第28話 玄関に変な飾り物は置くな!玄関は家の第一印象だ!!
アビエル・タワーズ
漆黒の燕尾服に漆黒の髪。
そして翡翠色の瞳。
そして、とても顔立ちの整った20代くらいの人だ。
なーんて、前回にシリアスっぽい終り方してたけどぶっちゃけそんなのこの小説にはあるわけがない。
んで、今現在、アビエルさんが手配してくれたリムジンで何所かに行くかは知らないけど、目的地に向かっている。
・・今、7人リムジンに乗っているが、誰一人として会話していない。
ヘリでは結構会話したのに(いろんな意味で)・・・。
そこで俺はこの空気を変えようと何か話題を、
「お嬢、知ってますか! 実は英-」
「皆さん、目的地にご到着しました、荷物を忘れないよう降りてください」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
華麗なるスルーだった。
自然に流された。ベリー・ナチュラル。
「時雨さん? 今さっき何か言おうとしてましたけど・・何ですか?」
「・・・いえ、何でもないんです」
うん、悲しい。
そして結構恥ずかしいから、できればそのままスルーしておいてくれたほうが助かるんだけど。
「時雨君、どんまい」
傘守さんがフォローしてくれた。
ありがたいですけど、心が痛いよ
ま、そんなわけでお嬢の母さんがいる屋敷に着いたわけで・・まぁまたでっかい屋敷だ。
「お嬢、これはまるであの黒い執事さんがいる屋敷みたいですね」
「そ、そうですね!・・・じゃなくて、私は現実と非現実は区別できる子だから別にそうは思いませんよ!」
「でもここ非現実ですけど」
「それは禁則事項です」
どうやら禁則事項らしいのでこれ以上言うのはやめよう。
「さぁ、皆さん・・喜代子様がお待ちになっておられますので急ぎましょうか」
そう言ってアビエルさんが大きな洋風の扉をギシッとサビた感じの音を出して開けた。
そこには全裸の男の象に、いろんな絵画が飾ってあって、えっと・・なんでこの絵画・・・・・・・・・・男同士が絡み合ってんの? え? なんで!?
「こ・・・・これは一体! この悪趣味な飾りはなんなんだーーーーーーー!?」
思わず俺は叫んでしまった。
仕方ないだろ、こんな趣味の悪い絵を玄関に飾るなんて馬鹿げてるだろうが!
「えぇ、こちらでしたら喜代子様のご趣味でございますがゆえに・・」
「お嬢の母さんって腐なの!? あの・・一種の腐女子って奴か!?」
「フ・・・? えっとそれはどのような?」
アビエルさん・・アンタッテ人は・・
そこにお嬢が、
「時雨さん、そこはスルーしてください・・お母様はその通り一種にあれです、時雨さんは知りませんけど・・私のご両親がまだ日本にいた間はあの絵画が玄関にありましたから」
「どんだけだよ! て言うかなんで絵画!? 何で油絵で描いてるわけ!?」
「一途なんです・・男性愛に」
「理由になってなーーい! て言うか、それならお嬢の親父さん、めっちゃいたたまれないわ!」
何だか会いたくなくなってきたぞ・・・・