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11-03 爆発音に歓喜する民衆

 耳をつんざくなんて控えめな言葉じゃ表現できそうもない音、音、音。

 音そのものが破壊力をもって、人も地形も、そしてそこにある建造物も、何もかも平等に破壊する衝撃波という現象だ。[爆裂]の魔法は空気を武器とする。


 アリエルの小規模爆裂固め撃ちで倒れた者はおよそ300。生身の兵が爆破魔法を直撃で受けた被害としては小さいほうだ。それも衝撃波によって襲い来る飛来物が身内を傷つけないよう、ある程度指向性を持たせた結果だった。まるで対人地雷のように非人道的な使用法で行使された爆裂を運よく生き残った者たちも次の瞬間にはハイペリオンの超高温ブレスによって薙ぎ払われた。

 アリエルが威力を絞った[爆裂]を狭い範囲にだけ使用したことと、飛び出したハイペリオンも包囲する兵士たちの持つ、訓練用の刃引きの剣を脅威でないと判断したため、ブレスにも手心が加えられたのだが、それを理解することができた兵は、残念ながらただの一兵もいなかった。


 ハイペリオンがサオのネストを飛び出した時にはすでに持ち前の強固な多重障壁を展開していたので、ハイペリオンの周囲にいる者は別に耳をふさがなくていい程度には衝撃波が減衰されていた。これが物理防御の薄いジュノーとパシテーにはとても好評で、今日もまたハイペリオン株が上がることとなった。

『もう、ハイペリオンの居ないところで[爆裂]は使わないで!』って言われるんじゃないかってほどに、折れ線グラフにしたらバブル期を凌ぐ勢いのうなぎ上りというか、龍の滝登りほどの急角度で高騰し、下がることを知らない勢いを見せる。

 スヴェアベルムに資本主義社会を樹立したらハイペリオン株から投資してやりたいほどだ。


 いまざっとアリエルとハイペリオンが約半数の兵を倒したとすると、防護壁上の弓兵と門裏に潜む者を合わせても残りは2000と言ったところ。宿舎のあるマローニ北部まで気配は分からないが、まだ市内に1000ほどの帝国兵が残っているだろう。外出を制限された市民が暮らす街中で市街戦にでもなったら厄介だ。ここは気合を入れて交渉し、出て行ってもらうしかない。


 前を見ると千人隊長アクエフは喉元にロザリンドの剣が突き付けられていて、1ミリたりとも動くことができなくなっている。震える肌が僅かずつ切っ先に食い込み、刀身に血が流れて、一滴、また一滴と伝う。ロザリンドのこういう、じわーっと冷たい刃を差し込んでいくとかいう脅しは効果絶大だ。この一瞬の出来事がアクエフには何時間にも感じられただろう。


「サオ、こういう時は再交渉が効くんだ。ちょっと譲歩してやると受け入れてくれやすいからね」

「はい譲歩ですね師匠。分かりました。では……よく聞いてください。大サービスです。あなたたちには5時間の猶予を与えます。その間に武装解除して門外の遺体を埋葬し、その後は白旗を挙げてボトランジュから出て行ってください。これが受け入れられないならあなた方は一人も帰れません。その場合、あなた方の遺体を埋葬する人が居ないので、マローニに駐留する王国騎士団をこき使って埋葬させることにします」

「王国騎士も俺たちと戦うことになったらどうするんだサオ」

「ハイペリオンのエサにしますよ。遺品も帰りませんけど致し方ありません」


 サオは言い方がストレートすぎて敵には感情的に受け入れ難いだけで、落ち着いて話を聞けば、なかなか脅しだけはしっかりと効いている。

 アシュガルド帝国は国教が神聖女神教団であり、シェダール王国は神聖典教会が国教指定されている。同じ女神ジュノーを崇拝しているとはいえ、経典を書いた教祖が違う以上、二つの宗教は異なった教義のもとに成り立っている。そう、ここでの問題点は、これら二大宗教では、戦って死んだ戦士の遺体を葬る作法が全然違うということだ。

