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04-29 風来坊の帰宅

108話



 アリエルに手紙を預け、情報を共有すると言う約束をしたベルゲルミルたちは、アリエルたちと別れ、後を追うようにのんびりとマローニに向かって歩き始めたところだ。アリエルたちは弾丸のようにすっ飛んで行った。移動速度の差というものを思い知らされた。


「はあ、風のように行っちゃった。あの移動魔法もオリジナルなんでしょ。でもさベルゲル、あんたあいつと仲良く話すようになったね。私はそっちのがびっくりだよ。キャリバンやフェーベを殺されたのにさ……」


「憎くないわけじゃないぜ。俺も何度もウデ飛ばされてっし……。なあディオネ、キャリバンがなんでこんな北の果てまで来たか知ってるか?」


「戦争を終わらせるためでしょ? 何度か聞いたことあるし」


「そうだ。俺たちが勝って戦争を終わらせるためだ。だけど見たろ? 俺たちが負けたことで停戦になったよな。ここの連中は千年以上も前から殺し合ってるらしいじゃねえか。千年だぜ? 信じられるか? 誰もやめようって言わなかったのかよ。マジでバカばっかりだろ? なあ、ディオネ。俺たちは理解が足りなかった。エルドユーノで教わったことを鵜呑みにし過ぎた。獣人もエルフも人も、みんな同じ、この世界に暮らすニンゲンだったってことさ」


「え……? うそ。私、ひとを殺したの?」

「ディオネ、お前だけじゃねえ。俺たち全員だ。もしかすっと、帝国で俺たちにこの世界の言葉や常識を教えてくれた教官や神官たちも、本当はこの事実を知らなかったのかもしれねえ。だとすると、俺たちゃ飛んだ貧乏くじを引かされちまったって事になるよな」


 ディオネはしばらくなにも言葉にならなかった。頭の中はぐちゃぐちゃになっていて、自分が魔法で焼き殺した獣人たちの断末魔の悲鳴や、死に顔が次々と浮かんでは消えてゆき、人を殺していたという事実に押しつぶされ、胃の中のものを吐き出した。


 今までずっと、獣人は人じゃない、魔物だ、モンスターだと言われて、その言葉を疑いもせず、信じて戦ってきたのだ。今更、あなたの殺したモンスターたち、実は人でしたなんて言われてしまうと、自分たちの立っている土台から崩れて行く思いだった。


 がっくりと肩を落とし、うなだれるディオネの背中をさするカリスト。

 気落ちするディオネを察してか、ベルゲルミルは元気を出せとでも言いたげに、胸を張るでもなかったが、ちょっと誇らし気に言った。


「だがよ、俺たちが貧乏くじ引かされた悪役で、あいつらみてえな正義の味方サマに負けちまったけどよ、それで戦争が終わる方向に動いてくれたらいいんじゃねえかな。キャリバンもきっとあの世で『フッ、だがそれもいい』とか言ってんじゃねえか? カッコつけてよ。どうせ俺たちゃヨソモンの異世界人だ。負けたからって泣いて帰る家はネエしな、キャリバンやフェーベの仇を討ちたくても、俺たち悪役の残党だしな」


 今まで苦楽を共にしてきた仲間が目の前で殺されたというのに、その仇を討つことすら躊躇うベルゲルミルにディオネは少し嫌悪感に似ような感情を抱いた。


「ベルゲルは仇を討ちたくないの? 私たち仲間だったじゃん。苦しい時も、楽しい時もずっといっしょだったし、いつか言ったよね、私たち死ぬときは一緒だって。言ったよね!」


「俺を責めるなら責めてもいいぜ? フェーベが倒されるところを見て、やっと実感できたんだ。おせえか? おせえよな。戦うってことは自分が殺されるかもしれねえし、人を殺すことになるんだ。文字通りの命がけってやつだ。俺はこの世界の人間じゃねえ。たぶん、俺の生きる場所は、この剣を振るう戦場ぐらいしか居場所もねえと思う。どうせいつかは誰かに斬られて、こんな大嫌いな異世界の、友達も恋人も家族もいないような、冷たい土地で死んでしまうんだってことも、そうだな……理解してるつもりだ。だから俺は、自分が命を懸けるに足る理由が必要だと思ってる。弱い者たちを守るとか、虐げられている者たちを開放するとか、えっと、うまく言えねえが大義名分ってやつだな。今の俺にはそれがネエんだよな」


