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異国死
本作品はてきすとぽい200字小説コンテストにも掲載されています。
その老女が病院からレストホームに戻った時には、英語が全く通じなくなっていた。
先週、カタコトの英語で互いの故国や家族の話をしたことも忘れていた。
広東語で「食べ物をくれ」と指二本を伸ばし、飯をかきこむ仕草をする彼女の横には、冷え切った手つかずのラザニア。
私が弁当の炒飯を渡すと、餓えた老女は器を抱え込むようにガツガツと食べつくした。
翌週、彼女の部屋は無人になっていた。
彼女がお米の天国に召されますように。
半分実話です。舞台はニュージーランド。
自分もやがて行く道かなぁと