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1-36. 成長の予感

 魔力の操作が「安定した」と自覚してから、伸び方が変わった。

 

 前までは、積み上げる感覚だった。

 

 一段ずつ。

 崩れないように。

 

 だが今は違う。

 

 理解した瞬間に――跳ねる。

 

 

 操作精度が上がったことで、魔力の変換効率が目に見えて改善した。

 

 同じ量を扱っているはずなのに、消耗が明らかに少ない。

 

 無駄が減っている。

 

 

 結果として――

 

 蓄えられる魔力の総量も、少しずつ増えていた。

 

 

 まだ底は遠い。

 

 だが、器は確実に広がっている。

 

 

 さらに大きかったのは、副次的な変化だ。

 

 

 変換の流れが整ったことで、

 余剰魔力が自然と身体へ回るようになった。

 

 

 試しに、踏み込む。

 

 

 地面を蹴る瞬間だけ、脚に魔力を残す。

 

 

 ――速い。

 

 

 いや、正確には「遅れない」。

 

 身体が、動きに追いついてくる。

 

 

 次に拳。

 

 魔力を薄く纏わせたまま打ち込む。

 

 

 衝撃が逃げない。

 

 芯が通る。

 

 

 (……これ、ほぼ魔纏だよな)

 

 

 まだ初歩。

 

 薄い膜のようなものだ。

 

 

 意識を切れば、すぐ散る。

 

 維持も長くはない。

 

 

 それでも――

 

 十分すぎる進歩だった。

 

 

 剣道が教えてくれた「瞬間」。

 

 空手で掴んだ「流れ」。

 

 弓道で知った「止め」。

 

 

 三つが、ようやく噛み合い始めている。

 

 

 力任せに扱う段階は、もう終わった。

 

 

 ここからは――整える領域だ。

 

 

 目標は、全身魔纏。

 

 

 常時でなくていい。

 

 必要な瞬間に、必要なだけ。

 

 

 壊さず。

 

 無理せず。

 

 正確に。

 

 

 静かに息を吐く。

 

 

 魔力は、乱れていない。

 

 

 (……悪くない)

 

 

 焦る理由はない。

 

 急がなくても、伸びている。

 

 

 この速度なら、必ず届く。

 

 

 だから――

 

 

 もう一度だけ、踏み込んだ。

 

 

 少しだけ強くなった自分を、

 

 確かめるように。

 


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