第10話 上級者向けコース
ウサギは、どうやらただのウサギらしい。しかし、そのウサギの周辺にはそこそこ凶暴な生き物が住み着いており、ウサギだけを捕らえるのは難しいそうだ。その、ウサギイーターと呼ばれる、ゴリラのような生き物は、その名の通りウサギを食べる……のではなく、ウサギを食べようとする生き物を捉えて食べるらしい。それだとウサギイーターイーターとかになりそうだが、そんなことは気にしない。
ウサギは1匹につき150チューン。そこそこ良い値で売れるらしい。ちなみにウサギイーターは1kgあたり1チューン。クソだな。
ちなみに現在
「あっ! そっちに逃げたわ! 捕まえて!」
「ま、待ってください! こっちも手が離せなくて……」
テュケーとイリスは必死でウサギを追いかけている。現在捕まえたウサギは3匹。合計450チューンだ。一人当たり100チューンで日本円にすると3000円ほどと案外小遣い稼ぎにはいいかもしれないが、すでに4時間。案外ウサギが見つかっていない。時給にすると800円ほど。夜間のバイトと変わらないな。
そう考えると、昨日のリーフドラゴンは14時間ほどで、一人当たり1500チューン。微妙にあっちのほうが効率がいい。まあ実際に戦った時間は1時間もないんだから、そこを考えると破格なのだが。
っと。考え事している場合じゃない。俺ももう1匹くらい捕まえないとな。
「意外に混乱してきたね」
そう言いながらプシケは、ゴリライーター5体ほどを引き連れて、その攻撃を盾で防いでいる。余裕が見られすぎて怖い。
結局6時間で6匹捕まえることに成功した。なんやかんやで、1時間当たりの効率は1000円を超えたので、まあよかったかなと。
ちなみに今日もプシケは最後に発火しました。
そして帰り道。
「そういえばテュケーって今日朝はどこにいたんだ?」
何気ない質問をする。実際にプライバシーとか考えるとこんな質問は不適切かもしれないが、色々してくれたし、普通に気になる。
「え? 上級者向けの方で普通にやってたけど」
「上級者? あ、あの左の方の道の先か」
「そうよ。ランク250で行けるようになるのよ」
ランク250か。その気になれば今日中に行けるか?
えーと。今回得たのが200チューンくらいか。ランク上げに必要なのが3チューンだから60回はできるから、うん今日中に行けるな。
「計算してみたら今日中に行けるみたいだな」
「うん。ごめん。何言ってるのかわからない」
「上級者の方行けるわ。今日中に」
「さ、流石にそれは……。まあカヅキならいけるかもしれないけど……」
と、決まれば早く帰らなきゃな。
俺が早足になると、自然に、パーティ自体も早足になっていった。
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というわけで、あの場所に来た。俺が上級者の方に、行けるようになるまでランク上げると伝えたので、プシケとイリスも来た。彼女らのランクは233と246なので一緒に上級者の方に行けるかもしれない。
ちなみに俺は今は203。
10あるゲームのランクの偏りはほとんどないのでそれぞれランクを5ずつ上げていくことにする。
プシケとイリスはそれぞれ苦手であまり手をつけていなかった音ゲーのランクを上げることにするらしい。
実際、苦手な音ゲーを無理してやるメリットはないらしい。精々ランクぐらいである。フルコンはどのゲームでやってもいいので、自分が得意なものでやるに決まっているからだ。
と、そんな感じで、3人でテュケーに追いつこうと、
ランクを上げ始めた。
多分大体8時間後。
なんとかランクを250まで持っていくことができた。ジャスト250。イリスは272、プシケは261まで持っていっていた。イリスは早めに250は超えたが、上級者向けのコースには行かず、俺たちが達成するのを待っていたようだ。
「意外にいけるもんだね」
プシケが疲れた顔で、肩で息をしながら言ってくる。
「確かにな。結構疲れたが」
「僕はもう手が腕から指先まで動かないよ……」
「私もです……」
そう言って2人は休憩所のようなところのベンチに腰掛けた。
「まあ、今日は遅いし、上級者向けのところは明日行ってみることにするか」
「賛成」
「賛成です」
そう言って、プシケはイリスの2人は腕を下ろしたまま、指でグットサインをした。
「今は3時くらいだから、明日ってか今日だけど、12時くらいでいいか? あんまり早くてもいけないしな」
「ですね」
「お〜け」
そういって2人は立ち上がると、ふらふらと自分の部屋に向かって帰っていった。
俺も少し休んだら部屋に戻ろうかと思っていると、テュケーがやってきた。テュケーはカードを取り出して、こちらに押し付けてくる。
ランク『321』
「おかしいだろ。お前俺に驚いて、それはおかしい」
「意外にいけたのよ。魔の体力譜面ゾーンを突破したら、結構テクニック譜面が続いたのよ。それにやったことのあるような曲も多かったしね」
「……そういうもんなのか?」
「そんなもんなのよ」
いやいやいや。流石に納得がいかなかったが、もう眠気も襲ってきたし、色々とめんどくさかったので、それ以上突っ込まずに、部屋に戻ることにした。