第25話 頭上には注意しよう!人を見て悲鳴を上げるのはやめよう!!
前回俺は4階から落ちた。
正確には何者かに引きずり落とされた。
「・・・・・・ぐれさん」
あれ~、何かどっかで聞いたような声が・・
「時雨さん!!」
「へぶしっ!」
何故か俺は打たれた。
平手打ちで起こされた。
鴻楓に平手打ちで起こされた。どうやら俺はベットの上で寝ていた
「・・あぁ、最悪の目覚めだ」
俺は頭を掻いたら、頭に包帯でグルグル巻きになっているのが分かった
おまけに俺の左腕にも包帯が巻かれていた
「あれ、何だこれ、俺ってこんな重症だったか? つーかここって保健室か? 俺って気絶してたのか?」
俺の隣のいすに座っているお嬢はこう答えた。
「いきなり窓から落ちたからどうなるかと思いました、まさか4階から飛び降りるなんて・・し、心配しました。まさか無視しただけで自殺しようとするとは思っていなかったんです。責任を感じてます」
「・・・・」
何も言えなかった
だって、「自殺する振りをしようとしたら突然何者かに足を引っ張られ落ちたんだ」って言ったら何所の馬鹿だと思われてしまう
「それにしても、よく4階から落ちて死ななかったですよね、頭はあれですけど、体だけは頑丈ですね」
「おい、聞き分けならないな今のセリフ! 流石に俺の頭はあれじゃないですよ!」
「・・へぇ~、そうなんですか」
適当に相槌をうたれた。
かなり軽く流された
別に俺、頭は逝かれていませんよね?
「・・・今って何時だ? さっきは昼休みだったけど・・」
「今はもう放課後ですけど・・」
「まじか!?」
「ざっと3時間です、3時間の間に時雨さんは気絶していました」
「普通は病院に連れていくものじゃないですか?」
「そんなこと面倒です」
そうですよねー、はい
明日俺はどうなるんだよ?
先生に事情を聞かれて、他の生徒達に何か言われて
まるで俺が虐められてるから飛び降りたみたいじゃねーか!
「ずっと待たせてすいませんねお嬢、さっさと帰りましょうか」
「もう立って大丈夫なんですか?」
お嬢は俺を心配そうに見つめている
はぁ、何て格好悪いことをしてしまったんだろう
「大丈夫です、俺は体は頑丈ですからね」
「そ、そうですよね、じゃあ遅くなる前に帰りましょうか」
そんな感じで俺はベットから出てクシャクシャになった制服を整える。
左腕が折れている所為か、かなり不便だ
骨折した奴の気持がよく分かって来た気がするわ
他の奴が骨折してるところをみて「俺も骨折してみたい」とか思ったことがあったけど、実際になるとキツイものだな。
「あ、いけねー・・鞄って多分教室におきっぱですよね?」
「あ、そうでした、すっかり忘れていましたよ」
取ってきます、とお嬢は言ったが流石にそこまで迷惑はかけられない
「いや、すぐ取ってきますんで、玄関で待っててください、速攻で帰ってきます」
俺はそのまま保健室を出て4階の教室に向かった
そして教室のドアを開け、窓側の席にある俺の机の鞄を取った
すると、
「貴様は楓の何だ?」
俺は教室を見渡した
教室には誰もいない
はずなのに、教室のどこからか男の声が聞こえた
は? どういうことだ? 声からして若いって感じはしないし・・生徒ではない・・先公か?
でも何で教室から声が聞こえているはずなのに
俺の周りには誰もいないけど確かに言った
楓という名前を
俺の主の名前を
「4階から落としてもこうして骨折程度か、貴様はいったい何者だ?」
「・・・それはこっちのセリフじゃねーのか? どっから話してるのか分かんねーけど、コソコソしてんのは卑怯じゃねーのか?」
「ふん馬鹿が、分からないのか? 私は既に貴様の目の前、いや、真上にいる」
「え?」
俺は咄嗟に上を見る。
するとそこには一人の男がいた
オールバックにした暗い金髪にいったいどれだけ鍛えたのか分からないほどの筋肉を備えた体、そして革ジャン、サングラスといったどっかで見たことがあるような奴だった
「ぎ、ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
本日3回大声で叫んでしまった
でも、これだけはびっくりするだろう、マッチョの男が天井に張り付いているからだ!
誰だこんなところにマッチョなんて置いた奴!
「大声をだすな、さもなくば貴様をターミネートする」
「た、ターミネート!?」
どうやら、俺はとんでもない状況にあるようだ
ターミネートって確か終らせるって意味だっけ?
やべーだろうが!?
すると、教室のドアが開いた。
誰かが教室に入ってきた
「時雨さん、さっきの悲鳴はなんですか!?」
それは鴻楓だった。
「お、お嬢! だめですこっちに来たら・・ターミネートさせますって!」
必死で俺はお嬢を逃がそうとするがお嬢は目を丸くしている
そしてマッチョの男が天井から降りてくる
「楓か、しばらく見ないうちに小さくなったな」
と、そのマッチョな男は言った
お嬢はびっくりした顔でこう言った
「お・・・お父様・・・」
「え?」