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ただのチン

ブクマ評価感謝ですm(__)m

タイトル変更しましたのでよろしくお願いします。

 「……うわぁ、これどうしよう……」


 実験も終わって俺は宿屋への帰路につこうとしている。


 しかしその時ようやく自分の現状を把握した。


 俺の髪や衣服には、おそらくオークと戦った時のだろう返り血がべっとりと付いており、このままでは街に入れるかどうかさえ怪しい。


 「……うーんどうしたものか」


 歩いたところには血が滴りおちるだろうし、宿屋を汚したりしてお金を請求されたりしたらもったいない。


 「……うーん……ってうぉ!?」


 俺がこれからどうしようかと悩んでいたその時、何か柔らかいものがいきなり頭の上に振ってきた。


 俺はその感触に驚きながらも、どこかそれに触り慣れたような感触を覚える。


 「……やっぱり」


 頭からおろしてみるとやはり、そこには一匹のスライムがいた。


 俺に擦り寄ってくる様子を見ると、恐らく俺が森で遊んでいたスライムなのかもしれない。


 そんなことはあり得ないと思うかもしれないが、ここは異世界だからあり得ないってことが逆にあり得ないのではないだろうか。


 「……ん、どうした?」


 するとスライムは俺の腕から身体を這うようにして動きだした。


 「……おぉ!」


 するとどうしたことか。


 返り血で汚れていた服などが全て綺麗になった。


 まるでスライムに洗い落とされたかのような感じだ。


 「……お前可愛いな」


 俺が森にいたころのスライムだという証拠は何もないが、俺はこのスライムを森にいたスライムだと思っている。


 そう考えると、わざわざどうにかして俺のところまでやってきて、さらには汚れまで落としてくれたこのスライムが何だか可愛く見え始めた。


 「……よし、綺麗になった」


 少しの間じっとしていると、スライムが隅々まで綺麗にしてくれて、オークと戦い始める前以上のものとなった。


 「うーん、飼うなら名前がいるよな」


 今までの働きや可愛さから、このスライムをペットとして飼うことは俺の中で既に決まっている。


 「やっぱ簡単にスラチンでいいか」


 最後のチンは何だと思われる可能性が高いが、ただのチンだから気にしないでほしい。


 そっちのほうが呼びやすいと思ったからつけただけだ。


 「よしスラチン、帰るか」


 そして心身共に綺麗になった俺たちは、街への帰路についたのだった。







 「けどすんなり入れて良かったなぁ」


 正直、モンスターは街の中に連れ込んだりしたらダメだと言われたらどうしようか悩んでいたけど、どうやらスライムは戦闘能力もないので愛玩動物として飼われることも結構あるらしい。


 そう説明してくれた門番さんも、俺の腕の中で大人しくしているスラチンを撫でたそうもしていた。


 「……あ、やべっ!」


 そこで俺は既に日が昇って、周りが明るくなっていることに気が付いた。


 これでは既に二人が起きてしまっているかもしれない。


 そうなるとまた何か説明とかを求められるだろうし、やはり面倒だ。


 「……あ」


 その時俺の目には偶然にもイイモノが映りこんでいた。





 「ただいまぁ……」


 「遅いです、何をしていたんですか?」


 「本当ですよっ?心配したんですから!」


 案の定というべきか、宿屋に帰った俺を、頬を膨らませるリリカと怒ってますアピールをしているけどそんなに怖くないララが待ち受けていた。


 「ち、ちょっと外に出てただけだよ」


 因みにこのときスラチンは服の中に隠れてもらっている。


 今出したら俺が街の外に行っていたことがばれてしまうかもしれないからだ。


 だからスラチンには今度街の外に行く時まで大人しくしてもらおう。


 「外ってどこですか、ギルドとかですか」


 そしてやはりというべきか、リリカは中々食い下がらない。


 しかしここは一旦それは無視させてもらう。


 「実は……朝飯を買ってきてたんだ」


 そういいながら俺は、先ほど偶然見つけた屋台で売られていた串焼きを差し出した。


 朝から串焼きは少しきついかもしれないが、俺は今まで少しは動いていたし、二人も今のキラキラした目を見ると、買ってきたのは間違いではなかったようだ。


 「……まぁ俺の分だけなんだけどな?」


 本当は一人二本ずつ買ってきたのだが、二人をみていると少しいたずらしてみたくなった。


 「なっ!?」


 「っ!?」


 俺の思った通り、二人はハッとした表情になったかと思うと俺を恨めしそうに睨んでくる。


 「まぁ二本はあるから一本はどっちか食べていいよ?」


 そしてここでさらにもう一つの爆弾を投げ込む。


 「こんな育ち切ったララさんよりどう考えても育ち盛りの私がそれを食べるべきでしょう」


 「なっ!?昨日オークを倒したの私ですよ!?」


 「それを言うなら私だって貴方の長い詠唱の間、オークの攻撃を引きつけてたんですからお相子です」


 やはり食べ物は譲れないのか、二人とも白熱したバトルを繰り広げている。


 俺は背中の後ろにあるもう片方に握られた串焼きをいつ出そうか、悩んでいた。


 正直こんなことはせず最初から大人しく渡しておけば良かったと少し後悔している。


 「……っていうか一番働いていない貴方が食べなければいいんですよ、そうですよ!」


 「っ!確かに!私もそう思います!」


 すると、いつの間にか矛先が俺に向いてきており、俺の手に握られている串焼きを奪おうと二人で詰め寄ってきた。


 「ちょっ!?」


 まさかそんな展開になるとは思っていなかった俺は慌てる。


 「あ、あるから!ちゃんと皆の分買ってあるから!」


 慌ててそういうと、俺に触れる少し手前で二人の動きが止まった。


 俺はほう…と安心のため息を吐きながら、後ろに隠しておいた串焼きを差し出す。


 「ほら、ちゃんとあるだろ?」


 俺は数を数えさせるために、リリカに手渡す。


 「はい、あるようですね。ちゃんと二人分(、、、)


 「は?」


 ちょっと待て。


 俺は今リリカに六本すべての串焼きを渡したはずだが……?


 「はい、ララさん貴方の分です。遠慮しないで下さい」


 そういってリリカはララに三本(、、)の串焼きを手渡す。


 「では頂きましょうか、美味しそうですね」






 結局、俺は朝食をもう一度買いに行くはめになったのだった。


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