 日本人じゃなくとも、魔王の軍と戦っていて、住処すみかを奪われたと聞くと、魔王の軍が悪者で、住処を奪われた方が、一方的な侵略を受けた、気の毒な住民たちだというのが相場だと思うし、誰もそう信じて疑わなかった。


 魔王軍の主力である獣人たちは魔物であって、人じゃない。ただ血と戦いを好む野蛮な奴らで、地獄から沸いて出たかのようなイメージを持っていたディオネ。だからこそ戦えた、だからこそ殺してしまっても心は痛まなかったのだ。


 だけどベルゲルミルに言われた『俺たちは理解が足りなかった』という一言で、突然脳が理解した。いままで考えたくもなかった。戦場に出て戦う獣人たちにも両親があって、そして帰りを待ちわびる家族も恋人も子どももいるということを。


 これまでディオネが炎の起動式を構築して焼き殺した多くの獣人たちも、実は人だったのだ。


 ディオネがいま、その事実に打ちひしがれているのと同様に、ベルゲルミルも今まで自分がしてきたことを思い出して、その結果がこれだと、苦い敗戦を味わった。


「私ももう無理。戦えないよ」


「なあ、ディオネ、戦争が終わってよ、平和になったら、どこか平和な村にでものがれて、俺と一緒にひっそりと暮らさね?」


「それはイヤ。『俺いいこと言ったぜ』みたいな顔してると思ったらやっぱり挟んできたし」


「畜生、まーた振られちまった。いいところだと思ったんだがなー」

「ほっほっ、お主本当に懲りない奴よの」



----


 一方こちらはベルゲルミルたちを軽く追い越して、一路マローニへと向かうアリエルたち一行。

 サオのペースに合わせながらゆっくりと、でも時速100キロぐらいの速度で丘陵地帯を流すように滑行しているところだ。


 人というのは不思議なもので、視界が動いていると思考も動く。

 ある程度までは、速く動くほどに思考も加速する。おかしなもんだ。落ち着いてものを考えて何も纏まらないような時、ちょっとウロウロするだけで思考は前に進む。


 帝国にいる勇者と勇者候補たちってのは、だいたい日本から召喚された人たちってことでいいはずだ。

 カリストが知ってるだけで47人いるってことは、相当な数の日本人が召喚されてきてるってことだし、あちら側の転移門が開くのは故郷H市か、隣のS市に限られてると言った。


 それなのに俺の前世でガキの頃から、大量行方不明事件なんて聞いたことがない。そんな神隠しのような事件が恒常的に起こってるなんて異常なのに、子どもたちにすら注意を促すようなこともなかった。そんなバミューダトライアングルみたいな地域が日本にあって話題にならないのは、どう考えてもおかしい。


 そして帝国に行けば日本からこの世界に来る片道切符の転移門ゲートがあると聞いた。これは重大な情報だ。一方通行で帰ることが出来ないと言ってたけれど、もしかすると、転移門をマナで起動させることが出来るかもしれない。自分がその転移魔法陣に乗ればどうなるのだろう? 一方通行だと思っていた転移魔法陣を逆行して日本に向かうことが出来ないか? 否が応でも期待してしまうし、試してみたくもなる。どっちにしろ帝国に行かなきゃ何も始まらないってことなのだが。


 神器より一段落ちる装備でもキャリバンクラスの奴が12人も居るとなると戦力的にはかなりしんどいし。勇者ばかり12人のパーティなんて組んでこられたらほぼ勝ち目なしだ。


