異世界で楽しまないのは損である
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聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。連載中です!!
「おいお前、男が女の子二人働かせて恥ずかしくないのかぁ?」
「……あ、俺?」
それはリリカがクエスト受注の手続きを行っていたときのことだった。
突然かけられた男の声に、振り向くとどうやら俺のことを言っていたらしい。
「お前に決まってんだろぉがぁ!?」
「はいはい分かったからうるさい」
本当、なんでこんなに大きな声がでるのか不思議なほどの大きな声がギルド内に響く。
声のせいで、ギルドの中にいた人の注目も集めてしまったではないか。
隣にいたララはその声に委縮してしまっているし、受付に受注しに行ったリリカも何事かと戻ってきてしまった。
「どうしたんですか、何ですか?」
「あぁ、何かよくわからないんだよそれが」
本当一体どうしたんだろうか。
「だからお前がこの女の子たちだけに働かせるのが許せねぇって言ってんだよ!!」
冒険者の男は俺の反応にさらにその声を大きくする。
あぁマジうるさい。
「……で?俺にどうしろと?」
何か言いたいことがあるなら早く要件を言ってほしいのだが。
「お前も女の子と一緒に戦え!もしくはそれが嫌ならパーティーを解散しろ!!」
「……って言われてもなぁ……」
そんなことを言われても俺の実力じゃ二人が付いてこれないし、かと言って本当のことを話すわけにもいかない。
「俺、冒険者適正もないような雑魚だぞ?」
その言葉にギルドの中の空気が凍った。
パーティー加入の際に説明したララとリリカだけがその中で平然としている。
あ、確かそういえばあの時受付の女の人も初めてとか言っていた気がする。
マズったかな……。
まぁ言ってしまったことは仕方がない。
「なら冒険者やめろよっ!!??」
冒険者のその言葉は確かにごもっともだがそれではダメなのだ。
「だって生活費稼がないといけないし」
そう、俺には異世界での生活が懸かっているのだ。
ドラゴンのところで沢山のお金は手に入れたがそれが何時まで持つかは分からないし、誰かに盗られでもしたら一巻の終わりである。
「だからって女の子二人に迷惑かけるぐらいなら、一人でやれよ!!」
…………。
「確かに、その発想は無かった」
「「えぇ!?」」
隣から驚きの声が聞こえてきたような気がするが、今考えてみれば普通に一人で色々としていたほうがやり易いのではないか?
最初は自分の安全のためにパーティーメンバーを探していた訳で……。
そして実はそんなのが必要ないと分かった今、果たして本当にパーティーメンバーはいるのだろうか。
「解散するか!」
どう考えてみてもそちらの方がいい。
「「えぇぇーーっ!!??」」
「あ、あぁそれなら良いんだよ」
男も突然の俺のその言葉にどうやら驚いているらしい。
俺自身かなり驚いている。
「あ、でもそういえば一か月は解散できないんだった……」
まだパーティーを組んで数日しか経っていない。
パーティーの解散が出来る一か月はまだ先だ。
「一か月経ったら解散だな」
うん、それが俺にとっても一番良い選択である。
「まぁそれまでは大目に見てくれると助かる」
「あ、あぁ一か月だな。ま、まぁそれくらいなら大目に見てやる」
「おう、助かる」
それから少しだけ話をした冒険者は、どこか浮かない顔をしながら俺たちから離れていった。
「……あ、クエスト行くか?」
ようやく冒険者もいなくなり、静かになったので俺は隣に立っている二人に聞いてみる。
「……あ、はい……」
「?」
どうしてか難しい顔をしている二人だったが、少しして俺たちは何時ものようにオーク討伐に向かったのだった。
「あ、あの……」
「ん、何?」
街の外を歩いていると、隣を歩いているララから声をかけられた。
「さっきのって、本気ですか……?」
「さっきの、って?」
ギルドで言っていたやつのことだろうか。
「あの、その……パーティー解散するって」
「あー」
やはりギルドでのことらしい。
「冗談に決まってんじゃん」
「……え」
俺の言葉に、ララだけでなくリリカでさえ驚いた顔を浮かべている。
「あの冒険者がうるさかったから早くどっか行ってもらおうと思って嘘ついただけだよ」
もちろんそんな訳がない。
俺はあの時本当に一か月が経ったら解散しようと思っていた。
今ではそんなこと微塵も考えてないけど。
「そ、そうだったんですね……安心しました……」
「本当です、吐いても良い嘘とダメな嘘の見分けぐらいちゃんとしてください」
「え、あ、ハイ、気を付けます……」
ふん、とそっぽを向くリリカと、良かったです……とため息を吐くララに俺は自分の選択が間違っていなかったのだと安心できた。
因みにどうして俺が自分の考えを改めたかというと、それはララとリリカの存在が大きい。
否、ララとリリカというよりも、美少女といった方がいいかもしれない。
一度きりの異世界ライフ。
異世界を楽しまないのは損であると、俺は思っている。
それなのにどうして一人で冒険者をやっていこうとなど愚かなことを考えたのだろうか。
可愛い女の子たちとキャッキャウフフしながらの方が断然良いに決まってる。
つまりはそういう訳だ。
俺は女の子とキャッキャウフフしたいのだよ!!
だからこれからもしばらくは、それぞれのメンバーにポンコツなところが一つはあるような、こんなパーティーで頑張っていきたい。