 サオもそんな痛いトコ突けるようになってきたってことだ。素晴らしい。


 神聖女神教団の教義では、まず『火葬』を固く禁じている。疫病が蔓延するなど危機的な状況に陥った場合は致し方なく火葬することもあるが、その場合は戦場にまでついてくる神官が儀式を行い祈りをささげることで火葬が可能となる。遺体が灰になってしまうと復活することができないというのが大きな理由だったはず。これはもしかするとあのヘリオスの『死んだ人を蘇らせる』権能が何か関係しているのだろうかと勘ぐってしまう。だけどヘリオスはそんな何の力も持っていないような、利用価値のない一介の女神教団信者をわざわざ復活してやるような神じゃない。ヘリオスにとって蘇生術は自らの地位を盤石なものにするためのツールでしかない。現に『遺体を焼かなれなかったおかげで復活できました』なんて話、帝国軍人の間でも聞いたことがない。だったら最初からジュノーじゃなくてヘリオスを信仰しとけって話なんだが……。


 対して神聖典教会の教義では、現世に復活させてもらえるなんて期待はない。死んだら女神ジュノーのもとへ召されることが名誉とされているので、戦や疫病などで多数の死者が出た場合、火葬することにまったく躊躇がない。だから神聖典教会の影響力が強い、アルトロンドやダリル、ボトランジュでも、教会の神託を得た神兵でもないかぎりは神官を従軍させる必要はない。

 帝国軍人は死んだあと、どんな方法で埋葬されるかという事まで考えないといけないのだ。

 戦いに敗れて自らが死んだあと、こんな故郷から離れた地で火葬に付されてしまうなど、帝国兵にしてみればとんでもない事であり、約束が違うと上官に詰め寄っても許されるほどの事案なのである。

 命令を下す上官だからこそ、命をかけて戦う兵士たちの、死んだ後の名誉にまで担保してやる必要があるのだ。そうでないと誰も命を投げ出したりはしない。


「お前は障壁の中に居たんだから耳は聞こえているだろう? どうするんだ?」

 ハイペリオンの姿を見て息を吐くことを忘れてしまったかのように過呼吸症状を起こすアクエフも、ロザリンドの刃が首の皮を裂いたとて立ってはいられない。足腰から力が抜けてまるで張り詰めた糸が切れたようにストンと座り込んでしまった。


 宿敵を前にへたり込んでしまうなどという醜態をさらす千人隊長を見て、門を守る側の兵士たちの間に動揺が広がった。弓兵たちは引き絞る弦を緩めて、つがえた矢を降ろし、キョロキョロと落ち着きなく指揮系統を確認している。誰の命令で矢を射ればいいのか分からないのだ。

 もっともロザリンドに刀を突きつけられていたアクエフの視界には、その背後からしっかりと睨みを効かせるハイペリオンがあった訳だから、膝を屈せずに頑張れる奴なんてそう居ないのだが。


 戦場に広がる動揺と指揮系統の乱れが見える。この機を逃すまいとしてサオが大声を張り上げた。

 もしかして肺と声帯を強化したのか?ってほどの大声を。


「開門! あなた達は敗れました。戦う意思のない者は無事に帰れます。戦う意思があるというならどうぞ、今からでも、あなたちの魂は女神ジュノーの元に召されるでしょう」


「私は無関係だからホント勘弁して……」

 ハイペリオンの脇で守られながら頭を抱えるジュノーの声はほとんど誰にも届かず、サオの高い声は門の上に居て一部始終を見ていた弓兵たちの耳に響き渡った。

 あれは百人隊長か。指示を出す立場の兵士が壁の上から門の向こうがわに何か言ってる。千人隊長がこの体たらくで、いま確かに見た、爆破魔法に次いでドラゴンのブレスで焼き払われた1000もの兵士たち。帝国軍の中でも屈強な陸戦隊がものの数秒で壊滅的な打撃を受けてしまったのだ。常識で考えてこれほどの攻撃力からこの板っ切れを張り合わせただけの門を守ることなどできるわけがない。返答を間違えたらここにいる全員が外の奴らと同じく黒コゲ肉にされてしまうということだ。


