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1-23. 試作報告/観測ドローン

 第三ラボ・主任室。

 

 ノック。

 

「主任!」

 

 (来た)

 

 声で分かる。

 

 「……入れ」

 

 

 ドアが開く。

 

 綾芽がケースを抱えて立っていた。

 

 嫌なサイズだった。

 

 

 「何だ、それ」

 

 「新規試作です!」

 

 

 即答。

 

 嫌な予感しかしない。

 

 

 主任は椅子にもたれたまま言う。

 

 「内容」

 

 

 綾芽は机にケースを置いた。

 

 ぱかり、と開く。

 

 

 中には小型ドローン。

 

 黒い。

 

 妙に完成度が高い。

 

 

 「魔法少女用・観測ドローンです!」

 

 

 主任、数秒止まる。

 

 「……何用?」

 

 「現場先行確認!」

 

 「状況観測!」

 

 「端末連動!」

 

 

 一気に来た。

 

 

 主任は一つずつ確認する。

 

 「勝手に飛ぶのか」

 

 「変身検知で起動します!」

 

 「操作は」

 

 「登録端末から音声入力できます!」

 

 「映像は」

 

 「リアルタイム送信!」

 

 

 主任は目を閉じた。

 

 深呼吸。

 

 

 「……いつ作った」

 

 「ついさっきです!」

 

 「誰の許可で」

 

 「思いつきで作りました!」

 

 「まだ取ってません!」

 

 

 正直だった。

 

 

 主任は額を押さえる。

 

 

 「……用途は理解できる」

 

 

 綾芽の顔が少し明るくなる。

 

 「本当ですか!」

 

 

 「だがな」

 

 

 指を一本立てる。

 

 「協会の装備は――勝手に増やすな」

 

 「はい」

 

 素直。

 

 

 「まず安全確認」

 

 「はい」

 

 「飛行テスト」

 

 「済んでます!」

 

 「単独判断で済ますな」

 

 「……はい」

 

 

 少しだけ小さくなる。

 

 

 主任はケースの中をもう一度見る。

 

 軽い。

 

 構造も悪くない。

 

 完成度が妙に高い。

 

 

 (ほんとに六歳か)

 

 

 小さく息を吐く。

 

 

 「……試験運用扱いにする」

 

 

 綾芽の顔がぱっと上がる。

 

 「いいんですか!」

 

 

 「条件付きだ」

 

 「はい!」

 

 

 「運用ログ提出」

 

 「出します!」

 

 「無断出動禁止」

 

 「守ります!」

 

 「単独改造禁止」

 

 「……努力します!」

 

 「守れ」

 

 「はい!」

 

 

 主任は椅子にもたれ直す。

 

 「名称は」

 

 

 綾芽、少し考える。

 

 「まだ決めてません!」

 

 

 主任は即答した。

 

 「決めるな」

 

 「え?」

 

 「名前を付けると――量産したくなる」

 

 

 沈黙。

 

 綾芽、視線を逸らす。

 

 

 図星だった。

 

 

 主任はため息をつく。

 

 

 「まず一台で十分だ」

 

 「はい」

 

 「使えると証明してから次を作れ」

 

 「……はい!」

 

 

 元気が戻る。

 

 ケースを抱える。

 

 

 「じゃあ!」

 

 「テスト運用準備してきます!」

 

 

 「待て」

 

 

 綾芽、止まる。

 

 

 主任は淡々と言う。

 

 「次からは――作る前に相談しろ」

 

 

 綾芽は少し考えて、真顔で答えた。

 

 「……善処します!」

 

 「善処じゃない」

 

 「はい!」

 

 

 そして嵐のように去っていった。

 

 

 ドアが閉まる。

 

 静寂。

 

 

 主任は天井を見上げる。

 

 

 ぽつり。

 

 「……まだヘリとか言い出してないだけ、平和か」

 

 

 このときは、まだ知らなかった。

 

 

 数年後。

 

 本当に言い出すことを。

 


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