第35話 嘘と本当を見分けろ!それが本当とは限らない!!
久しぶりですすいません
今日は平日・・何もない何も無い。
極々普通の平日だ。・・そう俺は心に撃ち撃ちつけた。
「う・・・ぐ・・・っ・・・」
双馬時雨16歳、今年もまた・・・チョコ貰えず負け組へ。
もう俺は諦めて屋敷に居る。そして現実逃避として仕事へ逃亡。
「ああ、俺・・可哀そうすぎるよ、どこかのヤ〇チャさん並みに可哀そうすぎるよ」
はぁ、と大きくため息をついた。前の高校とは違って共学だからチョコを貰えると少しでも期待したから、益々辛いよ。
ほんとさ、期待って、しない方がいいもんだね、俺はこれからネガティブ思考でやっていこうと思うくらいだ。
俺はとりあえず厨房に行こうとしたところ、傘守さんが厨房のドアの前でキョロキョロしながら立っていた。
「傘守さん~、何でそんなところでキョロキョロしてんですか?」
「あ、時雨君!・・・・」
傘守さんは少し焦ったような顔をし
「時雨君・・こっちは何も仕事ないから、そっち言っていいよ! ね?」
ね?って言われても・・、そういう意味でこっちに来たわけじゃないしなぁ・・
俺は少しキョトンとした態度で傘守さんの方に行くと、阻むように傘守さんが手を大きく広げてトウセンボをしてきた。
「傘守さん、何ですか? 俺厨房に行きたいんですけど・・」
「いや、厨房は何というか・・散らかってるから! すごい汚いから僕がやってるよ! 時雨君は疲れてるだろうし、部屋に戻ってて!」
・・。
嫌に何か怪しいな。
今日の傘守さんの調子が少しおかしいと言うか、焦っているように見える。
「・・・汚いとかそういうのじゃなくて厨房に用があるんですよ、通ら・せ・て・く・だ・さ・い!」
「だ、だめだめだめだよ! 今、里峰さんが夕食の準備が忙しくてイライラしてるんだよ!」
やっぱり何かおかしい。
どうしても俺を厨房に入れたくないようだな。
何としても入りたいところだ・・・
「傘守さん、やっぱり何か怪しいと思うんですよ! 厨房に何か隠してますね!?」
「ぎ・・・ギクッ!?」
声出してギクッ!?とか言ってる人は珍しいね。
でも、やっぱりこの尋常ではない焦り感、相当な事を隠しているようだな。
「やっぱり傘守さん、どいてください、厨房に行きます」
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「いや、時雨君、本当にちょっと待って!」
僕は大きく手広げて時雨君を前に進めないようにした。
ここを通られるとまずいんだよ、後で何を言われるか・・見られたら、僕が怒られるハメになるんだよ
「・・・じゃあ、俺を厨房に行かせたくない理由教えてくださいよ、言ってくれれば俺だって引きさがりますよ」
「いや、だから厨房は色々散らかってて・・・今、里峰さんが掃除で・・・」
我ながら嘘が下手な僕だ。
特に見つかりたくない人に、こうもまたしつこく迫られてしまうなんて。
「そのくらいなら大丈夫ですよ、俺も手伝いますから」
「いや、だから一人でやりたいって」
「一人より二人でやった方がいいに決まってるじゃないですか」
「だから、一人じゃないと集中できないって」
「え? 掃除にですか?」
つられるもの・・・・釣れるもの・・・。
姉さん・・は今いないし、時雨君はゲームやお金じゃ動きそうもないし、やっぱり女の子にしか反応しないのかな。
じゃあ、試しに・・。
「時雨君、そう言えばさっき、お嬢様が後でお部屋に来て一緒に秘密のお勉強をしましょうね♥っていってたような気がするんだけど」
「・・・・・・・・」
う、やっぱり、僕は嘘が下手みたいなのかな。
流石にもう諦めるしか・・・・
「何で」
「え?」
時雨君は何故か声を震わせていた。
「何で、それを早く言ってくれないんですか」
伏せていた顔を時雨君はサッと上げて、
「そんなおいしい話、俺が逃すと思ってるんですかぁあああ! 待っててくださいお嬢ぉおお!」
時雨君は疾風のように走り去ってしまった。
・・・・・・・。
何か分からないけど、どうやら成功したようだ。