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十章サイドストーリー 初恋(2)

次話はまた9月4,5,6のどれかあたりに。


「……やっべえ、マジで一睡もできなかった。外が明るくなってきたじゃねえか」

 エマの悪戯が利いたのか、アーヴァインはこの寝苦しい夜を、これっぽっちも、まったく、それこそ1ミリたりとも眠ることができず、ただひたすら煩悩が生み出すリビドーと戦っていたのだ。朝になるまで。


 朝の光が差し込み、薄明るくなってきた室内、ベッドの下に敷かれた布団でスース―と寝息を立てるエマの姿をチラッと見てみると……寝間着の胸が少しはだけて、少し控えめなお胸が半分ぐらい見えているじゃあーりませんか!!

「いかん、こりゃたまらん。俺マジで野獣になってしまいそうだ……外で素振りでもしてこよう」


 アーヴァインは物音を鳴らさないよう、エマとイヴを起こしてしまわないよう、一振りの木刀だけもって、そーっとそーっと部屋を出て、宿舎の建物のすぐ前の街道の端っこで、まずは心を落ち着かせて、気を鎮めながら、柔軟体操から始めることにした。

 昨夜遅く、ここに来た時は分からなかったが宿舎の建物は2階建てで、土壁のアパートのような作りになってる。帝国の宿舎と比べても建物だけを取ってみると見劣りするものではなかった。ただ、トイレ、シャワー、井戸など、水回りが共有スペースにあることを除けば。


 関節を温める運動をしながらざっと辺りを見渡し、井戸の近くにある一本の木の下に向かった。広く枝を横に張り、貪欲に太陽光を受けようとする広葉樹だけど、なんという木なのかは分からない。これは人の習性なのだろうか、たとえ学校の運動場が全部あいていたとしても、その広いスペースを独り占めできたとしても、運動場のど真ん中に出て素振りしようなんて考えないのと同じで、アーヴァインも、自然と足がそこに向かい、端っこの木の下に陣取った。


「エマさん、綺麗な人だったな。さすが俺の選んだ女性って感じだよな、ど真ん中ストライクだった」

 無心になって素振りを始めた途端に出た独り言がこれだった。そしてエマはどこかあのコに似てる気がした。あの、ハイペリオンが飛んでいたのを目撃した日、夕焼けの海岸で会った、幻のようなエルフの女の子に。

 

 アリエル曰く、前世ではエマと、あとバーバラって人、2人を妻として暮らしていたらしい。


 アーヴァインは、ノーデンリヒトに向かって、そしてエマやバーバラに会えたら何か、記憶がフラッシュバックを起こすように思い出されるだとか、何かそういう特別な事が起こるんじゃないかと思っていた。だけどそんな都合のいい事なんか一つもなく、エマと会っても何も起こらなかった。


 エマにしてみても、目の前に転生したアーヴァインが現れても、それは別人だった。遺伝子が同じってだけなら、一卵性の双子だって同じだし、もし仮にクローンなんてものが居たとしても、それを同一人物とは認められないのと同じなのだろう。一緒に暮らしてきた年月、泣いて、笑って、ともに歩んできた人生。交わした愛の言葉と約束の数々、それら抱えきれないほどの思い出を二人で共有して初めて絆になるんだろう。愛なんてのは細胞レベル、遺伝子レベルにまで分解してしまったらただの肉欲になってしまう。大切なのは肉体じゃなく、心なんだ。


 フッ! フッ! フッ!

 素振りに熱が入り、身体が温まって少し汗ばんできた。

 いろんなことが頭をぐるぐる回って、とてもじゃないけど無心になって素振りなんかできやしない。いくら考えてもすぐに答えが出るわけがないようなことが頭に絡みついて考えることをやめられなくて、雑念を振り払うことが出来ない。


 なら振り払おうとせずに、思いっきり考えてやることにした。



 烏丸大成からすまたいせいことアーヴァインは、この世界で生きた勇者アーヴァインの生まれ変わりとしていま生きているらしい。前世の記憶なんてない。というより、前世なんてものがあったのか半信半疑のまま、こんな遠いところまで来てしまった。記憶がないと言っても、別に頭を打って記憶喪失になったわけじゃないのだから、別にエマの事を忘れてしまったという訳でもない。

 最初から知らなかったし、最初からその体験をしていないんだ。


 エマと愛し合った事実はなかった。

 彼女と美しい思い出を作ったアーヴァインは、もういないんだ。


 そんな当たり前の事をいま思い知ったアーヴァイン。重圧から解放された気がした。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ気分が軽くなったのを感じると、素振りしている木刀も心なしか軽くなって、風を切る音も鋭さを増したようだ。心が淀んでいると剣に迷いが生じるというのは、いつも深月アリエルに言われてきたことだ。もっともその言葉をアリエルに言ったのはアーヴァインその人なのだが……。


