らす人もだ。そしてフェイスロンドの領民たちは、ダリルからの侵攻を止めてくれなかったシェダール王国に対しても不信感を抱いているし、そと力の衰退もよく知っている。領主フェイスロンダールが死んだのなら次は魔王フランシスコに支配してもらった方がいいと考える者も少なからずいることも確かだ。
そこにつけこむ隙がある。
フェイスロンドを蹂躙したダリル軍もアリエルたちノーデンリヒトからの援軍が来ただけで為す術なく敗れ、次々と壊滅、もしくはダリルに逃げ帰った。そこに大手を振って入ってきたのが魔王フランシスコの自らが率いるドーラ10万の軍勢だ。遥か北の地からダリルと戦い、フェイスロンドを開放するため立ち上がったとして、領民たちの熱狂的な支持を受けている。
大義名分こそ退路と補給路の確保だが、せっかく奪った凍らぬ土地をみすみす返すことはない。
火事場泥棒と言ってしまえば言葉は悪いが、魔王フランシスコはシェダール王国の介入より前に重要拠点を押さえる必要があって、その手始めに一番近いグランネルジュが攻められることになったと、それだけの話である。




