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第28話 種族

フォボスとダイモスを連れて帰った後、俺たちは騎士団長に呼ばれ、騎士団本部に来ていた。(本部と言っても、その街の騎士団の本部ということだが)


「まさか……。本当にやって来てしまうとはな……」


騎士団長は静かに息を飲む。俺たちは騎士達に囲まれて重々しい空気の中、突っ立っていた。

取り囲んでいた兵士の中にはアドニスらしき人もおり、その点だけは安心できることだった。


「しかし、肝心のラムスは逃してしまいました」


俺はテープでも貼ってあるかのように硬い口をなんとか開けて、騎士団長に述べる。


「いや、その点は問題ない。むしろ殺さなくてよかったと思っている」


騎士団長はそういうと、椅子に座った。俺たちもその近くのソファーに座らされ、ごく一部を除いて騎士達は部屋から出ていった。


「どういうことですか?」


イリスが、騎士団長に質問する。イリスはなぜだか、ほとんど緊張していなかった。騎士達がいなくなってくれたおかげで、俺も緊張が解けある程度楽に話すことができるようになった。


「いや、そのラムスの手下である二人から話を聞くに、実行役は大体あの二人で、ラムスが直接手を下すことはなかったそうだ」


騎士団長は目の前に置かれたカップを取ると、一口口に含んだ。


「それが何か問題でもあるのでしょうか?」


「もっと問題なのは奴が人間だったということだろうな。するとこの国の法律が適応されてしまう」


え? 人間? それってどういう意味なんだ?


「それは俺たちと同じ種族ってことですか?」


しっかりと疑問を投げかける。だってやつは明らかに人間以上のことをしていたような……。


「人間の中の突然変異といったらいいんだろうかな。奴は人間の身でありながら魔王軍の手に落ちたのだ。

まあ、実際、魔王軍幹部に魔族のような種族はいないのではないかと言われているんだがな」


ちょちょちょっと待って話がこんがらがって来たぞ。

えと、つまりラムスは魔王軍幹部ではあるが、種族的には人間ってことか。で、魔王軍幹部は魔族ではなく、他の種族で構成されていると。



「ていうか、他の種族っているんですか?今まで見たことないんですけど」


するとプシケが口を挟む。


「居るよ。ただこの国は……」


プシケはそう言いながら口を濁す。騎士団長はそれに付け加えて、話を続ける。


「この世界には様々な種族がいる。エルフ、ドワーフなんてものは居るのはいるだろうな。ただ問題はこの国の政策にある。あまり国に仕えるものとして大きく口には出せないが、一昔前、混乱した国を安定させるために、大規模なエルフ狩りを行なったそうだ」


「な、なんでそんなことを?」


「いわゆる、共通の敵ってやつだ。人間同士で争っていた中でエルフという敵を作ることで、一致団結させたんだ。さらにそのあとは他の種族も狩るぞという雰囲気を醸し出しながら。あとはわかるだろう」


そういうと騎士団長は秘書のような人を呼び出し、カップにおかわりの紅茶を入れてもらっている。

そうか。そんな過去があるから、全然他の種族を見ることがないのか。この国には居ない、居ても山奥や森の中にだけなんだろうな。


「あのヘラトの事件だったこれが原因だからな……」


騎士団長が何かを呟いた気がしたが、よく聞き取れなかった。


「で、そう言えばラムスが人間だからってことと何か関係があるんですか?」


「ん? ああ、そうだったな」


騎士団長はそっちのことはすっかり忘れてしまっていたようだ。こっちが重要なんじゃないのか?


「まあ、早い話、相手がどんな悪人であろうと、人間を殺すことは許されていない。よくて死刑、悪かったら……」


そういって今度は騎士団長が口を濁した。つまり、たとえラムスが魔王軍幹部であろうと、人間なのだから殺してしまうとこちらも罪になるってことか。……危なかった……。


「本当にわけわからない制度だよね。一昔前の王が決めたらしいんだけど、それによって他の種族が出ていかなければならないなんて。わかる? この制度、人間を殺してはいけない。他の種族には言及してないんだよ」


プシケが口を尖らせながらいってくる。なぜプシケがそこまで言ってくるのかはわからないが、確かにこの制度にはかなり違和感がある。まあ、人間中心の国を作るんなら正解かもしれないけど……。


「まあ、暗い話はここくらいにしておこう。このあと、こちらで感謝状や、報酬を払うようになっている。その場で、何か皆で騒げるような場を用意しよう。ハメを外しすぎないように騒げば良い」


そう言って騎士団長は奥の部屋に入ってしまった。俺たちは仲間内で顔を見合わせると、とりあえず、ここからは出て行くことにした。みなさまざまなおもいがあるようだが、今夜は騒ぐのもほどほどにして、しっかり休むようにしよう。なんたって幹部を一人撃破したんだ、誇っても良いだろう。

そうして、俺たちは意気揚々と、会場へ向かうのだった。







ー第1章ー 基本冒険編 終





「うふふふふふ。これで私の操り人形の完成だわ」


そう言いながらその女性は、誰一人いなくなった村を後にした。ラムスの街から30kmほど離れた村のことだった。





ー第2章ー 音ゲー大会編 始






遂に、一章描ききりました! 未だに分量力は上がってないので、読みにくい部分も多々あったと思いますが、とりあえずここまで読んでくださりありがとうございます。


このまま二章に続きますのでこれからもどうかよろしくお願いします。

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