 いつしか素振りの軽い動きの中で汗がほとばしるようになった。

 朝の素振りの、身体を温める程度の、ほんの軽い運動のつもりが、考え事していたことを、頭に絡みつくような袋小路に迷い込んだ思考を無意識に振り払おうとしていたのか、知らない間に力が入っていたようだ。そんなアーヴァインの背後から声をかける女がいた。


「へえ、やっぱり相当なモンだ」

 不意に声を掛けられ、チラッと横目で振り返ってみると、そこに立っていたのは……。


 鬼だった。

 鬼の女が金棒……じゃなくて、両手持ちの大きな剣を肩に担いでそこに立ってた。


「うおっ」

 振り返って鬼が居たら普通驚いて引くだろう?

 女の声だったからと思って何の気なしに振り返ったら鬼だったんで、思わず半歩引いてしまった。

 失礼なことをしてしまったようだ。


 その女性は、昨日初めて見た魔人サナトスを黒髪にして、女性らしくチャーミングになったような顔をしていた。この女性を一言で表現するとすれば、日本の伝承にある鬼というのがいちばん手っ取り早い気がする。ただ、アフロヘアでもなければ虎のパンツをはいてる訳でもない。ストレートの黒髪を、額から生えた2本の角に掛けていて、その角の先には鉛筆キャップのようなものが刺さっている。革製のキャップには小さな赤いワンポイントのリボンが付いていて、それが女の子のものであることを如実に物語っていた。大きな両手持ちの剣を肩に担いでいる割には女子力が高そうだ。肌は浅黒いけれど、小麦色に日焼けしたような感じではない。エマと似たような服、日本で言うところの、浴衣のような前開きの服を着ているから、たぶん寝間着なのだろう。


「あ、えっと。魔人族って言ったっけ、素振りに夢中になってたせいで気が付かなくて、ちょっと驚いたんだ。失礼した」


「走って逃げられなかっただけマシ。ところでキミ、アルカディア人でしょ? あのカンナの父親っていう?」

「そのつもりでこんな世界の端っこまで来たんだけどね、どうやらそうでもなかったらしい」

「あははは、アルカディアからこんな辺境まで、ようこそいらっしゃいました。私はべリンダ。キミと一緒に帰ってきたロザリンドの姉、そしてアリエルは義弟にあたるわ」

 ロザリンドってことは常盤ときわの姉だ。常盤の性格そのまんまの外見に、込み上げてくる笑いが押さえきれず、アーヴァインの唇から笑みがこぼれた。


「なんで笑うのかな? アルカディア人ってなんだか楽しそうね、私、初対面の人に、そんないい笑顔で笑われたことないのだけど」

「えっと、ごめん。べリンダさん。アーヴァインです初めまして。もしかして朝の鍛錬ですか?」

「そうよ、私のお気に入りの場所が占領されてたんだけど、いいものを見せてもらったから別にいいわ」

「すみません、どうぞどうぞ。俺はもうひと汗かいたんで」

「いいわよ。そんなことより、話を聞かせてほしいのだけど、いいかな?」


 アーヴァインは汗に濡れたシャツを脱いで、井戸の水でざぶざぶと洗濯しながら答えた。

「俺の知ってることなら話しますよ。……ああ、そうだ。あとで俺この世界のこともちょっと教えてもらえると嬉しいのだけど、魔法の事とか」


 べリンダが聞きたかった話というのは、やっぱり思った通り、それしかないだろうという、ロザリンドの事だった。それもロザリンドと知り合ったのはいつだとか、どういう友達なのかとか、そういった具体的なことは一つもなく、ただ漠然と『ロザリィの話をして』といったものだった。

 べリンダはさっきまでアーヴァインが素振りをしていた木陰に入り、幹を背もたれにするように座っていて、話を聞くモードになっている。素振りしようとしていたその重そうな大剣も、無造作にその辺に立てかけたまま。


 アーヴァインは話が長くなるのを分かった上で、最初の出会いのシーンから話した。週に2度、木曜と土曜の夜、子どもに剣道を教える道場で出会ったこと。最初から常盤ロザリンドは相当に強かったこと、そして、幼いころからずっとこの世界に帰ってくる方法をあちこち探し回っていたこと、何度立ち会ってもコテンパンにのされたこと、そして弟子入りしたわけじゃないけれど、自分を鍛えてくれたのは誰あろう、ロザリンドだったので、実質、師のようなものであること。それらアーヴァインの視点から見て、ありのままを話した。


 べリンダが欲しかったのは情報じゃなくて、妹ロザリンドがどんな思いで16年間もここを留守にしていたかを知りたかったただけなのだろう、アーヴァインのする思い出話ひとつひとつに頷きながら、ここでひとつ、アーヴァインには答え難い質問を投げかけた。


