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11-21 祝宴(3)エアリス

水魔法のトコまで延々と自己紹介を続けていたのをちょっとカットしてみました。

次話はアリエルの昔ばなし。

(タイトル:エアリスと書いたつもりがアリエスになってたので修正。タイプミスが非常に見つけにくいです。ちょっとでも流すと同じに見えます。ヤバいです。


 ジュリエッタが不機嫌そうな顔でアリエルを引っ張ってきたところは、足もとにネレイドさんがぶっ倒れてるところ。酒で酔い潰れたように見えるけど、さっき思いっきり殴られてたからどっちが原因なのか分からない。


「で、ネレイドさんあれ生きてんの?」

「酒が入ったらだいたいいつもこう。あのねアリエル、この人さ、毎日倉庫でコソコソ剣を振ってたのは知ってる。でもね、私から見ても剣の腕前は中の下ぐらい。トシでスタミナもないくせに、野戦病院にいてどこか走って行ったと思ったら大ケガして帰ってくるしさ。心配するじゃん! ネレイドには英雄なんて似合わないんだからさ。ホントお願い、今後はネレイドが剣を持ってしゃしゃり出ることがあっても止めて欲しいの。お願いよ」


「母さん何言ってんの。父さんカッコいいよ。普段はソロバンはじいてても、やる時はやるんだ」


「うっわ、いまの聞いてなかったこと一生後悔するよこの人……」


「ジュリエッタ……ネレイドさんは英雄になろうなんて考えてなかったと思うよ。ただな……」


「ただ何?」


「男だったんだよ。ずっと怒りを貯めてたんだ。剣の腕前は関係ないよ、ジュリエッタの選んだ男はカッコよかったって事さ」


「ボロボロに泣いて求婚されたから仕方なしに受けてやったんだけど? あんた知ってんでしょ?」


 まったく、頬を赤らめてツンデレ全開でそんなこと言われてもな。ジュリエッタが可愛く見えるほどだ。


「ガハハハ、マジか! そいつぁいい、ちょっと詳しく聞かせてくれ」


「黒歴史の詮索はやめてやれよ。ダフニスお前ちっとも反省してないのな……」


 教会の丘はお祝いだったはずが、次々とセカ市民が集まってきていて、お祭のようになってしまった。ダフニスがもってきた酒だけじゃ足りないので、セカの酒蔵から大量の酒が持ち出されたらしい。まかり間違ってダフニスにでも捕まって飲まされると肝臓が爆発してしまうほどの酒が用意されつつある。


 俺たちが勝利の美酒から少し離れた、丘の少し下り坂のところに腰を下ろしてのんびりしていると、サオに連れられてエアリスがやってきた。どうやら挨拶回りをしていたらしい。


「アリエルさん、えっと、このたびサオ師匠の弟子に入ることを許されました、エアリスと言います、あの……」


「堅っ苦しいのはなしにしよう。歓迎するよエアリス。あとでネスト出入りする魔法も教わって、個室ひとつ貰えるようにするから」


「ありがとうございます」


「えっと、最初にゾフィーな、ゾフィーがダメと言ったら絶対にダメ。ゾフィーがこうやりなさいと言ったら、言う通りにした方が絶対にうまくいく。うちの家族の中じゃ立場も魔法も剣も、何もかもいちばん強いからね、挑むのはそれなりに腕に自信を持ってからにすること」


「ゾフィーです。よろしくねエアリス。時空魔法を習いたくなったらいつでも言ってね」


「よろしくおねがいします。じ、時空魔法ですか! いちばん強いんですか? すっごい優しそうで綺麗なのに……」


「あー、ゾフィーは強いだけ。人にもの教えるのが超ヘタクソだから期待しないほうがいいわよ……」


 ゾフィーに続き、ジュノーと、ロザリンド、パシテー、個別に全員のところに回って自己紹介したエアリス。しっかり挨拶できる子は好感度が高いんだ。


 さてと、目の前に居ない人を呼んであげないと。


「エアリスつぎはこっち。えっと? あれ? 真沙希まさき-っ! あ、いたいた。こいつが真沙希。俺の転生先での妹で、12歳。エアリスと同い年だから話し相手になってやってくれ」


