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石を投げつけるだけで倒しちゃうよ

ブクマ評価感謝ですm(__)m

タイトル変更しました(旧題:落下物にお気を付けください)



 「じゃあ今日もオークでいいよな」


 俺たちは今、ギルドのクエストボードの前にいる。


 どうやら報酬なども鑑みた結果、オーク討伐のクエストが一番効率も良いのだ。


 リリカたち曰く、どうやらレベル上げにも適しているとかで、俺たちはこの前と同じくオーク当別のクエストを受けることになった。


 「じゃあこれでお願いしますです」


 何時のものごとく、俺ではなくリリカがクエストを受注してから、俺たちは先日オークと戦った場所へと足を運ぶのだった。






 「あ、オークだなあれ」


 視界の隅にだが、僅かに何かが動く影を見つけた。


 少し近づくとそれがオークであることが分かり、俺以外の二人が警戒態勢をとる。


 俺はというと、正直全く緊張もしていない。


 だって、小石を投げつければ倒せるような相手なのだから。


 「……」


 しかしあえてそれを言うつもりもないし、手助けをしようとも思わない。


 確かめたわけではないが、恐らく二人は貴族。


 貴族のお嬢様たちが冒険者をやるなどまず何か訳でもなければ、あり得ないだろう。


 もしそこで俺が実はある程度の実力を持っていることがバレたりしたら、何か貴族のいざこざに巻き込まれる可能性だってあるかもしれない。


 二人とパーティーメンバーになってまだ日は浅い。


 その中で二人が信頼に値する人物であるかはまだ見極められているはずもなく、自分の秘密を話すわけにはいかなかった。


 それにリリカによると、レベルの上がり方はどれだけその戦闘において貢献したか、に依存しているらしいということも聞いた。


 だから俺が適当に石を投げつけてクエストを完了させたら、確かに報酬は入るかもしれないが、二人の経験値としてはならないようだ。


 俺が手を出さないのはそういう理由も含まれていると思ってくれたらいい。


 まぁ、二人に話さない一番の理由はただ自分自身の気持ちがちゃんと整理できていないからなんだけど……。





 「ほら来ましたよ、貴方は離れていてください」


 リリカが俺に離れた場所へ移動するように言ってくる。


 二人には、俺は貧弱な男として思われているのだろう。


 事実、冒険者適正がないということが、二人の俺に対する考えを助長している。


 「りょうかーい」


 俺にとってはそう思ってくれていた方が、今は好都合なので二人の戦闘を見学することにした。


 「……」


 今回は前回の失敗も踏まえて、ララはオークがまだ二人に気付く前に詠唱を始めている。


 そしてリリカはというと、ララの詠唱が始まったことを確認して自分はオークを引きつけ始めた。


 「はぁ……」


 ……石投げつけたい。


 もちろん二人のレベル上げの為にもそんなことはやってはいけないんだが、何だかこう、本当は雑魚な敵にこんなに時間かけているのはもどかしいものがある。


 しかしこの石投げつけたい衝動は、これからこのクエストをやるにあたってどうにかしなければならない。


 途中で我慢できなくなってしまったら全てパーである。


 二人に俺の秘密を話してもいい、と思った後ならばまだ良いが、その前はさすがにダメだ。


 「……あとでまた一人で来よ」


 そしてたくさんストレスというかこの石投げつけたい衝動を発散させてもらおう。


 俺は二人の遅い決着が付くまで、そんなことを考えていたのだった。





 「例えばさー」


 今、俺は気絶したララを背負いながら、ギルドへと向かっている。


 そこで俺は気になっていたことを、隣をちょこちょこ歩いているリリカに聞いてみることにした。


 「オークを石を投げつけるだけで倒しちゃうような冒険者っているのかな」


 つまり端的に言ってしまえば、俺は自分の強さがどのレベルなのかを知りたかった。


 「うー…ん、そうですね。そんなことが出来るのは冒険者でも上位……いやもしかしたらその中でも一握りの人しかできないじゃないですか?たぶんですけど」


 「へ、へぇ……」


 それなら俺は少なくとも冒険者の上位程の実力はあるのか。


 「でもいきなりそんなこと聞いてきてどうしたんですか?冒険者にもなれなかった人が」


 「い、いや少し気になっただけだよ」


 本当なんで俺は冒険者適正がなかったのだろう。


 異世界人だからか?


 「まぁどうでも良いですけど、ギルドに着きましたよ」


 「へ?」


 顔を上げると本当に冒険者ギルドの建物があった。


 どうやら、あれこれと考えている内にここまでやってきていたらしい。


 「じゃあ私はクエスト完了の手続きをしてくるので、待っていてくださいね」


 「了解」


 受付に向かうリリカを見送った俺は、クエストボードの方へと足を向ける。


 何か良さそうな奴はないだろうか。


 俺のようにステータスプレートが無くても、クエストは受けられる。


 もちろんそれなりに手続きが面倒になったりはするが、実は他に自分の身元を隠したい人なんかも、ステータスプレートは使わないことがあるらしい。


 それならば、俺でも一人で夜にクエストを受けて、お金を稼ぐことも出来る。


 まぁしばらくはオークに石を投げようかなぁ、と思ってはいるが、他に何か面白そうなものがないか見ているのだ。


 「あ、そろそろか」


 少し長く見すぎていたようで、そろそろリリカもクエスト完了の手続きが終わりそうだ。


 俺はクエストボードに名残惜しさを感じながらも、また夜にでもこっそり見に来ようと、一人考えていたのだった。


 


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