 一緒に話を聞いてたはずのロザリンドは「どうせ帝国に行かなきゃ何も分かんないわよ」なんて言ったと思ったら急加速してスケイトの最高速トライを始めるし、パシテーとサオはそもそも意味が分からないのでこの件についてはこっちに丸投げ。てくてくはずっとネストで爆睡中ときた。


 まあ、ロザリンドの言った通り、どうせ帝国に行かなきゃ何も始まらないのだけれど、帝国は人族以外は人にあらずって法がまかり通ってるらしいから、このメンバーで行って無事で済むはずがない。だからといって、さっき誰も置いていかないなんて約束した舌の根も乾かないうちに単独行動したいなんて言うわけにもいかないし。

 ロザリンドもパシテーも、きっとサオまでも着いてくるって言うんだろうなあ。


 って、ロザリンドが見えなくなったよ。気配では500メートルぐらい前をものすごい勢いで移動してて、みんなを引き離してる。


 [スケイト]の虜になってしまったロザリンドはもう、覚えたてのナンタラとでも言えばいいのか、とにかくそのスピード狂ぶりには困ったもの。もともと強靭な肉体と恵まれた運動能力に加え並外れた動体視力を駆使し、わずか1日でアリエルの最高速と同レベルの150キロ巡行を可能にした。


 100キロで精いっぱいのサオは『私が足を引っ張っている』と恐縮しているが、ロザリンドとは違って言いつけをしっかり守ってる。強化魔法を強めに掛けて、安定性を重視して滑行するその姿勢は優秀も優秀。師匠が弟子の成長を見守るのって、本当にやりがいがあるのだなと実感したところだ。

 ロザリンドのように2時間に1度は転倒して地形を変えてしまうような粗忽者とは違うのだから。



----


 サオの頑張りもあってか、みんな日が出ている間にマローニに帰ってくることができた。

 街が見えてきた時点でロザリンドもサオもテンション上げ上げになった。


 街の東門では出入りを管理する衛兵に声をかけられた。

 東門なんて寂れた小さな門なのであんまり声を掛けられることがないのだけど、ロザリンドは頭からすっぽり大きめのフードをかぶって、ツノ含めると2メートル30センチ近くにもなるので怪しく見えたのだろう。


 不審者として疑われて声を掛けられたけれど、飛行魔法でふわふわと飛んでいるパシテーとアリエルの顔でスルーパス。前回マローニに戻ったのは2年前、実に2年ぶりに顔を合わせた衛兵さんだったが、さすがに飛行魔法で飛ぶパシテーを見たら、一緒に居るのがアリエルだということぐらい察しが付くのだろう。2年前と多少姿かたちは変わっていても、領主の一族なんだから顔パスだった。



 途中、ハイペリオンがベルゲルミルたち勇者敗残兵ズに絡んだり、ロザリンドが何度か転倒したぐらいで、ほぼノントラブルでマローニに戻ってくることができた。


 街に入り、大通りに出てゆっくりと歩きながら街の中心部に向かう。

 ロザリンドもサオも人がいっぱいいる街は初めてだったので、キョロキョロしながら落ち着かない。


「へ――――、欧州ヨーロッパの街みたい。すごいね、エテルネルファンより都会だよ」


 エテルネルファンはロザリンドが生まれ育ったドーラ最大の都市。

 エルフ族とウェルフ族が多く暮らす多民族都市で、魔人族の街でもあった。人口規模は5万人弱と言ってたからマローニと同じ来の街だが街の作りかたがまるで違うとか。


 とにかくロザリンドは馬車の通る通りが石畳で舗装されていることと、建物が規格化されていて、どの建物も似た建築様式であることを美しいと言っていた。


 エテルネルファンはカッツェ族のように150センチ台の種族と、最大で3メートルにもなるベアーグ族が同居している。家も建物もまちまちなのだそうだ。


 高身長なロザリンドが真っ黒な外套とフードをかぶっているので悪目立ちはしたが、アリエルが先導することで街の中でも特に問題はなかった。ただロザリンドとサオがキョロキョロして挙動不審だったぐらいだ。


