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魔法が使えるんです

ブクマ評価感謝です。

聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。連載中です!

 「……やっぱ来ないよなぁ……」


 確かに自分でも少しやりすぎた感が無いとは言えない。


 冒険者適正すらない俺が、魔法使い、ましてや防御まで出来る魔法使いを募集するなんてさすがに欲を出しすぎた。


 ……一回募集内容変えようかなぁ。


 このまま無駄に時間を浪費しても何もいいことはない。


 「……あ、あの」


 けど、内容を変えるといっても逆に何なら人が来てくれるのだろうか。


 「あのー……」


 「うーん、どうするか……」


 ゴブリンとかなら倒せるけど、それ以外は多分雑魚な俺では倒せないはずだし……。


 でも出来ればやっぱり魔法も見てみたいし……。


 「あのーすみませーん」


 まぁ一回募集用紙を取ってきてそれから考えてみよう。


 「あのー!!」


 「うわっ!?」


 気がつけばいつの間にか俺の机の下に誰かがやってきていたらしい。


 何やらローブみたいなもので身を包んでおり、頭にもフードを被っている。


ただ声から察するに女の人だ、ということだけは辛うじて分かった。


 「あ、すみません。今どくんで」


 きっと俺が何もしないでこの机を占領していたから注意にでも来たのだろう。


 俺はそそくさと荷物を纏めて席を立つ。


 「い、いえ!私はこれを見てここに来たんですっ!!」


 「え?」


その時急に俺の近くにやってきた勢いのせいか、フードが脱げ女の人の素顔が顕になる。


 簡単に言うと―――メチャクチャ美人だった。


 ローブから溢れ出してきたその綺麗な金髪の長髪は、嫌でも俺の目を釘付けにする。


 そしてその顔に劣らないくらい、その表情を創る一つ一つのパーツはまるで精巧な作り物のように整っている。


 「……え?」


 そんな美人の手には、俺が今しがた取りに行こうと思っていたパーティーメンバー募集の用紙が握られていた。






 「つ、つまりウチのパーティーに入りたい、と……?」


 「はい、そうです」


 俺は目の前の美人さんを前に首をかしげる。


 これだけ美人であれば他のパーティーからも引っ張りだこだと思うのだが、どうして俺みたいな雑魚のパーティーの下へやってきたのだろうか。


 「パーティーっていうかまだ俺一人なんですけど……」


 「全然大丈夫ですっ!」


 身を乗り出してくる美人さんに俺は思わず身を引く。


 「まぁ入ってくれるのはこちらとしても嬉しいんだけれど……」


 「本当ですか!?」


 「あ、でも魔法は使えるんですよね?防御魔法とか」


 しかし、入ってくれるのは嬉しいといっても、美人だからといってホイホイ自分のパーティーに入れるわけではない。


 先ほどの受付で美人な人には棘があるということは嫌というほどに学んだのだ。


 俺が何度も落とされた、面接というものを行わなければならない。


 「……防御魔法は、使えません」


 「は?」


 しかし面接は初っ端からくじかれてしまう。


 「……?」


 あれ、俺ってちゃんとメンバー募集用紙に加入条件とか書いたよな?


 ふと不安に思い、俺は机の上の用紙を手に取る。


 【『加入条件』――――――防御のできる魔法使いの方】


 うん、ちゃんと書いてある。


 俺は用紙を机の上に戻しながら、美人さんに目を向ける。


 「あの、これ見ましたか?防御のできる魔法使いの方、ってことで募集したんですけど」


 もしかしたらこの美人さんは用紙の間違いなどをしているのではないだろうか。


 それならばこんな美人がパーティーとも呼べない弱小パーティーに来たことも納得できる。


 「……ぼ、防御魔法は使えませんが防御ならできます!」


 「……は?」


 一体この美人さんは何を言っているのだろうか。


 防御魔法は使えないけど防御はできる、とはつまりあれか?


 肉体的な防御、とか言うつもりなのかな?


 俺はそんな美人さんに苦笑いを浮かべながら尋ねてみる。


 「つまりどういうことですか?」


 もしこれでちゃんとした防御の方法があるのであればパーティーに入れることもやぶさかではない。


 既に俺自身がお荷物なのだから、そんな俺を支えてくれるパーティーメンバーじゃないとこれからやっていけない可能性が高い。


 自分自身でも高望みしすぎているのはわかるが、初めての異世界なのだからこれも仕方ないと思って欲しい。


 「……私、攻撃魔法が使えるんです」



 「……は?」


 しかし目の前の美人さんからは更に意味不明な答えが返って来た。


 防御の話をしているのに、どうして攻撃魔法の話などにいくのだろう。


 ……これはダメだな。


 美人さんには申し訳ないけど今回は縁がなかったということだ。


 俺は不採用ということを告げるために美人さんの顔に目を向ける。


 するとどうやら向こうも俺のことを見ていたらしく、目が合う。


 「…………」


 やはり不採用というのは気まずいものがある。


 しかしこれも生活のため、強いては生きるためだ。


 美人さんを手放すのは勿体ないけど、背に腹はかえられないだろう。


 俺はちゃんと不採用を告げる決意をして、再度美人さんに目を向ける。






 ―――攻撃こそ最大の防御、って言いますよね?





 その時、そんな澄んだ声が俺たち二人の間に響き渡った。


 …………。


 その考えは無かったよ、うん!



 


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