初めての異世界補正
ブクマ評価ありがとうございますm(_ _)m
更新頑張りますのでよろしくお願いしますっ!
あ、聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。という作品も連載中ですので一読頂けたら幸いです!
モグモグもぐもぐ。
俺は口に木の実を含みながら草原を歩いている。
もちろん、人里を探すためだ。
「……飽きた」
しかし実はここにくるまで既に数日をかけている。
一体この景色はどこまで続くのだろうか、と思うとどうしてもうんざりしてしまう。
事前に用意していた木の実は既に底を尽きそうな勢いで、この食料の問題もどうにか解決しないといけないのだ。
「……あ」
そんなことを考えているとふと視界の隅で何やら動いた。
すぐに身を屈めて、危険な相手ではないかということを確認する。
「って雑魚かよ……」
俺の視線の先に居たのは、人間の子供くらいの身長しかない子鬼。
実は今までにも数回、俺はゴブリンと遭遇したことがある。
当然初めて見るスライム以外のモンスターに最初は緊張していたが、近くにあった小石を適当に投げてみるとゴブリンの小さな身体は弾け飛んだ。
そのことから考えてみると、何の力も持っていないはずの俺が投げた小石でそのようなことになってしまうとは、このゴブリンというものはとてつもない雑魚ということなのだろう。
最早慣れた手つきで、俺は小石を投げつける。
別に何か運動をしていたわけではない俺のへなちょこレーザービームがゴブリンに飛んでいく。
バーーーッッン!!
しかしやはりあまりそう言ったグロいところは見たくないので俺はその瞬間は見ないようにしている。
ただその恐らくゴブリンが弾け飛んでいるのだろう音が俺の耳に聞こえてきた。
「……うわぁ……」
その音を聞いてからゆっくりと目を開けてみると、やはりそこにはゴブリンの血が飛び散っている。
俺もこの光景を最初に見たときはやはり嘔吐感がこみあげてきたが今では少しの嫌悪感ぐらいで済んでいるのでは無いだろうか。
「……まぁ、先行こ」
しかし飛び散ったゴブリンをどうすることも俺には出来ないので、しょうがなく放置してそのまま先に向かうことにした。
何か身体を飛び散らせないようなやり方があれば一応の肉は確認できるのかもしれないが……。
まぁ食べるかは別として。
「も、もしかしてあれって、街か……?」
僅かにだが遠くに門のような物が見える。
もし本当に門であるならば、きっと中には人がたくさんいるはずだ。
「……あ、でもそういえば……」
―――異世界で日本語って通じるのだろうか。
俺はそのことに今更になって気がついた。
ここまでやって来といてアレだが、もし通じなかったら本当に詰みだ。
その時は一生、あの木の実がたくさん落ちてくる森の中で生活していかなければいけない可能性だってもちろんある。
「……ま、どちらにせよ一回は行ってみないと分かんないよな」
結局、その結論に達した俺は期待を胸に、門へと脚を運ぶのだった。
「よっしゃあああああああ!!!」
門の近くでの突然の俺の叫び声に、通行人はおかしなものでもみるような目をこちらに向けてくる。
しかしそんなことどうでもいい。
近くにきて、通行人たちの会話を聞いてわかった。
――――――言葉が分かる、ということに。
正直なところどういうシステムかは分からないが、何やら話している言葉は日本語ではないのにどうしてか言葉の意味がわかるのだ。
異世界にやって来て、初めての異世界補正というものをようやく実感できたことに俺は一人喜びの声を上げていたわけである。
「おい、大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫ですすみません」
しかし流石に大声を上げすぎたのか、門番から声をかけられてしまった。
謝りながら門番の人を見てみるが、屈強そうな身体には鉄の鎧を纏い、俺がどれだけ束になっても敵いそうにない。
これは大人しくしていた方がよさそうだ。
「何か身分証明なんかできるものはあるか?」
だが時既に遅かったようで、叫んでいたせいで所謂職務質問というものをされてしまった。
これはもしかしなくても、このまま身分証明できるものがなければ門を通ることができないとかそういう話だろうか。
ここまで来たのにそれはさすがに非道い。
「……じ、実はここに来る途中に色んな物を盗賊の方に盗まれてしまって……」
苦し紛れに俺は目を逸らしながら有りもしないことをうそぶく。
しかし自分で言うのもあれだが、恐らくこんなのでは誰が見ても嘘だと一発でわかってしまうだろう。
「……うぅ……っ……それは大変だったんだなぁ……うぅ……っ」
「…………」
……ちょろい。
門番がこんなにちょろくていいのかっていうくらいちょろいぞ?
ま、まぁどうやら信じてくれたようなので.ひとまずは良しとしよう。
これならもっとそれらしいことを言っても大丈夫かもしれない。
「……実はその時に頭をうってしまったらしくて、記憶が曖昧なんですよ。できればこの街のルールとかあれば教えてくれませんか……?」
さすがにこれは厳しいだろうか、と思いつつ上目遣いで聞いてみる。
「……っ……うぅ……なんでも教えてやるから……安心してくれっ……うぅ」
ちょろい!!!
こんな明らかな嘘を信じてくれるなんて、申し訳ないが馬鹿以外の何者でもなさそうだ。
ただ、良い人は確かに良い人なんだけど、この人が門番だと考えるとどうにも街のことが心配になってきたが、それは内緒。




