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第2話 ランクカード

俺が連れてこられたのは一軒の建物。すぐ両隣に建物があるため、その建物は狭そうに建っていた。


「ここの地下よ」


そう言ってテュケーは外から降りていくタイプの階段から地下に潜って行く。なんだか怪しいが、取り敢えずついていくしかない。俺はテュケーの後をゆっくりと付いていった。

階段を下りると、ポツンとほとんど何も無い部屋に一人のローブのようなものを頭からかぶった少女が座っていた。


「おかえりなさい……」


「ただいま。何か変わったことはあった?」


「特に……ないですね……」


そのローブの少女はボソボソと返答すると、そのまま黙って何も喋らなくなった。

なんだろうか。取り敢えずあの子についてテュケーに聞いてみるか。


「彼女は?」


するとテュケーはそのローブの少女の元へ向かうと、何やら耳元で囁いている。少しすると、テュケーがこちらに戻ってきた。


「直接彼女に質問する方がいいわ」


テュケーはそう言った。彼女に質問する以前にまだあなたのことすらほとんど知らないんですけどねぇ……。まあいいか。取り敢えず簡単な質問を。


「ええっと。名前は?」


まずは何気ない質問。というかこれを聞かないと何も始まらないからな。すると、ローブの少女は黙ってしばらく考え込む。そしてゆっくりと口を開き、


「ガイア……」


とだけ呟いて、再び黙り込んだ。顔はよく見えなかったが、瞳がエメラルド色をしていて、美しかった。

すると後ろから何やらテュケーが納得したかのように俺たちの方へ近づいてきた。


「ねえ。ガイア。この人にランクカードを作ってくれない?」


「……もしかしてこの人?」


「そうよ。異世界人。ついに見つけたのよ」


その言葉を聞いたガイアはゆっくりと立ち上がり、顔を近づけてくる。かなり近づけてくる。……近すぎない!?

かなり目の前、ほとんどくっついてるんじゃないかと思われるほど近づいてくる。しかし、何故だか顔を確認することはできなかった。ただエメラルドの瞳が美しく輝いているだけだった。


「……できた」


「え!?」


できたってなんだ? もしかしてランクカードのことか? こんなんで本当にできているわけが……。


「できたみたいね。それじゃあ戻ろうか」


「いってらっしゃい……」


「え!? いやいやちょっと待って! 今ので何か変わったのか!?」


するとテュケーは振り返って、静かに指で頭を刺した。


「変わってるわよ。これで問題なし!」


そう言って俺が歩き出す前に、彼女は階段を駆け上っていった。

なんだろうか。テュケーってガイアよりも不思議な感じがするな。

取り敢えず俺はガイアに軽くお辞儀をして、テュケーを追いかけていった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


あの不思議な塔に着くと、入り口のところに後輩の方の騎士が立っていた。どうやら俺たちを待っていたらしい。すると、向こうの騎士も気づいたのか、こちらを鋭く睨みつけている。