「ねえ、ロザリィは人になって戻ってきたわ。あの子、それが望みだったのかな? ロザリィは私にとって自慢の妹だったけど、あの子は魔人に生まれたことを憎んでいたから……とても」


 アーヴァインにはどう答えたらいいか分からなかった。確かにロザリンドが魔人族の女性だったといわれても、普通ならにわかに信じられる話じゃない。そう、普通なら。

 イメージしろと言われればいとも簡単にイメージが出来上がってしまうほど、魔人族の常盤美月ロザリンドは想像するに難くない。


「ロザリィはいつも鏡を見て、醜いって言ってた。角も牙も爪も、大嫌いだって言ってた。鏡を見ることも嫌いって。ねえ、アルカディア人のあなたの目から見て、私ってそんなに醜いの?」

 醜いかと問われると、美しいとしか答えようのない容姿をしているが、確かに一対の角は見ようによっては禍々しくも見えるし、鋭い爪も、節ばった手指も、人間の感覚からすると、モンスターのそれだ。だけど……。


「俺の目で見た、客観的な意見でよければ」

「うん。率直なところを聞きたいんだ」

「美しいと思います。ところでべリンダさん、結婚とかは?」

「まったくなし! 人族の街に出てきたらイイ男がいて、普通に恋愛とかできるかな? って思ったりもしたけれど、もう諦めたわ。だからー、小さかった頃、ロザリィが醜いって言ってたことを思い出したの。やっぱりロザリィが言ってたことは正しかったのかなって。でもありがとうね、美しいっていってくれたのもキミが初めてだ。キミとはいい飲み友達になれそう」


「お酒っスか、えっと俺まだ15なんだけど……」

「15っていやあ元服のトシよ。アルカディアじゃどうかしらないけど、ここじゃ立派な大人。キミ、エマんとこの居候なんでしょ? あの堅物に振られたら私のトコにきたらいいわ。近いし、階段を2階まで上がるだけで私の部屋。あはは」


「エマって堅物なの?」

「相当な堅物、ついでに言うと、バーバラもね。エルフって人族と結ばれると、かならず若くしてパートナーを亡くすから。これは種族的な寿命の差だから仕方ないんだ。だいたいは、3年から5年ほど喪に服して、そのあとは自分の将来を考えるのが普通なんだけど、あの堅物は未だに他の男の誘いを拒み続けてるの。私の知る限りじゃエマに惚れて言い寄った男が3人居たけど、みんな歯牙にもかかることなく、眼中にもないんだからね。モテる女って余裕あっていいわー、治癒師のエルフなんて、それだけでモテる要素満載よね」


 余裕があるというベリンダに少し違和感を感じたアーヴァイン。エマに余裕があるようには見えなかった。単純に忘れられない人を、忘れようとしていないだけの自然体なんだと思う。今この場に居るアーヴァインも、たった一度、エルフ女性の幻を見ただけで、あの幻の女性にもう一度会いたいがために、こんな異世界の端っこまで旅をして来てしまったんだし。


「あのさ、それってきっと、前のアーヴァインがいい男すぎたんだよ。もっといい男が居ればきっと」

「へえ、言うね。自信たっぷりの男は嫌いじゃないわよ」

「だといいけどね、今のアーヴァインはこんな感じで、ひとつもモテたことがないから自信なんてどこを押しても出てこないんだ」


 べリンダとの雑談がいい感じに盛り上がり、アーヴァインはシャツを絞ったあと、木刀に通して木の枝にかけ、東風で乾かそとしてるところに、エマが出てきた。


「あーさん、おはよう。タオル、ここに置いておきますからね。その洗濯物はこちらで預かります」

 この世界には水道なんて便利なものがない。どうやらエマは井戸を使うため、外に出てきたらしい。胸がはだけそうになっていた寝間着もちゃんと整えられていて、その上に外套を羽織っただけのラフ格好だったが、髪をたくし上げた生活感のあるエルフってのもいいものだと思った。ってか、この世界にはブラジャーなんてものがないらしい。


「ところで、あーさん、もうべリンダをひっかけたの?」

「んー、残念だけどアーヴァインは私をひっかけちゃくれないらしいわ。で、いま軽く酒飲み友達になろうかって言ってたところ。話が聞こえたから出てきたんだろ? 混ざってくかい?」

「そりゃあ、小声でコソコソ話してくれたらいいのだけど、宿舎のみんなに聞こえるような声で話されちゃ、いくら私が堅物でもちょっと困るかなって内容だったから」

「ほらな、エマは堅物の上に地獄耳なんだ」


「べリンダ、あーさんを狙うのは自由ですけど、この人は、エルフの女の子を探すためにこの世界へ来たらしいわよ? なんだか、とってもロマンチックじゃない? たった一度会っただけの女の子にもう一度会いたいからという理由で、異世界に来ちゃうなんて」


