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一章:魔法使い、属性変換について。2

実際にダンジョンに行ったら、別の領域の気配がするだろうかどうだろうか。いっそダンジョンの宝箱の中身を星の記録を参照してダンジョンが作った、という斜め上な突き抜けた説を提唱しても良い。そもそもダンジョンとは、と、ミルキィの脳内が若干現実逃避の思考で埋め尽くされかけたけれど。

現実は変わらない。

無理じゃね?という雰囲気がヘルロットとテオラルテ、トゥエラを中心に流れ出した時。

悩みながらキュウヤが声を上げた。


「うーん、この文言だと、回路を書く時に属性変換したマナを込めれば良いのか、そもそも事前に属性変換したマナでトロパ鉱を溶かせば良いのかもわからないね。」

「前者だと、属性変換したマナが、属性変換していないマナの込められた部分の回路を侵食しないかが気になるところなのだ。

後者だと途中でトロパ鉱の液体を変える事になるけども、それでも一つの回路として認証されるかの問題があるのだ。」


今までの会話からズレたところを問題点としてあげるキュウヤとシルトである。さもありなん。旅人達は問題なくマナの属性変換が可能なのだから。

現実問題可能な技術として話を進めている二人である。そしてさらにもう一人、ノートが話にのっていく。


「あ、はいはーい!一個気になったんだけどさ、魔道具でマナの属性の付与ってどうなんだろうな。」

「それ、実際にやってみないとわからないだろうね。案外、勇者や魔法使いみたいに火や氷とかの属性で攻撃できたら良いよね!っていう動機でそっち方面の研究は進んでそうだけど。

さっきのヘルロットの反応的に、そもそもマナに属性を付与する…って言う方面の研究はされてこなかった可能性の方が高そうかなー。」


更にスノゥも参加して。さて、どうなるのか、といったところでアヤナが口を開く。


「一つ問題点があるとするなら、わたくし達主導で魔道具方面での問題解決はできませんわね。

魔法使い主導での技術革新などしては、後々から技術が歪みませんこと?」

「あー、確かに。それはそう。」


アヤナの言葉にスノゥが素直に頷いて。それはそう、と他の旅人達も頷いた。

この文章も基本封印ですね、と文言を書き起こした紙をルディがさくっと、〈収納〉する。翻訳したのも、原文もどちらも〈収納〉行きだ。

仮定の話として、修復したのちに売るとするならば、ざっくりとした取扱説明書ぐらいのものをつけるぐらいだろうか。文言の翻訳された原文のままは…付与剣だとまだ良いのかもしれない。魔剣のは封印です。


「ヘルロットさんも魔剣の核の研究をなさっていたのでしょう?他にも同じように魔剣の核の研究をなさっている方もいらっしゃるのでしょう?

現状わたくし達は文言を全て翻訳しただけです。それでもヘルロットさんに気付きがありました。その知識をどうされますの?」

「んんー、少なくともわたしから研究所なり学会に発表は出来ないよねー。

だってこの知識はわたしの研究から生まれ出たものじゃないものー。いわゆる、魔法使いのもたらした知識でしょー。じゃあ、わたしがどうのこうのできないよねー。」


ヘルロットは笑う。その瞳はキラキラと、前を見つめたままで。

保護法あるしねー、と呟きながら、言葉を続けた。


「もうね、魔剣の文言についての研究はとっくのとうに行き詰まっててー、ここしばらくはなぁんにも進んでなかったのねー。他の人も一緒ー。研究所も一緒ー。

でもねー、わたしは今日、文言の全翻訳という答えを知れたのー。でも答えははじまりでー、まだまだ考なきゃいけない事だらけだと知ったのー。

だから、考察とか検証作業はしていくしー、マナを火とか水とかでそういったものを帯びたものにできないかなー、って研究はしていくけどー。それを、誰かに話したりはしないかなー。」

「ふふっ、ありがとうございますわ。」

「こちらこそー。研究所の人らの考察聞いてにやにやするんだー。でもちゃぁんと、口には出さないからねー。」


にこやかな、アヤナとヘルロットの会話。

だが、それは若干物騒な方向へとずれていく。


「そもそも、様々な方がされている魔剣の研究は、どのような意図でされているのでしょうか?」

「んんー?どゆことー?」

「そこに未解読の文言があるから研究をしている、魔剣の修復は浪漫、魔剣が壊れた時に使い捨てだともったいない、といった動機でしたらそれは確かに、ってなりますわ。対魔獣対策の為に、でしたら火力も必要でしょうから納得できますの。

ですが、対人、と言う要素が絡んでくるのでしたらそれは懸念事項になりかねないな、と思いまして。」

「んあー、わたしは知識欲のままにだけどー。うーん、他の人の動機は知らないなぁー。

ただ、そう言われると、研究所は知識欲だけじゃ動かないよねー。」


そりゃ、研究所だもの。研究費の出元の意向もある程度反映されてそうだよね、というのはある。

ヘルロットの言葉を聞いたアヤナは一つ首を縦に振って。にこやかに、微笑んで。


「なるほど。では、何かありましたら、容赦なく魔法使いが秘匿している知識だと伝えてくださいませね。何かありましたら、とんでもない魔法使いが飛んでくるぞ、ともお伝えくださいませ。」

「多分大丈夫だと思うよー…?」


アヤナの念の入れ方に、若干ヘルロットが引いていた。

まぁ、予防線は貼っておくに越したことはないし…。あ、テオラルテと〈森の輪〉の面々も同様ですよ?

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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