「さあ。証明しにいくわよ」


そう言うとテュケーは、俺の腕を引っ張り、その騎士の元へ向かった。


「来たな。それじゃあ証明してもらおうか。そいつにランクカードがあることをな」


「証明も何もただこの人の頭の中を見ればいいじゃない」


「む。それもそうだな。では早速見せてもらおう」


そう言ってその男は俺に顔を近づける。さっきのガイアの時とは大違いだ。何も嬉しくない。


「は?」


さっきと同じような声を上げた。騎士は驚いていた。そして不思議がっていた。


「どう? これで問題ないでしょう?」


テュケーは優しく騎士に語りかける。騎士の方はあまり釈然としていないようだったが、しばらくすると、こちらに話しかけてきた。


「ふむ。確かにランクカードがあった。どういうわけか知らんが、ランクカードがあるのならばこちらとしてどうすることもできまい。さっさと通るがいい」


「だってさ。さあ。いくわよ」


そう言ってテュケーはまたしても俺の腕を引っ張りこの黒い建物の中に連れて入った。


俺たちが向かったのは始めにゲートがあった真ん中の道ではなく、右側の別の道だ。


「なんでこっちなんだ?」


「真ん中の道はカードがあるだけじゃダメなのよ。カードを作ったところであなたのランクは1。あそこを通るにはランク150は要るからね」


「ランク150!? そんなのなかなか行けないんじゃ……」


「でも、そんなに難しくはないと思うわよ。うまい人は10歳くる前に150いくし……」


「うまい人? それってどういう……」


と、次の瞬間目の前に信じられない光景が広がった。

目の前には数多くのゲームの筐体が設置されていたのだ。それらは日本でよく見ていたものであり、まったく同じような形状をしていた。


「嘘だろ!? マジかよ!」


そこにあったのは大量の音ゲー。見える範囲でも100以上はある。


「圧巻でしょう。ここは初心者用だから、500しかないけど、上級者用なら5000は超えるわよ」


「なんてことだ……。この世界でも音ゲーができるなんて」


凄く筐体を見て回りたい。むちゃくちゃうずうずしてるんだが。行ってきていいのだろうか? ……いいよな!

回ることにした。


ふーむ。見て回った感じ、日本にあったものとほとんど同じだな。ただ収録曲は流石に見たこのがないのばっかだな。種類は全部で10種類。ってことは1種類につき50台かな。


「凄いでしょう。こんな光景見たことないんじゃないの?」


そらそうだ。日本で見たのも、最高20台ほどだ。音ゲーがこんなに集まっているのを見たことがない。


「ああ。凄いな……。本当に凄い……」


だが、ここでふと1つの疑問が湧いてきた。


「なあ。ここの音ゲーってなんとためにあるんだ?」


するとテュケーは首をかしげた。


「え? 音ゲーって言ったら、自分のステータスを上げるためにあるんじゃないの?」


「あっ。なるほど。リズム力とか、動体視力とかか。それで普及しているのか」


「何を言っているの? それはリアルなステータスじゃない。ここで言っているのは、体力、魔力、攻撃力、防御力、素早さのステータスのことよ。ほら、音ゲーでランクを上げてステータスを上げるの」


「は? じゃあ、音ゲーをやって、ランクを上げれば、ステータスが上昇するってこと?」


「そうね。だって今のままじゃ、街のすぐ近くのモンスターにすらやられるわよ」


モンスターってことはここはガチで異世界なのか……。あまりに地球とそっくりだから、モンスターなんていないと思ってたんだけどなぁ。


「じゃあ、この世界では、音ゲーをやっていればいいってこと?」


「概ねはそうね。そして上げたステータスで、モンスターを狩ったり、クエストをこなしていったりすればいいのよ」


「なるほどな。で、これはすぐにできるのか?」


正直早くやりたい。日本の音ゲーは大体やり尽くしていたからなぁ。新曲のペースもたかが知れてるし、初見で色々な曲ができるのは本当に嬉しい。


「ランクカードもあるし、多分できるわよ。詳しいことは覚えてないけど」


「じゃあ、俺が最近はまっていた奴に似ている音ゲーでもやるか」


俺は数歩歩いて、ある1つの筐体の目の前に立った。それはシンプルな音ゲーで、上から流れてくるノーツを、下の対応したボタンを押すだけだ。


『welcome!』


「なんだ!? 何も触っていないのに勝手に動き出したぞ!」


すると後ろで笑い声が聞こえる。テュケーだ。どうやら、俺が驚いたことがあまりに可笑しいらしい。

異文化を知らない人を笑うのは良くないと思いまーす。


「頭の中にランクカードがあるから、それに反応して勝手に電源がつくのよ。あとは、出っ張ったところに指を置いたら始められるわ」


俺はなんだか微妙な気持ちになりながらも、テュケーの指示を従うことにした。


俺は指を着ていた服で拭くと、その指をゆっくりて出っ張りの部分まで持って行った

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