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お待たせしました、お姫様

ブクマ評価感謝ですm(_ _)m

あと二話くらいで終わろうかと考えていますのでお付き合いいただけたら幸いです。


 あぁ…………


 身体が痛い…………





 今、自分がどうなっているのかが分からない。


 どうしてこんなことになったのかさえも曖昧になりつつある。


 あれはそう、いきなり街の方から警報が聞こえてきた時。


 俺はドラゴンがいるのかと、ふと空を見上げたのだ。


 そしたらそこには木の葉の隙間からこちらを見下ろしてきているドラゴンがいた。


 そして何をするでもなく、俺はドラゴンのその長い尻尾によって空に投げ飛ばされたのだ。





 きっとステータスが上がっていなければ、この時点で死んでいたはずだろう。


 耐久力が上がっているはずの今でも、冗談ではなく痛い。


 その痛みは、本当に腕や足がつながっているのかと疑ってしまうほどだ。


 「はぁ……っ……」


 少し辺りを見回してみれば、先程までいたはずの森は遥か遠くにあって、自分がとんでもない程の距離を飛ばされたのだと実感することができた。


 これだけを飛ばされても死なずに済むとは、さすが異世界だ。


 「なぁ、いきなりドラゴンとかびびる、よ、な、……ぁ?」


 そこで俺は気づいてしまった。


 何時も隣で笑っているララ、そして生意気な幼女のリリカが―――いないことに。


 「…………は」


 どうして二人はいないのだろうか。


 あの時俺たちは一緒にいたはずで…………。


 ……もしかして、まだ二人はあの森の中でドラゴンと共にいるのではないか?


 「た、助けに行かなきゃ……」


 立ち上がるのもやっとな状態で、俺はただそう呟く。


 しかし頭ではそう思っていても、腕が、足が、動いてくれない。






 ナンでタスけにイこうとしてるんだ?





 「…………え?」


 その時、頭の中で誰かの声が響いた。




 どうしてジブンのイノチをキケンにサラすことがあるんだ?





 その声は、初めて聞くはずなのに、どこか聞いたことのあるような声色でそんなことを言ってきた。





 「…………大丈夫?」





 そして頭の上からはそんな声も聞こえてきた。





 「……どうしてこんなところにいるの?」





 「森に、二人を、助けに行かないと……っ!」


 俺は必死に地面を這い蹲りながら、ゆっくりと進む。





 「…………そういうこと」





 頭の上からは納得したような聞き覚えのある声が依然として聞こえてくる。


 しかしこの声の主なら、冒険者のトップを争う腕の持ち主ならば、二人を助けに行ってくれるかもしれない。


 「ふ……二人を、助け、に……」


 俺は、腕や脚の痛みを我慢して声の主にそう伝える。





 「……それは無理」





 しかし無情にも頭の上からの声はそう告げてきた。


 確かに、複数での討伐経験があるとは言っていたが、さすがに一人でドラゴンを相手にするのは無謀なことなのだろうか。


 「……」


 確かに自分の命が一番大切だ。


 人の為に使うなんて馬鹿なのかもしれない。


 だから、俺は再び森へと(、、、、、)身体を向けた《、、、、、、》。


 「……っ」


 後ろから驚いたような小さな声が聞こえてくるが、そんなの構っていられない。


 「……待って、どうして森に行こうとするの?……君言ってたよね。冒険者になったのは生きるためだって」


 あぁ、そういえばそんなこと言った気がするなぁ。


 あの串焼きをおごってあげた昨晩のことか。


 「……生きるために冒険者になったのなら―――」






 フタリのことはミスててもイいじゃないか。


 「二人のことは諦めるべきだよ」





 頭の中で響く誰かの声と、俺を心配してくれるシエルの声が重なる。


 「ッッッ!!!!!」


 その時、目蓋に火花が弾け飛んだ。


 その時、俺の中で何かが弾け飛んだ。




 腕が痛い?


 足が痛い?


 だから何だ。


 今、俺がしないといけないことは何だ?


 今、俺にしかできないことは何だ?


 今、俺にしかできないことがあるのに、どうして悠長に寝ていられるんだッ!?


 今、立ち上がらなくて何時立ち上がるというんだッ!?





 「あああぁあぁあああああああああっっっ!!!」


 そして俺は―――立ち上がった。


 「……っ。……君に行かせるわけにはいかないよ。……立ち上がるだけでも精一杯なのに森までいくなんて無謀なことだよ」


 「……ハッ!!」


 立ち上がるだけで精一杯なんて誰が決めた?


 少なくとも俺はそんなこと決めていない。


 「……それでも行くって言うなら力ずくで止めるしかないけど」


 「…………」


 あぁ、こんなことをしている暇なんてないのに。


 どうして目の前のコイツはこんなに邪魔をしてくるんだ。


 俺は一刻も早く二人の下へ行かなければならないというのに。


 あぁ、目の前の(コイツ)が目障りだ。


 「どけ(、、)


 「……っ!」


 俺は、睨んだ。


 ただ睨みつけた。


 シエルは俺の気持ちを察してくれたのかどうかは分からないけれど、俺の前から飛び退いてくれた。


 そして邪魔する者もなくなった俺は、今出せる全力の速さで森へと向かった。





 リリカside




 「はぁ……私たちもここまでのようですね」


 私は目の前でこちらを見下ろしてくるドラゴンを見上げながらそう呟いた。


 今まで戦ったことがなければ見たことすらないような相手、ドラゴン。


 御伽話に出てくるような存在が今目の前にいる。


 ただそれだけで身体は思うように動かなくなって、足は震えてしまう。


 「……ははっ……」


 口から乾いた笑い声が溢れる。


 ラクはドラゴンの攻撃を最初に受けて遥か遠くまで飛ばされてしまった。


 あれは実は私が受けるはずだった攻撃をラクがかばってくれたのだ。


 恐らくあの攻撃を受けては希望は捨てたほうがいいのかもしれない。


 そして庇ってくれたラクにも悪いが、今私の命の灯火も消えかかっている。


 ララさんはドラゴンの翼による風に煽られて、木にぶつかり気絶してしまった。


 そして私は、辛うじて攻撃を一発受けられたら御の字で、それ以降はほとんど希望はない。


 「っ!!」


 そんなことを考えていると、目にも止まらない速さでドラゴンの尻尾が眼前に迫っていた。


 当然よけられるはずもなく、私は後ろに飛ばされる。


 「……ぐぅっ!!」


 予想よりも遥かに重いその一撃。


 私の目蓋は次第に重くなってきていた。


 ダメだ、ここで目をつむったら一巻の終わりだ。


 頭ではそう分かっていても身体がついてこない。


 これは、もうダメだなぁ……


 空中で飛ばされ、目蓋も重くなっている中でただ認めた。


 ここが自分の死地なのだと。


 もうすぐ襲ってくる地面にぶつかる衝撃は私の意識を飛ばしてしまうのだろう。


 もしかしたらその前にも意識が飛んでしまうかもしれない。


 「あぁ……もっと色々……やり残したことがあったのになぁ……」





 「やり残したことがあるなら、やってしまえばいいだけの話だろ?」





 「……ぇ?」


 私が次に感じたのは、地面にぶつかる衝撃ではなく、まるで包み込まれるような温もりだった。


 「……ど、どうして」





 「お待たせしました、お姫様」





 困惑する私に、そんなどこかの騎士みたいな声をかけてきたのは、どこか苦笑いを浮かべているラク、その人だった。


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