「なんだキミもエルフ専か。エルフじゃないとダメなのかね? 魔人族の女もいいと思うけど?」


「いやあ、そんな大層なことじゃないんだ。アルカディアには魔法を使える人も居なければ、エルフなんて人種もいないんだけどさ、俺は見たんだよ。目の前にエルフの女の子が居たんだ。まるで幻のように、向こうが透けて見えた。これって、何かの魔法だよね? そして俺は目が合って……」

「え? ちょっとまって、いつ? どこで?」

 何か知っているのだろうか、べリンダの言葉には先ほどまでの談笑していた、ゆるい雰囲気はなかった。


「え? 俺がえーっと、10歳の頃だっけか。ハイペリオンが飛んだ日なんだけど、俺は海岸にいて、沈む夕日に向かって、そう、今と同じように、剣を振ってたんだ」


 アーヴァインがそれとなく言った、尋ね人のこと。エマにもべリンダにも思い当たるふしがあった。特にエマにとっては、娘カンナから何度も聞かされてきた話とそっくり重なった。アルカディアに行ってみたいと言ったカンナが、今も魔導学院で転移魔法を勉強するきっかけとなった出来事。だけど、それは偶然と言うにはあまりにも残酷な運命の導きだった。


 アーヴァインは、どこかおかしな空気になってしまったことに戸惑いを隠せない。

 さっきまでとてもいい雰囲気で雑談していた空気は、いったいはどこへいってしまったのか。エマの顔からも、べリンダの顔からも微笑みが消え失せていて、なにか重大なことがあったことを物語っていた。


「えっと、何か悪いことを言ったかな? ごめん、悪気はなかったんだけど」

「いいえ、何も。ただ、あなたの探し人にちょっと心当たりがあっただけ」

「マジで? ちょっとその心当たり、教えてほしいんだけど」

 心当たりがあると聞いて、エマに詰め寄ろうとしたアーヴァインに、べリンダが釘をさすような言葉で、ひとつ問うた。

「私はアルカディアで似たような体験をしたって子を知ってる。15歳の、クォーターエルフの可愛い女の子だ。エマもたぶん、同じ女の子の事が頭に浮かんでるだろうね。なあアーヴァイン、キミはその子と会って、どうする気なんだ? いったいどうしたいんだ? まずはそれを聞かせてほしい。私はその子のことが心配だ」


「そんな、俺はそんなつもりじゃないんだ。あの子に会って、どうこうしようなんて考えてない。ただ、ただ俺の心に、まるで刻み込まれたかのように、強烈に印象に残っていて、忘れられないんだ。あの瞳が」

「どこか寂しそうな瞳が……か」

「そう! 知っているのなら……」


「そうだったのか。キミはその子と必ず会えるよ。キミが望みさえすればね。じゃあな、お二人さん。私はそろそろ部屋に戻るよ。今日は朝から要塞の門に集合するらしいから準備しないと。そうだ、酒を飲みたくなったら私に声をかけること、絶対だぞ、つらいことがあっても、一人で抱え込むんじゃない。何しろキミは、私のお気に入りなんだからな」

「あ、ああ。わかったけど? 何だ? つらいことなんてないぞ?」


 べリンダはこの場にエマとアーヴァインと、この、口を開くのにもタイミングを計らないといけないような、こわばりの空気を残して、宿舎に戻って行った。

 何か重大なことを察してしまったかのような表情で、いつまでもべリンダの背中を見送っているアーヴァインに、エマは、何と声をかければいいのか分からないまま、それでも、優しい声で話し始めた。


「その子は、父親が居なくて、寂しかったんだと思います。だから父親の足跡そくせきを逆に辿って、精霊さまの魔法で、アルカディアを少しだけ覗き見したのです」

「えっ? ……」


「私が聞いた話では、そこは世界を丸ごと石で作ったような、とても進んだ街があって、防護壁を超えるとそこは海岸線。一面真っ赤な夕焼け空に目を奪われると、近くには一人の少年がいて、へたくそだけど、一生懸命に剣を振っていて……。ありえないことに、その少年と目が合ったそうよ。そして、その瞳に引き込まれて、忘れられなくなってしまった」


 アーヴァインは言葉もなく、ただ立ち尽くしていた。

 あの日、出会った忘れられない瞳の少女が、まさか。


「その子の名は……」

 エマがあの女の子の名を言おうとしたとき、アーヴァインは言葉をかぶせた。

「カンナ……か」

 その言葉にエマは何も答えることはなかった。


「あーさん、そろそろ朝ごはんの準備しましょうか。私こう見えて自炊してるんですよ? 今日はバーバラも……、そうね、カンナも来るはずだから」


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