「あ、えっと……」


「エアリスは兄ちゃんのイトコなんだ」


「じゃあ私にもイトコなの?」


「魂のイトコ。仲良くしてやってくれ」


「うんわかった。えっと、嵯峨野真沙希さがのまさきといいます。魔法は光を使うけどジュノーほどの力はないよ。せいぜい自分に当たって反射する光の屈折率を変えたり補色の波長を変える程度。あと不完全な治癒魔法も使えるけど、ジュノーと比べないでね。私は簡単な治癒しか使えないから」


「ううん凄いよ、消えたり現れたりってどうすやってるの? それ私にもできる?」

「えーっと、消えてるわけじゃなくて光を反射させないようにしてるだけだから、ずっとそこに居るよ。自分の周囲の光を屈折させてるだけなんだけど……」


「エアリス、きっとまだ無理だな。理解できるようになってからマネするといい。えっと、てくてくはどこに居るんだ? さっきまで居たと思ったんだが。迷子になってないだろうな」


「アタシはずっとマスターの近くにいるのよ。最近影が薄いからって忘れないで欲しいわ。……エアリス、アナタ風使いなのね、珍しいのよ、とても軽くて綺麗なマナを持ってる」


「おおっ、エアリスは風に適性があるのか。よかったな、マナの使い方で悩んだらてくてくを頼ればいい」

「はっ、はい。てくてくさん、よろしく……」


「テックは死体に憑依してるからね、気をつけないと怖いよ」


「イグニス……アタシに夜ケンカ売ろうなんて思い上りも大概にするのよ……」


 ゴッ!


 ほう、イグニスの頭にサオのゲンコツが炸裂した音が響いた。

 なるほど、生身の精霊にも頭蓋骨があるらしい。


「痛いよサオ……」

「ケンカしちゃダメです。そんなこと言ったらエアリスが怖がるでしょ?」


「そして俺がアリエル。水の魔法が得意な水使い。あらためてよろしくなエアリス」

「はい。あらためましてよろしくお願いします。でもアリエルさん得意なのは爆破魔法なんじゃ? あれってアリエルさんのオリジナルなんでしょ?」


「んー、最初に使ったってだけで、今は帝国の魔導師も使うからね。俺の得意な属性は水なんだ」


「師匠! 私ずっと不思議に思ってました。師匠が水魔法得意なところ見た事ありません」


「見せてるじゃん、ほらお湯を沸したり、氷作ったりしてさ……」

「相転移ですよね? そんなのサナトスでもできます、師匠の事だからきっと何かあるに決まってます」


 サナトスでもって……あいつあれで水の精霊王なんだけど。なんつー扱いの悪さだ。そんなのって言うけどあれけっこう難しいんだよ? 温度が伝わる向きを任意の方向に指定するんだから。


 冬の寒さをしのぐ為に、だいたいの魔導師は火の魔法を使う。これは微調整が不要な起動式向きの魔法なんだけど、俺は服に相転移を使うことが多い。第一、ノーデンリヒト要塞でサオの炎を頭からかぶっても平気だったのも相転移の魔法だったんだけど……。そこまで評価低いかー?


 説明したらズルいだの、へったくれだの言われるので流すつもりだったのに、エアリスがいると質問に答えてやらなくちゃいけないと思ったのか、ゾフィーがいらんことを話し始めた。


「鋭いわねサオ、この人はね一番得意な水の魔法を禁じられてるの。だからあまり得意じゃない爆破魔法を使って戦ってるのよ。取扱いまでヘタで昔はよく自爆したりしてたしね」


「師匠の自爆は風物詩です! でも誰に禁じられてるんですか? 得意な魔法を使っちゃダメなんて理由がわかりません」


「んー、どう言えばいいんだろう。ルーって人なんだけど姉? になるのかな。昔の話さ」

「師匠のシスコンが更に補完されました。過去にも通り過ぎていった女性たちとの浮いた話があるんですね。いっぱいあるんですね」


「いや違うって。あいつはただ天才と呼ばれただけのアホだ」

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