 サオは馬車も、馬車を引く馬も初めて見たそうだ。


「ロザリィ、ヒト族の街ではツノのない鹿に荷車を引かせているのですね」


「サオ、あれは馬という動物なの、ノーデンリヒト砦の守備隊の人たちも乗ってたでしょう?」


「ああっ、あれが馬だったんですね。さすがロザリィ、物知りです」



 街の中心部にまできた。

 ここまでくると一定間隔で魔導灯が設置されていて、夜はあかりが灯るようになる。


 いつもなら冒険者ギルドに顔を出してから帰るのだけど、今日は最優先でやらねばならないことがあるため、まずはベルセリウス家の別邸に向かうことにした。


 中央の大通りを右に折れ、チャイムを鳴らすといつものようにポーシャが出迎えてくれた。


 んー、ポーシャの顔を見ると帰って来た……って思うよなあ。


「ただいま。母さんいる?」

「おかえりなさいませアリエルさま。居間でくつろいでおられますよ。どうぞこちらへ。……お連れのかた、室内ではフードを外されたほうがよろしいかと存じます」


 ロザリンドは自分のツノをあんまりよく思っていないらしく、マローニに入る前から顔を隠すようにフードをかぶってしまった。


「失礼しました」


 ロザリンドにしてみると遠まわしに、ポーシャを驚かすまいとした配慮だったのだが、ポーシャは暗にお行儀が悪いからビアンカの前へ出る前にフードは外しておかないと初対面の印象に響きますよと忠告してくれたわけだ。それに応えて素直にフードを外したロザリンドの姿にもポーシャは特に驚きもせず、にっこりと微笑んでビアンカのいる居間に案内してくれた。


「奥様、アリエルさまがお帰りになられました」


「母さん!」


 ビアンカの驚く顔を見るや否や、アリエルはスッとポーシャの脇をすり抜けて母の豊満な胸に飛び込み、抱き上げてぐるぐるまわる。2年前も同じようにビアンカを抱き上げて回ったが、あの頃よりもビアンカはまた少し小さくなった気がした。


 息子は懐かしい母の感触を、母は息子の息災を確かめ合い、まずはトリトンから預かった手紙を渡した。ビアンカはトリトンからの手紙を興味ないとばかりにテーブルの上に置き、16歳になりすっかり大人になった息子を改めて見惚れた。


「エルったらお友達を連れてくるなら前もって言ってくれないと、母さんいつもスッピンでなんて恥ずかしいんだからね。……お友達を紹介してくださる?」


「こちら俺の嫁のロザリンド。母さん、俺さ、結婚したんだ。」


「ロザリンドです。不束者ですがよろしくお願いします、お義母さま」

 ロザリンドがビシッとしたお辞儀をしながら完璧な挨拶をキメた。今日は不届き者じゃなく、ちゃんと不束者って言えた。失敗ナシだ。


 よくよく考えたらロザリンドはドーラの王族の姫様なんだから行儀作法は完璧だった。そういえばここにアリエルというノーデンリヒト領主の息子がいたはずなんだけど、残念ながら恥ずかしくて人前に出られないレベルだった。


「は? えっ? ええええ――――っ」


 ビアンカがへんな顔のまま固まった。


 数秒そのままだったが、ようやく状況が理解できたのか、慌てて取り繕うビアンカの姿があった。


「あ、はい、はい、はい、えっと、はい、そうだ。そうです! あの、私がアリエルの母、ビアンカといいます。どうか末永くよろしく。えっと、父さんは知ってるの? 言わないとスネるわよあの人。めんどくさいの」


「ああ、ノーデンリヒトの砦で結婚式挙げたからさ、父さんが立ち会ってくれたんだ」


「え? ……何ですって? ちょっと待ちなさいアリエル。私、息子の結婚式に招かれなかったの? 私だけ知らなかったなんて、ちょっと酷すぎない? 私スネるわよ…………。トリトンね、またトリトンが私をのけ者にしたのね? へー、なるほど、わかりました。あの人の考えてることが、いまハッキリとわかりましたよ。あーもう、エルの晴れ姿とお嫁さん見たかったなあ……(チラ)私もう、息子の晴れ姿見られないのかなあ……(チラ)死ぬまでに息子の結婚式に呼ばれたいわ(チラ)」