 この門はかつてサオが守っていた門だった。高熱に曝されて焼け焦げた跡も、剣が突き刺さり、穴が空いて補修した痕跡も残されたままだ。アシュガルド帝国軍は、こんなチャチな、板を何枚も貼り合わせただけの門を開かせるため、勇者を使ったり、大軍を率いたりして何年にもわたって攻略したが、サオという防人が守っていたせいで抜くことができなかった。

 数万と言われるマローニ市民に対して兵糧責めなどという卑劣かつ姑息な手を使わなければ、この門を通ることができなかったのだ。逆を言えば、この門を開門させることは、それほどまでに困難を究めたということだ。

 帝国軍人が誇りを捨て、卑怯者と罵られてまで欲し、やっとの思いで奪ったこのマローニという小さな街に、あの防人のサオが戻り、門を開けと叫んだ。その言葉はまるで魔法の呪文のように響き、そしていとも簡単に、あっさりと門は開かれたのだった。まるでサオの帰りを待ち侘びていたかのように。


―― ギイィィ……カカカッ


 サオが守っていた頃よりも立て付けが悪くなったような、ある角度で引っかかるような音をたてて門は一行を迎え、通した。


「おい弓兵、ぼさっとしてないで弓も矢も捨てろよ。武器の携行は短剣ややじり一つすら許さないからな。すべてを捨てて門の外へ出るんだ」


 門の内側にいた兵士たちはあっさりと開門されたことに不満そうな表情を見せていたが、外の惨状とハイペリオンの姿を目の当たりにしてなお戦おうという意思を見せる者はただの一人も居なかった。


 マローニ南門には剣や弓矢などが山のように打ち捨てられ、宿舎にいた休暇中の者も、救護隊の詰め所にいたケガ人たちも、歩けない者は荷車に乗せられ、続々と門外に出された。

 入れ替わりに俺たちは堂々と胸を張って南の門からマローニに入り、すぐ脇のちょっと広くなったところをパシテーが水平に整地してゾフィーが転移魔法陣を施した大きな石板を2枚出してドスンドスンと並べて設置した。一枚はノーデンリヒト、もう一枚はセカ教会へ転移魔法陣を施された石板だった。


「これでよしっ……と」

「それでいいの? マジで?」


 たった3秒の手軽さでマローニの転移魔法陣が設置されると、ノーデンリヒト側でも魔法陣がつながったことが分かったのだろう、ポリデウケスを先頭にイオたちノーデンリヒトの守備隊たちが驚きの表情を浮かべながら次々と転移して戻った。ジュノーが転移魔法陣を起動するための起動式を開発してくれたことで、この瞬間からマローニとノーデンリヒトの距離はぐっと近くなり、兵士たちは比較的自由に行き来することができるようになった。次々と現れるノーデンリヒト守備隊の勢力が通りを埋め尽くし、王国軍が駐留するマローニ中等部を包囲すると、あわや市街戦かと思われたが、王国騎士団と面識のあるイオが駐留部隊の隊長デルフィネ卿と交渉し、520名の王国軍は帝国軍と同時にマローニを追放された。

 マローニはボトランジュの手に戻ったのだ。


―― オオオオオオオォォォォォォッ!


