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一章:魔法使い、属性変換する。1

アヤナの心配もわかると言えばわかる。

要は、魔剣を修復、あるいは増産出来るとなると、ヒト同士の揉め事に利用されるのでなかろうかというやつだ。知識開示すらちょっと慎重になった方が良かったかもしれませんわ、というのはアヤナの言葉だ。

ヘルロットの希望だったからねぇ、とは言っても、〈森の輪〉に関しては巻き込んだ感は否めない。悪意を持って魔剣修復の情報持ってる面々に近付いてくる奴がいたら、旅人達の内の誰かが転移でもしてすっ飛んでいくシステム構築したらどうだろうか、と、ミルキィはとりあえず〈念話〉で議題待機しておく。…異世界転移が出来るのだから、惑星内転移とか比較的楽な部類になってしまう旅人達である。

それはともかく。少なくとも多人数が関わり、それぞれの背景がどうなっているか不明な研究所に情報が流せないのは確定ではある。ヘルロットに確認してみたら国立の機関であるとの事だが、スポンサーもといパトロンがそれぞれの研究員あるいは研究自体についているとの事。そうなると、研究過程の情報や、結果の開示にパトロンの意向が反映されかねないので、やっぱり情報開示できないよなぁ、と。

ただ、ミルキィの勘的には、この領域の知識と技術だと魔剣修復の為の一手は取れないんじゃないかなー、という感覚である。そもそもマナを属性変化させる概念が存在しなかった。というか、属性という概念すら怪しい気がする。ヘルロットには申し訳ないが、そんな状況下でマナの属性変換を促す為の魔道具が作成可能になるのか。難しいんじゃなかろうか。

仮に、旅人達がマナ変換できる魔道具を作ることになった場合、文言に使う言語は少なくともこの惑星外でかつ地球の言語でないのものを使わねばならないだろう。魔道具師はこの惑星の言語と地球の言語はある程度解読可能だろうからね。解読の予備知識一切ないような言語なら、解読難易度を上げられるだろう。また、魔道具を使える人を限定できるような工夫も盛り込む必要もあるだろう。まぁ、旅人達は自力でマナの属性変換出来るのだから、魔道具を作る必要はないのだが。

さて。魔剣を修復するのと、魔剣を一本作成するのは既定路線である。予定変更はない。魔法使いの財産としてアピールするなら変なちょっかいをかけられることはないだろうという想定である。修復知識も魔法使いの知識ですよ?でゴリ押せば追及されないだろう、多分。保護法ありがとう。

その為には、何処かで魔法使いとしての立場を大多数に開示しないといけないのだが。その前にある程度の実力を見せておいた方が後々楽になりそうである。そっちのが威圧感増し増しになるだろう、きっと。そんなわけで、対ルビナリオの冒険者ギルドで多少派手に動いても良いんじゃなかろうかと考えるミルキィである。

で、だ。

魔剣を修復するなり作成するなりする上で必要なことが一つ。

トロパ鉱で描く回路に、どうやって属性変化したマナを馴染ませるのか、である。なおかつ、属性変化したマナの領域と属性変化してないマナの領域を区別しなければならない。

手順が不明なら、実際にやってみるに越したことはない。


ということで。

キュウヤに実際にやってもらうことにした。


ヘルロットと交渉して、〈歩行樹〉の枝と交換でトロパ鉱をいくらか譲ってもらい。

ミルキィの〈収納〉に入っていた桶をいくつか引っ張り出した横で、スノゥは〈収納〉に入っている〈歩行樹〉の木の板を引っ張り出した。今、問題なく出せる木の板が〈歩行樹〉の木の板しかないのだ。他の手持ちの板材全部、別世界の木材なのでちょっとつっこまれずに使えるかどうか自信ない。〈歩行樹〉の板材はそもそも高級木材だからこういうのに使うのは問題がある?それはそう。

案の定、スノゥがトゥエラに突っ込まれていたのだが、他に使えるものがないのよ…。まぁ、固着させるわけではないし、トロパ鉱ともども再利用する予定だから…。

ミルキィから桶を受け取り。キュウヤはトロパ鉱を桶に入れてからそっとマナを流す。一つは普通に普段のマナを。

もう一つは、マナを手のひらに集めてから、火の属性を加えてからマナを流す。とろり、問題なくトロパ鉱が液体化した。ほんのりと、液体化したトロパ鉱から火の属性のマナを感じる。これはこれで成功かな。

これで、2種類の液体化したトロパ鉱の準備ができた。

では、液体化したトロパ鉱を、万年筆のような道具を使わずにどうやって回路として描くのか。

答えは。


「…はい?」

「すげぇー…。」

「浮いてる、トロパ鉱が浮いてる!?」


トロパ鉱自体をマナを使って操作して、桶から直接液を伸ばして、線を描く、である。

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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