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第46話 魔王軍幹部 タルポ 1

まずは様子見で武器を剣に変えて、斬りかかる。タルポは右手で俺の剣を受け止めると、もう一方の手で、斬りかかっていたクロノスの剣を払いのけた。払いのける時に明らかに刃に触れていたが、傷ついた様子はない。


「まじでやばいな」


俺はいったん離れて呟く。ここである異変に気付く。周りを見渡すと、タルポを守っていた農夫たちがいつの間にか俺を取り囲んでいるのだ。

なんだろうか? 何をしたいんだ? 農夫はゆっくりと距離を詰めていく。農夫を攻撃するわけにもいかないので、ジャンプして上から逃げようかと思った時だった。農夫の腕が光る。


『火焔車』


俺を取り囲んでいた農夫たちから一斉に魔法が放たれる。逃げ場がない俺は咄嗟に上に跳ぶ。が、その程度ではほとんど威力を殺すことはできない。炎がぶつかってできた業火に炙られる。


「くそっ。 ランクが低いんじゃないのか?」


素肌の部分は火傷のようになっていた。特に足が酷い。

いきなりきついな。これは。

するとプシケが駆け寄ってくる。プシケは農夫たちの隙間を通って入り、回復薬を取り出すと、俺に渡す。俺はそれを飲んで、火傷が治っていくのを確認する。


「タルポの硬さは普通にきついけど、それ以上に操られた農夫たちだな。どうにかして解除できないのか?」


「回復魔法でもしかしたらって感じだね。状態異常を治す魔法を放てば治せるかも」


「プシケ使えるか?」


「一応。やってみるよ」


プシケは農夫に向かって構える。農夫たちはその動きに怯もうともせずに、近づいてくる。プシケは状態異常回復魔法を放つ。


『セラピィスト』


プシケの魔法は、農夫のうちの数人にかかる。かけられた農夫たちは苦しむようにして悶える。その間にも、かかっていない農夫たちはゆっくりと進行してくる。

取り敢えず俺とプシケは怯んでいる農夫たちによって空いた農夫の囲いから出る。

残りの農夫たちはゆっくりとこちらを向き、向かおうとする。


「仕方ない。簡単な魔法で動きを止める」


俺は今使える魔法で一番弱い魔法を考える。流石にせいでんき☆ぱにっくは取っていなかったので少しは威力がある魔法になる。


『フリーズドライ』


取り敢えず氷魔法で相手の動きを止める。特に足元の先っぽだけを凍らせるようにして、無駄にダメージを入れないようにする。案の定、農夫たちはそれを溶かそうともしないでそのままこちらに向かって来ようとするのでこけていく。

そんな状況を息を呑みながら眺めていると、異常回復魔法をかけた農夫たちに変化が起きる。と言っても意識を失って倒れただけだが。


「どうなんだこれ? 効果あったのか?」


「僕に聞かれてもわからないよ。まあ、意識失わせれただけでも良かったんじゃない?」


「それもそうか。じゃあ残りの奴らにも頼む」


「もうないよ」


……え? なんだって?


「もうないって魔法か?」


「そうそう。状態異常を治す魔法なんてそんなに簡単には取得できないよ」


うっ。それもそうか。回復魔法はかなり難易度が高いんだったな。状態異常回復でも同じだろうな。


「でも、残りの人たちも動きを止められたし大丈夫なんじゃないかな?」


「うーん。それもそうか。それならクロノスの応援に向かうか」


そう言ってクロノスの方を見ると、クロノスと岩に叩きつけられていたアドニスがタルポに斬りかかっている。しかしどちらの剣もタルポの腕によって受け止められている。


「刺さらなくても状態異常なら効くかな? プシケ、何か魔法を矢にかけてくれないか?」


「それならばこれがいいね」


そう言ってプシケは俺の矢を取ると、それに向かって呟く。


『ポイズンリスト』


魔法を受けた矢に特に変わった様子はない。そのことについてプシケに聞くと、どうやら効果はきちんとついているようだ。


「よし、取り敢えず打ってみるか」


俺は弓をひきしぼり矢を放つ。同じように矢はタルポに向かってまっすぐ飛んでいく。タルポはそれに気づくと、アドニスの剣を払い、右手でその矢を掴む。


「ふふふふふ。面白いことしてるじゃない……の!」


タルポは握った矢を弾かれてよろけているアドニスの鎧の隙間に突き刺す。


「ぐあぁぁぁぁ!!」


アドニスはそのままその場に倒れこむ。タルポはその様子を見て、こちらを眺めながら明らかに笑っている。


俺はというと狼狽えていた。


「お、おい! あれ大丈夫なのか!?」


「ま、まあ殺す毒じゃなくて痺れされる毒だから死にはしないと思うけど……」


プシケの言葉を聞いて少しだけ安心するが、やはり毒と聞くと嫌な感じがするな。それに状態異常を治す魔法ももうない。さっき農夫に使ったのは明らかに間違いだったかもしれない。


「どうする? 一旦イリスのところまで下がる?」


あ、そう言えばイリスいたな。本当にこういう場面だと陰になるよな。


「そうだなぁ。だけどクロノスだけでいけるのか?」


クロノスの方を見ると、膠着状態に入っていた。クロノスの攻撃が全く入っていないのだ。さらにどうやらタルポの攻撃力はあまり高くないようなので、勝負がつかない。まあ、アドニスはぶっ飛ばされていたし、クロノスも硬いのかもしれないが。


「うーん。取り敢えずは引くか。余計なことして邪魔したらダメだしな」


正直、全く知らない人と連携を取るのは難しいだろうと思い一旦下がる。クロノスも、農夫が居なくなったおかげで戦いやすくはなっただろう。






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