 占領を受けた街区では、市民は占領軍の安全を確保するため、様々な制限が課せられていた。集会の禁止は当然として、特に面倒で厳しく感じられたのが外出に関する制限だった。占領地では食料の買い出しなど、特に用事がない限り外出することもできなかったマローニ市民たちは、街中に響き渡った爆発音と、そしてドラゴン襲来の報を聞きつけ、歓喜して通りに出ている。

 マローニに住む人たちは、家の中にいて、建物が揺れるほど空気が震えたのを感じた。

 待ちに待った爆発音が街中に轟いたのだ。まるで解放を知らせる祝砲のように住民たちの心に響いた。

 あれだけマローニを騒がせた、あの問題児がペットのドラゴンと共に帰ってきたに違いないのだから。


 武装解除に応じ、丸腰になったアシュガルド帝国軍は、市民たちから執拗な投石を受けながら門外に追い出された。ちゃんと住民たちの側に立った統治をしていれば石を投げられることもなかったろうに。

 今日、マローニの街は喜びに包まれている。


 王国軍のマローニ駐留部隊は武装解除を命じられることもなく、投石の土産を受け取ることもなく、指揮官は馬に乗るなりして、マーチのリズムに足並みを合わせた行進で堂々と大通りを歩き、南門を出たが……、門外の凄惨な光景に愕然とした。

 なだらかな平坦地で、ひざ丈の草原が広がっていた南側は半径200メートルが焼き払われ、そしてあちこちに大穴が口を開けている。帝国兵の手によっておびただしい数の遺体が整頓して並べられ、土魔法を使える工兵たちが埋葬するための穴を掘っているところだった。


 王国騎士団のマローニ駐留部隊長であったアストン・デルフィネ卿は520人の部下に遺体の埋葬を手伝うよう指示しながら、生き残った帝国兵たちに何があったのかと情報収集にいとまがなかった。

 なにしろ倒された遺体はすべてが焼死か、見たことのないほどちぎれ飛んでいて欠損が酷いなんてものじゃなかった。見たところ剣による切断創が死因と思われるものはただの一人も見つからないのだから。


 そして帝国軍人たちが口々に言う「ドラゴン」という言葉。


 デルフィネ卿は、この遺体の損壊状況やドラゴンという証言には覚えがあった。今を遡ること18年前、たった2人でダリル領都ダリルマンディを襲撃し、中堅規模の傭兵団を壊滅せしめ、当時のダリル領主、豪傑で知られたへスロー・ソム・セルダルを一騎打ちで破ったのち、数千の兵に囲まれながら、まるで意に介すことなく、堂々と通りを歩いて出て行ったという、いわゆる『ダリルマンディ襲撃事件』だ。一人の男と、一人の魔女に破れたダリル軍の状態と酷似している。通りのど真ん中に小型のドラゴンを召喚し、傭兵団を焼き払ったという証言もだ。もっとも帝国兵は皆口を揃えて『巨大なドラゴン』と言っていたが……。


 当時、王国騎士としてダリルマンディに駐在していたデルフィネ卿は知っていた。

 見聞する破壊の痕跡も帝国兵たちの証言も、全ての手がかりがある男に繋がる……。


 その男とは、アリエル・ベルセリウス。

 元王国騎士団、19歳の若さでノーデンリヒト守備隊長に大抜擢され、ノーデンリヒト領主になったというトリトン・ベルセリウスの長子で、世界最強とも謳われる魔導派閥、ベルセリウス派を率いてダリル領都ダリルマンディを襲撃した歴史的大罪人だ。


 アリエル・ベルセリウスがダリルマンディを襲撃したあと、元老院議会から王立魔導学院にも調査を命じた事から、学長のアルド氏が王国最大のアルド派魔導派閥を自ら率いてダリル入りしたのだ。