 ビアンカがねた。


「ごめんよ母さん、戦場だったからさ、いつ死ぬかわからないし、万が一のことが……」


「え? ……何ですって? なに? もしかしてまた戦争してたの? 母さんと約束したわよね? もう戦争しないって言ったわよね、母さんの胃に大穴をあけるつもりなのね……いいわよ、母さん死んでやるんだから。心配して心配して、胃に大穴が空いて、血を吐いて死んでしまうんだから。もう知りませんからね、エルのことなんてもう誰も心配してくれないんだから。ああ、私もう倒れてしまいそう……息子は私を結婚式にも呼ばずに、ぜったいにしないって約束した戦争をしてたのですからね。私なんてもう、要らなくなっちゃったんだ」


 人目があるのにビアンカが我慢できずに拗ねてる。


 サオと目が合う。なんだかとっても申し訳なさそうな表情だった。

 ロザリンドと目が合う、こっちは直立不動で表情すら変えていない。これはこれで気の毒だ。


「わあぁぁ、母さんごめんよ、俺が悪かったよ。でもちょっと話を聞いて。大丈夫、俺は戦争に参加してないよ。俺が偶然ノーデンリヒトの砦に行ったらさ、悪い奴らにロザリンドたちが襲われてたんだよ。そう、襲われてたのを助けたんだ俺」


「本当なのね? もう絶対に戦争なんてやめてね。約束だからね」

「わかった。わかったよ母さん。約束するよ」



----


 まずはビアンカの心を落ち着けて、新しくふえた家族を紹介することにした。

「えーっと、ロザリンドはドーラの生まれで魔人族っていう……」


「うん、会ったことは無かったけど、聞いてるわ。強いんですってね。あなたは剣を持って愛する人の隣に並んで立てるのでしょう?」


 ビアンカは結婚してアリエルを産んだことを機に剣を置いた。

 それを後悔しているとは聞いているが。


「はい、それが望みです」

「いいなあ、私も嫁に来てから剣を置いたのが間違いだったわ。いつも置いてけぼり。どうか、どこまでもアリエルについて行ってやってくださいね。えっと、そちらの可愛らしい娘さんも初めましてよね?」


「こっちの可愛いのはサオ。俺の一番弟子だからね、サオも家族だからよろしく」


「サオと言います。師匠から魔術の手ほどきを受けています。よろしくお願いします」


「まあ、エルがお弟子さんをとるほどになったのね。こちらこそよろしく。エル、家族がいっぱい増えたわね。今日はてくてくちゃんは?」


「てくてくは昨夜ちょっと疲れたみたいでさ、影の中で寝てるよ。夜ご飯はいっしょに食べると思うんで、てくてくの席も用意しといて。お願い」


 アリエルが視線を送るまでもなくポーシャは「かしこまりました」と応えた。

 ポーシャが人数を聞いてくれたのでもう心配ない。


「さてと、帰ってきてバタバタするけど、俺も嫁さんもらったから家族が増えた分の収入を確保するためにギルドいってくるよ。ロザリンドとサオの冒険者登録しといたほうがいいし、弟子をとったこと師匠に報告しないと怒られそうだ」



「はい、今夜はちょっとしたご馳走を用意してもらいましょうね。また何も言わずに出て行って返ってこないなんてイヤですからね。わかってる?」


「わかってるってば」


「それとエル、あなたの首には賞金が懸けられてますからね、教会には近づいちゃダメよ。わかった?」


 あっちゃあ……、やっぱバレてる。


 アリエルはロザリンドとサオを紹介しただけで落ち着いて座ることもせず屋敷をあとにした。

 サオは疲れ気味だけど、まだ大丈夫そう。


 今日中に冒険者ギルドと師匠に紹介すませとこう……。


次話予告。

個人的に大好きな「ミルクイベント」回。当然やります。←


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