一章:魔法使い、マナ量について学ぶ。
魔法使いというか、お客人達がすごいんだと思うがなぁ、とテオラルテがぽつり。みんなと知り合ってから、魔法使いという存在の能力の基準値がどかどかと上がっていってる気配がする…とルビナもぽつり。アトラが横で首を縦に振った。
一方ヘルロットは、ルディの書き起こした文章を見て。元々の言語での文が書いてあるとー、後から翻訳しやすくなると思うー、とルディに告げていた。確かに、比較するなら元々の言語の分も必要ですよね、とルディもにこりと微笑みながら、ミルキィから魔道具の核を受け取って、元々の言語での文章を書き出し始めた。
ちなみに、この魔道具の核に使われていた言語だが。〈鑑定〉曰く、第3領域で使われているオーソドックスな言語であるとの事。即ち、この領域の言語じゃないけど、この星の言語ではある、という事である。…うーん、これ、ダンジョンの宝箱に入っている道具類が、別の領域の情報、知識をベースにして作られている疑いがですね…?どうするんだ、これでこの領域の知識解決できない手法とか出て来たら。ダンジョン産のアイテムに〈鑑定〉使って、情報共有しないといけない時は気を付けねば。
〈念話〉で他の旅人達に情報共有を行い、注意喚起もし、ミルキィはところで、と声を上げた。
「ごめん、マナ量って何?」
ちょっと知らない言葉ですね?いやまぁ、何となくわからないでもないけども。ミルキィの言葉に旅人達のうち幾人かも、首を軽く縦に振った。
ミルキィ達にとっては、個人が扱うことのできるマナの量を示す基準値と言ったら、MPである。個人が自ら生産し、体内で保有できるMP量の限界値を潜在MP量と言い、身体に影響の出ない程度に自由に使える範疇のMP量を総合MP量と言う。
総合MP量の6.7割まででMP消費を止めておこう、じゃないといざという時に対抗手段がなくなるから、という格言みたいな文言は、ミルキィ達の元々いた世界で、子どもたちが魔法の勉強を始めた時に先生や大人達からよく言われる言葉である。
それはさておき。
ええーと、とトゥエラが考えながら説明する言葉を探している。
その横でエデュライナが静かに口を開いた。
「マナは、生けとし生きるもの全てが、その身の内で生み出す命の源。
しかし、いくら生み出せるか、また、いくら身の内に溜め込めるかは人によって異なる。」
淡々と、朗々と、エデュライナは語る。
「故に、人々は欲した。
他の人といくら違うのか。どのくらいあれば、精霊に願えるのか。
それを明確にする為の基準を。単位を。数字を。
願われた神々は答えた。神殿に、個人がどれほどマナを生み出せるか、身の内に溜めて置けるかを調べる為の道具を、設置した。」
それは、かつてこの領域であった、昔話。
「それは、同時に個人の保有しているスキルやアビリティについても可視化した。将来どの様な職業に就いたら良いのか、という悩まれやすい疑問の、一種の手段として。
今日、10歳の祝いの際と、20歳の祝いの際に全てのヒトが触れるその道具が、マナ量という基準を生み出した。」
なる、ほど?
つまり、マナ量とは、重さや長さと言ったものと同じ単位のある基準の決まった数字である、と。
語り終わったエデュライナは表情こそあまり変わらないものの、若干達成感の漂う雰囲気である。
「はー、凄いねエデュライナ。今の話し方、神官様みたいだったー。」
「みたい、ではない。元々神官。今は冒険者なだけ。」
ルビナの感嘆した様な声に、即座にエデュライナがツッコミを入れる。エデュライナの発言に、驚いた表情を見せるテオラルテがいて。
旅人達もまさかの職歴にひっそりと驚いている。その雰囲気を感じ取ったのか、エデュライナはテオラルテの方を見て、告げる。
「神官でないと、結界が張れない。回復もできない。
ちなみに、マナ量2だと軽い怪我を直したり、炎症を抑えれる。マナ量5ならこの部屋を覆う結界を半日維持することができる。結界は、あらゆる攻撃を弾く。」
後半部分の説明は、旅人達向けであるのだろう。具体的な実例を挙げて説明された。
それならば、《貫通力増強》の付与剣を使う際のコストは、そこまで多くないのだろう。
「マナ量2で起動できるなら、一般的な剣士の総マナ量でも十二分に使えると思う。
修復して売れば、それなりにいい値段で買い手もつくぐらいには良いもの。」
「文言もぜーんぶわかってるからねー、魔道具師としてはとっても売りやすい部類だねー。何をどうすれば良いか、っていうのがわかってるのはー、とっても良い状態ー。」
エデュライナの言葉に、ニコニコ笑顔でヘルロットが続けた。
と、とりあえず売るとかは今のところ考えてないんで…。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




