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一章:魔法使い、属性変換について。1

3/20 会話中の属性発言を一部変更しています。

シルト達は他二つの魔道具の核も無事に取り出し終えて。それをミルキィに渡し、核に刻まれた文言を解読した結果。

問題発生である。

それは、三つ目の魔道具の核ー《火》の魔剣の核の文言を解読していた時に発生した。

つらつらと、淡々と、〈翻訳〉、〈鑑定〉、〈解析〉の三点セットでスキルを起動し、序から始まる文言をミルキィが言語化し、ルディがそれを記録していた時に。その一文は読まれた。


「剣が火を纏う場所は、火の属性を纏うマナで回路が描かれた部分とする。」


その一文が読まれた時。へ!?とヘルロットが衝撃を受けた声を上げ。ひのぞくせい…?と、驚きのあまりに抑揚のない言葉を紡いだのはトゥエラである。

その間もミルキィはつらつらと文言を解読し続け、ルディは書き起こし続ける。

そして、ミルキィが全文を解読し終えたタイミングで、どういうことなのー!?とヘルロットが声を上げた。


「火の属性を帯びたって何ー!?」

「精霊にお願いし申し上げるって事なのか…?」


ぽかんとした表情のまま、トゥエラも呟いた。

解読した早々に、ミルキィもまた、思わず頭を抱えたくなった。この領域でできない前提の技術をダンジョンの宝箱の中に入れるんじゃない、と叫びたくなったが叫ぶわけにもいかない。

そんなトゥエラ達を横に、どう言う事かまだ飲み込めていないアトラとルビナに、エデュライナが問う。


「この二人が驚いている意味、どう言う事だと思う?」

「う、ううん?火の属性、って言ってたよね…?」

「そだな。…あれ、勇者と魔法使い、あとは精霊術師ぐらいしか、火とか水とかで攻撃できなかったよな…?」

「あ、そうだよ!え、それじゃあどうやって、火の属性?を帯びたマナにするの?」

「そう。だから二人は驚いている。」


割とすぐに答えにたどり着けるあたり、アトラとルビナの勉強の成果はちゃんと出ていると思うよ、トゥエラ。二人の答えを聞いて、エデュライナもこくりと頷いた。


「無理無理無理無理無理ー!出来ない、マナを火に変換できないー!」


首を横に振りながら、ヘルロットが叫び声を上げるのも無理はない。

この領域の人々は、マナを属性変換する事が出来ないのだ。マナを属性変換出来るのは、ヒトだと勇者か魔法使い…別世界の存在だけである。だからこそ、昨日訓練場で属性付き攻撃をする事によって魔法使いアピールができたのだが。それはさておき。

現状、魔剣を修理しようとしたら、属性変換できないのにその技術を求められている状況である。旅人達は可能ではあるが、ヘルロットや他の魔道具師には不可能な技術である。だからこそ、先程のヘルロットの叫びになるのだが。


「精霊のお力を借りるにも、〈精霊交信〉スキル必須…。」

「そうなんだよねー。だがしかしー、大体の魔道具師はそのスキルを持ってないんだー!つまり、わたし含む大体の魔道具師はその文言の前提条件をどうにもできないー!」


ぽつりと呟かれたエデュライナの言葉に、全力でヘルロットがのっていく。文言の内容が解明されて嬉しいけど、再現できない技術要求されてるから情緒ぐっちゃぐちゃになってませんか、ヘルロット。

というか、精霊とのやり取りをするなら、前提となるスキルが必要だったのか。それは知らなかった。トゥエラは持ってるんだろうなそのスキル。

呻くヘルロットの横で、腕を組んだテオラルテが一つ首を縦に振った。


「なるほどな。どおりで魔剣の修復ができんわけだ。」

「ううう、魔剣の核の文言解析が進まない理由もわかっちゃったよー…。多分きっとー、刀身部分の回路に、要はその魔剣にあった気配を持つマナを込めないといけないんでしょー。そんな発想出てこないよー。」


ぺっしょぺしょになったヘルロットがぼやく。

ヒト単体では属性変換ができないし、精霊に願うにしてもスキル必須。そりゃあ早々に選択肢から外すわ。基本できない技術なのだから。

そんな中、驚きから考え込んでいたトゥエラが口を開いた。


「多分、精霊にお願いし申し上げても無理な部類かもしれません。」

「へっ!?」

「精霊は、我々の捧げたマナを直接変換して事象を引き起こされます。ただ、例えば、火の事象を引き起こされた際に、火の気配を帯びたマナを感じた事がないんですよ。」

「つ、つまり…。」

「精霊はマナを、火や水といった何らかの気配を帯びたマナに変換する、という事自体をされない可能性があります。」


…それって完全なる詰みじゃないでしょうか、トゥエラさんや。ヘルロットが更にぺっしょぺしょになっていく。

なお、魔道具の核に使用されていた文言全てが第3領域の言語であった。…もしかしたらこの魔剣の作成方法は第3領域由来のものだったりするのだろうか。そうなるとダンジョンの宝箱の中身が世界の他の領域の知識や技術を応用して作られたものである可能性が出てくるのだが。

そのうちダンジョンに行ってみたいかもしれない。

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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