表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
443/566

16-05 予期せぬ遭遇戦(2)張り巡らされたワナ


「魔法陣が起動してる。みんな下手に動くなよ、そーっとだそーっと。ゾフィーは解析を」


「はい。でもこれ時空魔法だということはわかるのだけど使われている神代文字も初めて見るわね。覚えておくけどいますぐには無理……。私の魔法知識は16000年遅れてるの、ごめんなさい」


 ゾフィーが見たことのない神代文字が使われている? ということはジュノーレベルの天才が神代文字を開発して作った新作かもしれない。


 新作とか……、何をいまさら。きょうび魔法陣なんて懐古趣味でもあるまいし……。だけど時空魔法の魔法陣をつくるには、時空魔法を使えないと作れない。ということは、ゾフィー以外の誰か、時空魔法使いが居て、ここに罠を張ったということだ。


 時空魔法使いなんてものがポンポン出てくるなんて考えられない。いま頭に浮かんだ疑念を率直に口に出る……。



「クロノスかな?」


「クロノスって魔法陣つかえるの?」


「さあ? よくわからんのだけど……」


「でもこんなセコいことしてくるかな?」


「確かにクロノスはムカつく奴だし卑怯者だがセコくはなかったな」


 アスモデウスは本物っぽかったし、偽物が出てくる理由もわからないからアスモデウスについては本物だと考えていいだろう。


 アンチマジック対策というのがこんな簡単なものならいいのだが……。

 アリエルが胸をなでおろしていると、ネストからこんどはサオが音もたてずスッと出てきた。なぜか不機嫌オーラ満載で。


「どうした?」

「クロノスと聞いて。私が呼ばれたような気がします!」


「気のせいだ。誰も呼んでないしな」



 呼んでないが……。アスモデウスはサオを知らないはずだ。

 サオは出しておいたほうが何かと都合がいい……かもしれない。エアリスは危険か……。


「なあパシテー、これからまたさっきアスモデウスと会ったところに転移するけどサオの姿は見えないように消しといて」


「ニヤリ! クロノスには大恥かかされた恨みがあります、絶対に私がこの手でぶっ殺してやらないと気が済みません」


「だからクロノス居ないって。サオは肩の力を抜いとけ、先走んなよ。じゃあパシテーよろしく」


「わかったの」


「私が秘密兵器と言う訳ですねっ! わかりましたっ」


「いや、サオは話のスジ最初から分かってないだろ! クロノスは出てこないからな。……、だけど、そうだな。俺はこの罠のカラクリが分かったぞ。真沙希まさきも分かったな?」


「半分だけ分かった」


「半分? じゃあもう半分は? なんだ?」


「私だけあの建物の中に誘導された理由が分かんない……」


「そんなもの、知ってるやつに聞けばいい」


「なるほど、それもそうね」



「ロザリンドは?」

「え? なに? 私には何のことかサッパリ分かんないんだけど? ジュノーは今ので分かったの?」


「分かったわよ? ロザリンドって本当にバカよね……。ゾフィーは? もちろん分かったんでしょ?」



 ……。



 ……。


 ゾフィーは頭から???マークがいくつも出ていて首をかしげて頭をひねっている。

 まだよくわかってないらしい。


「わかんないの? 呆れた……、ゾフィーったら完全にハマってるわ。このままだとダークエルフはバカって仮説が立っちゃう」


「なっ! …… ジュノーがむかつくんですけど……」



「まあまあゾフィー、アスモデウスの居たテント前に転移たのむよ。いま分析魔法やってるダミアンに結果を聞かなきゃいけないからさ」


「はい。なんかムカつくし、訳わかんないけど分かりました……」



 パチンと指が鳴ると、アリエルたちは今しがたアスモデウスと対峙していたフェイスロンダ―ル卿のテント前へと転移していた。屋上に見えていたパシテーの幻影も同時に消えたので、誰かが監視していたとしてもアリエルたちが階下の魔法陣に気付いたことはたぶん、誰にもバレてない。



 アリエルはアスモデウスたちがどうやって消えたのか、ひとまずはマナの残滓を解析しているダミアンに声をかけて、分析結果を聞いてみることにした。


「ダミアンさん、どう? なにか分かりましたか? 分析の結果を教えてほしいのだけど」


「あ、はい。こっちです。ちょっとここに注目してください」


 アリエルたちは皆一斉みないっせいにダミアンのもとに駆け寄ると、指さされた先に目を奪われた。

 その時ダミアンの唇の端っこがイヤらしく歪んだ事には誰も気づかない。


 ここまでが布石だった。

 ダミアンが指さした先に注目し、視線を流しただけ、たったそれだけのことが重大な結果を招く。

 一瞬のスキを狙っている者にとっては千載一遇のチャンスとなる。


 音もなく、気配もなく、誰にも気付かれることなく男が二人、アリエルたちの背後に現れ、狙いすましたように凶刃が襲った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