ごめんよスラチン
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聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。連載中です!
是非ご一読ください!!
「よし、寝たよな……?」
先日と同じく、二人が眠っているのを確認した俺は、音を立てないように宿屋をでた。
宿屋を出てまず向かうのは服屋。
今思えば俺はこれまでずっと異世界の時に来たときの学校の制服のままだ。
どうしてこれで不思議がられなかったのかが謎だが、まぁ確かに異世界の人たちは個性的なファッションの人も多かったからな。
そのおかげかもしれない。
「……あ、あった……」
夜遅いこともあり、中々に開いている服屋を探すのが大変だった。
何とか見つけた俺は、さっそく服屋に入る。
「あ、こんばんは」
「はい、こんばんわぁ……」
ドアを開けた先のすぐ隣で恐らく店員さんだろう年老いた女のひとが居たので少しだけ驚いてしまった。
「すみません、適当に顔とかも隠せるフード付きのマントとかってありますか?」
店員さんがいるならわざわざ探すよりも聞いた方が早い。
「あるよぅ……」
店員さんはそう返事すると、そそくさと店の奥に入っていく。
「……お?」
待っている間に適当に店の中を見ていると興味深いものを見つけた。
それは猫のお面だ。
異世界に猫がいるかは分からないので、これが猫かも不明なところなのだが、まぁ俺からしてみれば猫に見える。
これは顔を隠すのにもちょうど良いかもしれない。
「よし、っと」
これも勘定の時に一緒に買おう。
手の中に握られているお面を見ながら俺はそう考えていた。
「これでどうかえぇ?」
「あ、それで大丈夫です」
店員さんが持ってきてくれたのは、茶色のフード付きマントで、俺はすぐにそれに決める。
「あ、これもお願いします」
結局、二つ合わせてもそんなに高くなかった。
大体オーク一体分ぐらいの報酬分くらいじゃなかろうか。
「ありがとうございました、また来ますね」
「はい、ありがとうございましたぁ……」
目的の物も買えた俺は、ホクホク顔でギルドへと向かった。
「これをお願いします」
「はい、承りました……っ!?」
受付の驚いている顔をみて俺は内心シメシメとほくそ笑む。
俺は今、変装をしている。
身体は茶色のマントに身を包み、フードを被っている。
そしてダメ押しはこのお面だ。
少し視野が狭くなるのは難点かな、と思ったりもしていたが、付けてみると案外そんなことはなく付けていない時とさほど変わらない。
これならば逆にステータスプレートを出す方が不自然だし、中身が俺であるとバレる心配も少ないだろう。
「……っ……」
ふふふ、慌てている。
あ、因みに今俺の受付をしてもらっているのは、最初俺を散々笑いやがった女だ。
慌てている姿を見ると、これで少しは鬱憤も解れた気がする。
まぁまだ止める気はないけどな!!
「は、はい、完了いたしました。クエスト完了には討伐部位が必要になってくるのでお願いします。お、オークであれば右耳ですので……」
「あぁ」
そして俺は念のためにも、口数は減らし、話すときも意図して声色を変えている。
若干渋い声にしてみたのだがどうだろう。
「……また来る」
そして最後に俺は、女のストレスを増幅させるため、ここにまたやってくると告げてその場から離れたのだった。
「ごめんよスラチン」
街の外までやってきた俺は、マントの下からスラチンを取り出す。
本来であれば、今日のパーティーでクエストを受けたときに紹介する予定だったのだが、すっかり忘れていた。
そのせいか、若干スラチンの機嫌も悪そうにみえる。
「ごめんよーっ!」
しかし頬ずりしながらそう謝ると、スラチンも俺に頬ずりし返してくれた。
スラチンのご機嫌取りも成功した俺は、視線を前にむける。
すると今日はオークが三体もいるではないか。
パーティーでこんなのに遭遇したら逃げ一択だが、生憎と今は俺一人だ。
逃げる意味が分からない。
「……よしっと」
今日のクエストはオーク討伐だ。
その数制限は、決められていない。
つまりどれだけたくさん倒しても無問題ということだ。
しかも倒したら倒しただけ報酬も増えて俺もうれしい。
俺は適当に数個の小石を拾い上げる。
ノッシノッシと足音を響かせながらオークが近づいてくるのを見つめる。
「……フンッ……!」
そして俺は石を投げた。
一回、二回、そして三回。
そのすぐ後には、何かが破裂したような音が耳に入る。
俺はオークの生死を確認することなく、音のした方へと向かったのだった。
「倒してきた分です」
「あ、はいぃっ!?」
あはは、驚いてる驚いてる。
俺は受付のテーブルにオークの討伐部位である耳を置く。
その数、十。
気持ち悪いオークの耳がテーブルにのっかているのを見ると、やりすぎたかなぁという思いになる。
というか、小石を投げつけたあと、バラバラになったオークの右耳を探すのが一番大変だった。
「……じ、十ですね。今報酬を持ってくるので」
受付の女は、少しだけ気持ち悪そうにオークの耳を数えると、報酬を取りにギルドの奥へと戻っていく。
「……」
それからすぐに戻ってきた受付から報酬のお金をもらった俺はギルドを出た。
それから人気の少ない路地裏で黒マントとお面を魔法の袋になおす。
そして俺は、明るくなってきた空を見上げながら、今日も串焼きでいいか、と一人呟くのだった。