 アリエル・ベルセリウスと、その眷属であるブルネットの魔女の戦力を分析するのが任務だったはずだ。だがその戦力分析の結果は芳しいものではなかった。ダリルがベルセリウスの蹂躙を許したのも、アルトロンド軍がノルドセカ、サルバトーレ会戦で惨敗したのもひとえに魔導の力を軽んじていたせいだという調査結果が上がってきた時には、その報告を読んだ自分の目を疑ったものだ。王立魔導学院、王国の魔導の最高学府の長ともあろうものが、ベルセリウスのダリル襲撃をチャンスと捉え、王国内での権力、発言力をより高める道具に利用したのだ。よくよく考えてみると、急速に力を付けてきた魔導派閥、ベルセリウス派の力を王国最大の魔導派閥を持つアルド派が認めるなど、天地がひっくり返ってもあるわけがなかったのだ。


 当時ベルセリウスの力を正確に分析し、そして脅威だと訴えたのは騎士団長だったガモフ氏だけだった。ガモフ氏は元老院議会に立ち、ベルセリウスと事を構えるのは得策ではないと辛抱強く議論してくれたおかげで王国軍は未だ勢力を保てているのだろう。いや、そうとしか思えない現実が、実際に目の前で起こっているのだから。


 そのガモフ氏に、大罪人ベルセリウスに対して甘い、手ぬるい、及び腰だなどと言っては足を掴んで引きずり降ろし、騎士団長の椅子を奪ったハモンド団長はベルセリウス一派がアシュガルド帝国との国境近くで討伐されたとの報を受けるや否や、打倒ベルセリウス、打倒ボトランジュを掲げ、数々の言いがかりと圧力で難癖を付けて、10年後にはとうとう王都に弓を引くまで追い込み、嬉々としてセカに侵攻してしまった。もう、シェダール王国はベルセリウスを敵に回して戦っているのだ。まさかあのアリエル・ベルセリウスが生きているなどとはこれっぽっちも考えずに。


 デルフィネは、戦闘後検分と王国軍送り出しで南門外に来ていたイオに尋ねた。

「なあザムスイルガル、この惨状、もしやアリエル・ベルセリウスが戻ったのか?」

「さあな。戻ったのかもしれんし、別人かもしれん。よくわからんというのが正直なところなんだ……。んー、しかしなあデルフィネ卿、この惨状を見てどう思った? 俺たちは王国を倒そうだなんて思っちゃいなかった。ただ平和な暮らしを取り戻したかった。それだけだ。だが俺がかつて忠誠を誓ったシェダール王国は道を誤った。国として、人としての道を誤ったんだ。これは簡単なことじゃあない。兵を引いて王都に帰るよう勧めた俺がいう事じゃないと思うが、もう何もかもが手遅れだと感じるよ。必ず世界は変わる。シェダール王国は高いツケを払わされるってこった」


「そうか。アリエル・ベルセリウスが戻ったのだとしたら……、今度は王都もタダでは済むまいな」

「ははは、戻ったのはアリエルだけじゃないってことをいずれ思い知ると思うが……まあ、この戦争が終わったあと、一緒に酒でも飲めたらいいな」

「そうだな、ザムスイルガル。女神の加護のあらんことを」

 デルフィネ卿が最後に言った言葉は、戦場に赴く仲間の無事を祈る言葉だ。しかしシェダール王国はもう女神の加護を受けられないことをイオは知っている。返す言葉なんてない。しかし旧友の無事を祈るだけなら構わないだろう。イオはそう思って、胸に刻み込むように言葉を贈った。

「ああ、デルフィネ卿。女神の加護のあらんことを」



 デルフィネはマローニを去る前に、南門外の戦闘で何があったのか、どういった方法で戦闘し、これほどの被害を出したのか、戦闘にかかった時間はいかほどなのかを聞き取りと検分で可能な限り情報を集め、王国に持ち帰ろうとした。だが得られた情報はとてもシンプルで、まるでハンコを突いたように、みな口を揃えて同じことばかりだった。情報を整理するまでもなく、推測される敵の戦力は常軌を逸したものだった。


 デルフィネは強化魔法を常時展開してノルドセカまで走れる斥候に報告書として書簡を託した。書簡はセカでバトンタッチされて、一両日中には王都に届くだろう。


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